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転生少女は暗躍する

作者: 夜桜

今流行りの転生物が投稿したくて

投稿しました。

誤字脱字があったらごめんなさい

窓の外は冷たい雪がポツリポツリと降る中学3年生の冬休み。私は自分の部屋で来年から通う超難関高校『聖リュアント学園』の受験勉強を死に物狂いでやっていましたが、そんなのはものの数秒で終わり。


現在、夜中の2時。私は勉強そっちのけで、かれこれ5時間くらいかな。たまに部屋を覗きに来る親にばれないよう乙女ゲームで遊んでいたところ、記憶の片隅からまるで溢れる噴水のごとく前世の記憶が蘇ったのです!


しかも、あと少しで最初のキャラのエンドが見れそうだった時に。


「まさか、まさか!」


・超難関高校『聖リュアント学園』

・自分の名前

・乙女ゲーム

これらのキーワードが私の頭の中を駆け巡り思い出したのです。そうだここは私が前世、愛して止まなかった乙女ゲーム『ユメイロ七色』の世界。


確か、『ユメイロ七色』という乙女ゲームは引っ込み思案な主人公が聖リュアント学園に入学して、主人公の強く優しい心で様々な性格のキャラを攻略するゲーム。しかも、豪華声優人を使ったゲームから書籍化、アニメ化、ドラマ化、映画化、ミュージカル化した超人気作品。それと、選択肢と攻略キャラが豊富で有名だったはず。


ちなみに、聖リュアント学園は全寮制の学園でもっと詳しく思い出すと、表向きは頭の良い子が通う超難関高校だけど、その裏ではこの学園を卒業した者は必ず自国や世界で活躍することが出来ると約束された国のお墨付き学園だ。


どうして、世界で活躍することが約束されているのかと言うと、実はこの学園に入ったら生徒の全員は必ず能力に目覚める。例えば、ある者は水を自由自在に操れる能力に目覚め卒業した(のち)、優秀な消防士として活躍していたり。はたまた、筋肉強化の能力に目覚めた者は世界を活躍するアスリートになっていたりする。


これは、余分な話かもだけど主人公は怪我を治す能力に目覚めて将来は国境なき医師団に入るとか言ってたね。私の能力は忘れちゃったけど、まぁ聖リュアント学園に入ったら分かることだしどうでもいいか。


そして、私の名前は神崎(かんざき) 彩乃(あやの)。乙女ゲーム『ユメイロ七色』の中でのポジションは主人公の友達で、主人公の事を第一と考え、攻略キャラを主人公の後ろから援護射撃をしたりする優しく良い子だけど、性格が腹黒いを通り越してドス黒く、毒舌で、策略家、しかもイベントでは必ず主人公の裏で暗躍したりするミステリアスで忍者みたいなキャラ。


「よっしゃぁぁあああ!」


兎にも角にも、私は嬉し過ぎて叫んでしまいました。だって、私がこの乙女ゲームをプレイしていた時に一番好きだったキャラは攻略キャラでもなく主人公でもなくライバルキャラでもなく神崎 彩乃。彼女の性格といい、裏で暗躍する姿や援護射撃する姿に中二病心が惚れてしまったのです。


でも、前世このゲームをプレイしていて私は裏で暗躍する神崎 彩乃よりも自分はもっと上手く出来ると思いました。私だったらこの場面をもっとこう出来るのに、と何度思ったことでしょう。


だから、私は決めました。

私はこの学園に入って主人公の裏でゲーム内の神崎 彩乃よりも暗躍し主人公に甘々な生活を送ってもらうのです。そして、甘々な主人公と攻略キャラを傍観して身悶えて楽しみたい!


神様、私は神様 彩乃というキャラでこの世界に生まれ変われて嬉しいです。おぉ、ありがとうございます!

