読書/笙野頼子『猫キャンパス荒神』 ノート20160901
笙野頼子『猫キャンパス荒神』河出書房新社2014年
芥川賞受賞者だが、この作家様についての予備知識はまるでなく、例の如く図書館をぶらついた際、「猫」という文字にヒットして、書架に手を伸ばし閲読した次第。
国立歴史民俗博物館がある、千葉県佐倉市で一人住いらしい。長年連れ添っていた猫・ドーラが亡くなったこと、3.11地震を経験したことがベースになっている。
ご当人曰く、深海生物・金刀比羅なる存在が幼くして亡くなった「イザ・ナビ童女」の死体を乗っ取って成長し作家となった。カマド神のような荒神というのを書斎に祀っているとしている。……そして書籍の題名が示すように、なかばご自身をちゃかしつつ、大学教授という立場に置いて講義する、という形式をとっている。
なにやら痛い自己紹介。深刻な持病を持っている方のものいい。ジェネレーション・ギャップがあるだろうから、そのギャグセンスに乗れる世代は絞られているだろうと思われる。――幸福になることは復讐である、怒りを忘れぬことは未来への道である――といった3.11地震を掛けた、哲学的内容を織り交ぜての、(恐らく作家様の顧客専用で近況報告のような)私小説だ。
242頁(41×14字)。レポート風に、前文概要・1節、本文概要・6節、後文概要・1節で構成される。




