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散文/十三夜の月 ノート20141108
北風が吹いたとき、越後平野を流れる阿賀野川に、二羽のつがいから十羽の家族づれでの編隊を組んだ白鳥が、空の高いところを、断続的に、飛んできた。
それから鷹の一種・ノスリもやってきた。稲を刈って干からびた水田を貫く農道に並んだ電柱の上を仰ぎみると、ローマ帝国のレリーフみたいに、でんと座っている。
紅葉や楓といった街路樹が紅葉し、ひなびた国道から望める、連なった山々の一番奥にある、岩代=会津地方との国境・イイデ山が冠雪すると、晩秋もいよいよ極まった呈となる。
十三夜の宵口。
白っぽかった月が黄金色になった。
グラデーション。
手前にある土手や休耕田に生い茂るブタクサが菜の花のように黄色く、奥の山脈が青く、さらに冠雪した山が白く、オレンジから紫がかった青へと色を転じた空の上に、ほぼ丸くなった月を浮かべている。
ノート20141108
二〇一四年十一月五日の十三夜は、百七十一年以来の「ミラクルムーン」だったそうな。七日も見事な満月!