コンコンッ。部屋をノックする音が聞こえました。


「彩乃、大丈夫か?」

「お兄様!私は感動しているのです」

「はぁ…別に感動しているのはいいけど、ゲームしてることバレバレだぞ」

「あっ」

「やるなら、見つからないように上手くやれよ」


冬休みの間だけ寮生活から帰省したお兄様が、私の叫び声を聞いて心配して部屋を覗きに来たらしい。今来たのがお兄様だったから良かったもののこれが、お母様だったら今頃は……家で飼ってる金魚の餌となっていたかも。恐ろしや、恐ろしや。


「はぁ〜。まさかこんなことがありえるのか」


まだ胸の奥がバクバクと鳴り響いてます。ふふふ、そうと決まれば学園に入ってからのイベントをノートにまとめて、これから私がどう動くか考えなくてはね。


「ふふふ…ふふ…」

「ゲームのし過ぎで頭がいかれたか?」

「うわっ!お兄様いつの間に」


引き出しから新しいノートを出そうとしたら、突然、後ろから声を掛けられ振り返るとドアの前にお兄様がいました。本当、いつの間に入って来たんだよ忍者か!


「勉強も程々にな」

「心配して声を掛けてくれるのは良いけど、勝手に部屋に入らないでよ」

「一応、ノックはしたけど」

「知らないし」

「はいはい、それじゃぁ頑張れよ」


ふらーと部屋を出て行きました。お兄様は聖リュアント学園の1年生。でも、来年からは2年生になるのか。そして、お兄様は知らないだろうけど実はあなたも攻略キャラの1人なんだよね〜。


「よし、まずは入学式イベントからだ!」


その日から私は毎日、イベントばかりではなく日常生活の中でもちょいとしたイベントを増やそうと考え1日中ノートにまとめていました。おかげでノートが10冊以上も溜まってしまったよ。


親からは、最近熱心に勉強しているねと褒められた。でも、勉強じゃないけどねー、なんてことは言えないので笑って誤魔化しました。


「彩乃」

「何ですか、お兄様」

「本当に大丈夫か?」

「心配性ですね。私は必ず聖リュアント学園に入るので安心して下さいませ」


だって、勉強しなくても私が聖リュアント学園に入学するのは決まってる事だから、わざわざ難しい受験勉強なんてしなくても良いんだよね。というか、やりたくないし。


「その自信はどこから来るんだ」

「前世からです!」

「母さん、彩乃を病院に連れて行ってくれ」

「ちょっと!お兄様、酷くないですか⁉︎」

「冗談だ」


くそ、真顔で言われたら本気だと思うじゃないか。確か、主人公もお兄様から真顔で冗談を言われて面白いリアクションをしたシーンがあったね。これで好感度が3上がるはず。


「体だけは壊すなよ」

「ありがとうございます」


さーて、今日もノートにまとめますか






* * *





季節は過ぎ、今は4月。今日は聖リュアント学園の入学式&始業式です。えぇ、私はちゃんと受かりましたよ、ゲーム通りにね。そして私は今、お城のような校舎の前で1人、入学式と書かれた看板の前で立っています。辺りにはちらほらと1年の生徒がいますね。


「さーて、行きますか」


主人公の名前はゲームの初期設定の時にプレイヤーの名前に変えることができるけど、ベースは綾瀬(あやせ) 心音(ここね)。ぱっちり二重の黒色のたれ目で、黒髪のセミロング、清楚系の可愛い女の子。身長は153cmと小柄だったはず。


「ここねちゃん、どこかなー」


私は校門のアーチをくぐり抜け両脇にあるバラが咲き乱れた薔薇園に向かって歩き出しました。実は、入学式イベントの最初はここから始まるのです。


主人公は入学式が行われる体育館に行こうとするけど、この大きすぎる校舎で迷子になる。そこで、主人公はたまたま来た薔薇園で攻略キャラであり生徒会長の一之瀬(いちのせ) 幸也(ゆきや)に出会う。


それを見に行くために私は薔薇園に向かって歩いているのです。


「あの、すいません。体育館に行く道が分からなくて」


おっと、声が聞こえて来ました。私は素早く薔薇の陰に潜み、薔薇と薔薇の少しの隙間からここねちゃんと攻略キャラの生徒会長を覗きました。


「君の名前は?」

綾瀬(あやせ) 心音(ここね)です」


ここねちゃんの声、甘くて可愛いなぁ。それに、ゲーム内でも可愛かったけど、リアルの方がもっと可愛い。なんですかあれ、天使ですか?写メ撮りたい!


