随筆・ざっくり考古学02/前期旧石器時代(250万年前)
前期旧石器時代(250万年前)
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ハンドアックス(握り斧)。
アフリカ・中近東・ヨーロッパで多く出土するのだが、日本での出土例はほとんどない。日本で掘り当てた研究者はきっと学界のスーパー・アイドルになることだろう。2000年の旧石器捏造事件を起こした人は、「僕、みつけちゃいました」と主張した。虚言癖さえなければ、宴会で腹芸をするような気さくないい奴なので、周囲はコロッと騙された。「ゴッドハンド」と呼ばれたその男が、明け方こっそり自作の石器を埋めるトリックをつかっていたとは、ごく一部の専門家を除いて、誰も考えなかった。ほかに類例がないものだから、嘘も長年つきづければ歴史になってしまい教科書にまで載った。結果、学界や文部科学省は、世界にむけて大恥をさらしたわけだ。
さて、今回はこのハンドアックスがテーマだ。
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(ハンドアックス画像)
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大きな火山が爆発して成層圏に火山灰が舞い上がったり、地軸がちょっとずっこけたりすると、すぐに地球の気象が変動してしまう。砂漠化したり氷河期みたいな寒冷期になったりする。そうすると、動物は、生き残りをかけて、ましな気候のところに移動するか、突然変異して進化するか、あるいは知恵をつかう。天変地異に対してアクションを起こさなければ絶滅する。
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(猿人画像)
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アフリカ南部の深い森が、乾燥地になり、そこの猿が木から降りて二足歩行をするようになり、猿が猿人になる。400万年前とも700万年前とも呼ばれる大昔のこと。アウストラロピテクスなんかが代表的な猿人だ。そのへんに落ちている棍棒だったり石の塊りだったり、そういう自然物を道具につかうようになる。ラッコやチンパンジー、あるいは、ガラパゴスフィンチやカレドニアカラスのレベルだ。
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(カレドニアカラス画像)
http://cgi2.nhk.or.jp/darwin/broadcasting/detail.cgi?p=p172
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260万年前になると原人が出現。原人は南アフリカを出発して、ゆっくりと、中東・ヨーロッパに達し、そこからユーラシア大陸の東のはずれまで、生存圏を拡げていった。
原人のうち化石化した骨がみつかったのがジャワ原人と北京原人と原人だ。北アフリカ・ヨーロッパからこれまた長い時間をかけて東方に移動してゆき、180万年前ごろに東南アジアに達してジャワ原人になった。70万年前ごろユーラシア大陸の東・中国に達して北京原人になった。
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(原人画像)
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原人の特徴的な文化の痕跡は、礫の塊りを少し加工してつくった、ハンドアックス(握り斧)と呼ばれる最も古い形状をした打製石器の一種だ。
打製石器の製作技法は、直接打撃でつくられる。直接打撃というのは礫や鹿の角といったハンマーで、素材になる石塊の出っ張りをみつけては叩いて、ざっくり、形を作り上げる大技だ。直接打撃の割れ方は、扇子みたいに放射状になる。
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(直接打撃技法 画像)
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ハンドアックス(握り斧)には、西洋梨形・卵形・三角形などがある。
近代の考古学が、人間の歴史を道具からみて、ざっくりと、石器時代・青銅器時代・鉄器時代とにわける三期法で分類してみた。それを各時代を調べてゆく。石器時代を調べていた学者が、石器のつくり方からまた三期法をつかって分類してみた。それで、旧石器時代・中石器時代・新石器時代として理解されるようになる。さらに、旧石器時代を前期旧石器時代、中期旧石器時代、後期旧石器時代に分類されるようになる。
各時期の進化速度は一律ではない。古くなるほどスパンがとてつもなく長く、後になると猛スピード化する。
四足で木に昇る猿から地面を二本足で歩く猿人に進化したのが400万ないしは700万年前。二足歩行で脳容量が大きくなった原人が突然変異を起こしたのが250万年前だ。100年をひい祖父様、祖父様、親父の家系・4世代で考えるなら、100万年は4万世代になる。その単位でざっくり計る、大変、ゆっくりとしたイノベーション(刷新)と進化が、次の段階・中期石器時代を迎えるのは、30万年前の旧人・ネアンデルタール人の出現を待たねばならない。
END




