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もう一度妻をおとすレシピ 第5冊  作者: 奄美剣星(旧・狼皮のスイーツマン)
ざっくり考古学
58/100

随筆・ざっくり考古学11/「都市」火星人目線の人類史

 第二次世界大戦前まで、国策があってか日本は中国史研究に関して世界をリードしていた。この時期に東洋史を学び、戦後の東洋史界で影響を与えた学者に宮崎市定という方がいる。1990年代に『宮崎市定全集』というものが出版されており、そのなかに、面白い記事があった。(考古学的手法で地球をながめてみた)というくだりだ。これはドイツの経済学者カール・マルクスの唯物史観というのをベースにしている。宮崎氏の記事をモチーフに私的所見を加えてご紹介しよう。

.

 たとえば火星人が天体望遠鏡で、地球をみた場合――。

 火星人は何万年も生きる種族だと仮定する。天文学者が興奮した調子で騒ぎだした。

「おお、地上に城壁ができているぞ!」

 ざっくり2万年前、氷河が後退。狩猟採集生活をやっていた人類が、中石器時代から新石器時代にかけて農耕牧畜を始める。さらに1万年前、氷河期が完了して一部はひどく乾燥してしまう。けっこうな人が自然淘汰され新石器時代になる。すると集落を土塁と堀で囲んだ環濠集落ができる。青銅器が発明されたころ、その発展バージョンで日干し煉瓦や石垣を使った城壁を囲んだ都市「城市」が登場する。

 火星人は望遠鏡のダイヤルを回してクローズアップしてみた。

「ああ、王様だ。家臣、奴隷までいる城壁の外側には、井戸が掘られ、大規模な灌漑設備がり、農園が広がり、牧畜がされているじゃないか! おお、戦争までしている」

 メソポタミアを世界の中心に、7000年前から2500年前の間、新石器時代が青銅器時代にゆるやかに代わった。日本のような辺境の島は、2300年前から1700年前の期間に、青銅器時代を経ず、新石器時代から鉄器時代になってしまった。文字が発明され、王国は官吏たちに、租税として集めた穀物を管理させていた。

 しばらく経った。いくつかの火山が爆発して地球が冷える。

 1700年前。4世紀あたりだ。

「今度は城壁がないタイプの村が登場したぞ!」

 農耕牧畜を始めると人口が爆発的に増える。すると城市から人が溢れかえって、森を切り開き、城壁のない集落・村が発生する。河川には、上り下りの舟人が交易品を携え、盛んに互いの市場を行きかっている。

「たくさん運河をつくったな。まるで網の目のようだ!」

 それからまた時間が経過。1000年前から400年前にかけて、中国、欧州を筆頭に、河川と河川を結んで運河が、都市のあるところならば内陸部まで、網目のように巡らされだす。新しく築かれる都市は城壁をもたないタイプになってくる。

「おお、鉄道だ!」

 200年前。ユーラシアの西の端っこ、イングランド島から鉄道が敷かれ出した。蒸気機関が発明され、産業革命となり、応用で鉄道革命が起った。そして近代となる。

 100年前。火星人天文学者の友人である、科学者が騒ぎ出した。

「最近、地球から怪しげな電波が飛んでくるんだ。なんだろう」

 モールス信号、電話、コンピューターの発明がされたようだ。

 もう一度、天文学者が望遠鏡をのぞくと、都市の真ん中には、宮殿に代わって、コンクリートの摩天楼が建っている。現代だ。

.     END

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