「ここねさんだね」


生徒会長は柔らかいクリーム色の髪の毛に淡い水色の目。身長は169cmくらいで見た目通り優しい王子様系。ちなみに生徒会長の能力は人の心が読める事だけど、本人はこの能力があまり好きではないらしく滅多なことがない限り使わない。それと、好感度が上がって来るとさん付けからちゃん付になるんだよね。


「体育館なら、僕も行くから一緒に行かない?」


はい、ここで選択肢3つ。

1つ目は『はい』

2つ目は『いいえ』

3つ目は『戸惑って逃げる』

普通に選ぶなら1つ目の『はい』だけど、この1つ目を選ぶと生徒会長との好感度は0のままスタートする。逆に2つ目を選ぶと、逃がさないとかそんなことを言われ、手を繋がれながら体育館まで行く、好感度2上がる。3つ目は、なんだっけ?忘れちゃった。


さぁ、ここねちゃんどうする?


「いえ、先輩の手を煩わせることは出来ません」


と言うことは、ここねちゃんは2つ目の『いいえ』を選んだわけね。


「これも何かの縁だから、行こう」

「えっ!」

「ほら、早く」


はい、手を繋がれて体育館の方に行きました。うーん、私としては3つ目が気になったけど、まぁいいか。


私は立ち上がって体育館へと駆けて行く2人の後を微笑ましく見つめました。いやぁ、薔薇園を駆け抜ける2人はとても絵になりますなぁ〜。


「録画すればよかったぁ」


これから、生徒会長とここねちゃんは体育館に行くんだけど、その前に生徒会長が校舎の生徒会室に行って、ここねちゃんを生徒会のみなさんに紹介するんだよね。理由は可愛い女の子を紹介したかったとか云々(うんぬん)。


「まだ、私が出る幕じゃない」


私がここねちゃんと出会うのは同じ教室で自己紹介をした後の雑談タイムで友達になる。


聖リュアント学園の攻略キャラは生徒会の5人と風紀員の3人と部活で2人、先生が1人。後、その他のイベントで3人と計14人の攻略キャラがいる。本当、攻略キャラが多いんだよね。前世でプレイしている時、名前を覚えるのが大変だったな。


その時、始業式があと10分で開始するチャイムが鳴りました。急がないと始業式に遅れる!




* * *




無事に始業式には間に合い、校長の長い話と、これからの学園生活や寮生活の事を聞き終え、やっとクラスに行きます。長くて寝そうだったよ。


1年生は1組から5組まであって、私は1ー3になりました。もちろん主人公のここねちゃんも一緒です。席は廊下側から2列目の前から2番目。そして、私の右隣にはここねちゃんが座っていました。


「じゃぁ、まずは自己紹介から」


担任の指示で自己紹介を始め、数分で終わりました。そして、ここから生徒達は自由に雑談タイム。ここねちゃんには選択肢が2つ出ます。


1つ目は『辺りを観察する』

2つ目は『隣の人に話しかける』


私としては2つ目を選んで欲しい。だって、隣の人は私だから。別に1つ目を選んでも、どの道、私と話すんだけどね。横目でここねちゃんを観察していると、どうやら1つ目の『辺りを観察する』を選んでしまったようです。キョロキョロと辺りの様子を伺ってます。


つられて私も辺りを見てみると、もうすでに女子ではグループが出来あっているではありませんか!女子ってグループ作るの早いよね。あとから入ろうとしても入りづらいしさ。


「うわー」


ここねちゃんも、女子のグループ作りの早さに小声で驚いています。さて、ここねちゃんが選択肢2を選んでしまったので私から話しかけますか。


「ここねちゃんだよね?」

「はいっ!私、綾瀬 心音って言います!えーと」

「私は神崎 彩乃。よろしくね」

「神崎さん、よろしくお願いします」


ここねちゃんは最初、人見知り&引っ込み思案で誰にでも敬語を使うんだった。でも、生徒会長みたいに親密度が上がるとあだ名や、ちゃん付けで呼んでくれる。本当は呼び捨てで呼んで欲しいんだけどね。


「今日、この雑談タイムが終わったら生徒は自由時間でもう寮に帰れるよね」

「はい」

「私さ、この自由時間に学校の中をいっぱい見て見たいんだ!」

「私も気になります」

「その、これから空いてる?もし良かったら一緒に行かない?」

「良いんですか!」

「良いも、何も、私はここねちゃんと一緒に行きたいんだ」


本当はゲーム内でのここねちゃんは彩乃と話した雑談タイムの後、真っ直ぐ寮に帰って明日からも頑張るぞって意気込んで一日を終えるんだけど。


早く、ここねちゃんと攻略キャラに恋愛フラグを立たせて甘々なシーンを見たい私は、これから攻略キャラに会える確率が高い場所にここねちゃんを連れて行きます。シナリオには無いことだけど、別に良いよね。


「神崎さん、行きましょ!」


でも、


「神崎さん、じゃなくて彩乃って呼んで」

「はい!」


名字プラスさん付はやめてほしい。仲良くなるためにもまずは呼び方からだよね。



* * *





自由な雑談タイムが終わり、1年生の諸君は寮に戻ったり、この広い学園を友達同士で見回っていますね。


「私たちの他にも見学する人がたくさんいるのですね」

「本当だ。多いね」


これは予想外。まさかここまで多いとは、でもそんな事は関係ないね。


「ここねちゃん、どこに行きたいか希望はある?」

「広過ぎて、逆にどこに行けば良いのか分からないですね」


えへへと、はにかむここねちゃんはマジ天使!やばい、可愛過ぎる。しかも、身長が156cmの私よりも低いから自然に上目遣いになって、もう……もう、ダメです。男が惚れる理由が今ならわかるよ。


「彩乃、息が荒いけど大丈夫?」

「だっ、大丈夫だよ」


はぁはぁ、言ってたんだ。よそから見れば変質者って思われないかな。よしよし、気を取り直して。


「まずは、図書館から行こうか」

「はい!」


図書館は生徒会の副会長、三神(みかみ) 幸助(こうすけ)に出会える確率が高い場所。キャラは好きな子には意地悪してしまう、不器用なキャラ。能力は、どうしても思い出せなかった。


「ここねちゃんは生徒会のみんなには会ってるよね」

「なんで、知ってるの。もさかして、さっき先生が言ってた能力を使ったの?」

「ううん、違うんだ。入学式が始まる前にここねちゃんが生徒会長に連れられて行くのをたまたま見ただけで」

「そうだったんだ」


うっかり口が滑っちゃったよ。


「それにしても、この学園に入ったら能力が使えるようになるだなんて驚いたよ。私はどんな能力が使えるようになるんだろうな」

「ここねちゃんの事だから、きっと良い能力が使えるようになるよ」


能力が使えるようになるのは個人差で、早い子は明日にでも開花するかも。遅くても入学から1ヶ月以内には必ず能力が使えるようになる。


どうやら、話している間に図書館に着きました。図書館の自動ドアが開き中に入ります。入った瞬間、本と太陽のような暖かい匂いが広い空間に充満していました。


「誰も、いないみたいだね」

「うーん、でももう少し奥に行ってみようよ」


図書館の一番奥、高級そうな椅子が並ぶ中、私とここねちゃんは程よく日が当たる場所に誰が座っていることに気が付きました。


「お前は」

「あっ、生徒会の人だ」


ここねちゃんと三神先輩は朝に会っていますから顔見知りですよね。それにしても、三神先輩もここねちゃんと同じでゲーム内で見た時よりも随分とかっこいいんですね。まぁ、攻略キャラは全員イケメンなんだけど。


「彩乃、逃げよう!」

「えっ、ちょっと」


突然、ここねちゃんが私の手を引いて図書館の入り口までダッシュしました。あれ?おかしいな。こんな態度はゲームの序盤では無かったのに。


「はぁ、はぁ」

「ここねちゃん、大丈夫⁉︎」

「あの人は人をいじめて楽しむ悪い人なの!だから彩乃は近づいちゃダメ!」


どうやら、朝に何かあったようです。ゲームではただ単に普通の会話をするだけだったのに。


「次、次行こう!」

「う…うん」


いつの間にか私がリードされてるのは気のせいかな。


「あ、それなら良いところがあるよ」


今度は風紀委員の全員と会える場所に連れて行こうではありませんか。



* * *




とある校舎の3階にて


「彩乃、ここは?」


今、私達は茶色い大きな扉の前で立ち止まっています。


「風紀委員の部屋だよ」

「えっ、そんなところ勝手に入って良いの」

「いいんだよ」


ここねちゃんが、これから風紀委員の3人と恋愛フラグを立たせるためなので勝手に入ってOKなんだよ。

コンコンッ

心配するここねちゃんを他所(よそ)に私は風紀委員のドアをノックしました。


「誰だ?」


低ボイスで私達に話し掛けながら部屋から出て来たのは身長も肩幅も大きくおじさん顔の先輩。つまり、老けている高校生って言うのは失礼だね。この人は3年の剛田(ごうだ) (みつる)、名前の通りごつい顔が特徴の攻略キャラ。能力は筋肉を強くすることだから、重い荷物を持つ時に軽々と持つことが出来るのだ。


「初めまして、1年の神崎 彩乃と言います。2年の神崎 彩斗(あやと)はいますか?」

「神崎 彩斗。ん?よく見ればお前、彩斗と似ているな」


神崎 彩斗は私のお兄様の名前で風紀委員をやっているのです。


「雰囲気と言い、紫のつり目と言い。彩斗の妹か?」

「はい、お兄様がいつもお世話になっております」

「彩乃のお兄さんって風紀委員だったの⁉︎」


私の目はつり目の薄紫色で髪の色も黒寄りの紫。これは、お兄様も同様です。


「剛田、どうしたんだ?」


大きな剛田先輩の後ろから出て来たのは細身でミステリアスな雰囲気を醸し出しているお兄様が出て来ました。


「本当だ、彩乃と似てる」

「彩斗を女バージョンにした感じだな」


2人が私とお兄様を見比べています。お兄様の後ろを見てみると部屋の中には誰もいませんでした。


「あれ、もう1人の風紀委員の人は?」

鏑木(かぶらぎ)は熱で休んだ」


剛田先輩とお兄様と鏑木先輩が風紀委員での攻略キャラ。確か、鏑木先輩はとても病弱なんだよね。で、能力は手で触れたものは全て腐敗させることが出来る能力だから、鏑木先輩は常に黒い手袋をはめているんだ。


「で、彩乃。ここに何しに来たんだ?」

「友達のここねちゃんと一緒に学校内を探索していました。綾瀬 心音、心に音って書いてここね。ここねちゃんですよ。こんな可愛い子を忘れるはずがありませんよね。ねぇ、剛田先輩?」

「おっ、おお」


そして、攻略キャラに出会える確率が高い場所に行き攻略キャラに、ここねちゃんの名前を売ろうと考えてました。その方が早めに恋愛フラグを立てれそうでしょ?


でも、図書館では三神先輩と出会った瞬間、ここねちゃんに図書館から連れ出されてしまったし。あわよくば、今日中に攻略キャラの風紀委員と先生と部活の2人に会いたかったんだけど風紀委員は1人欠けてるし、部活と先生に会うのは来週から始まる部活勧誘で出会うのがベストと思って今日は辞めにしました。


「本当に、それだけか?」


お兄様、何ですかその疑い深い目は。まるで、私の心を見透かすような事をしますね。でも、お兄様の能力は音を操る能力。超音波を出したりする、あれね。だから、心を見透かすことは出来ないけど勘はすごく良いんだ。


「いいえ、本命はここに来て遊ぶことでした。ですから、風紀委員の部屋におじゃませて下さい。そして、私達と一緒にウノやりましょう!」

「帰れ!」


お兄様は私とここねちゃんを風紀委員の部屋から追い出してしまいました。私ならともかく天使のここねちゃんまでも追い出すとは、お兄様はあとでしめてやらないとね。


ここねちゃんにお兄様の愚痴を言いながら寮へ帰宅していると突然、ここねちゃんが笑い出しました。しかも、爆笑です。


「ここねちゃん、どうしたの⁉︎」

「ううん、何だか彩乃が面白くて笑っちゃった」


ズッキューン!

涙目になりながら笑うのは卑怯です。女の私でもドキッとしてしまいました。


「だって、最初の彩乃ってミステリアスな感じで、話したくてもどうやって話したら良いのか分からなかったんだ」


確かに、私の雰囲気はお兄様と同じでミステリアスで掴み所が無いんだよね。


「でも、今は最初のミステリアスな感じが無くて、なんだろう一緒にいて楽しいよ」


つまり、私に打ち解けてくれたんだ。そう言えば、口調も敬語から普通になってるもんね。私とここねちゃんが友達になる事は絶対だったけど、こんなに早く打ち解けてくれるだなんて私は嬉しいよ。


「友達だもんね!」

「友達以上の関係になろうよ」

「親友ってこと」


やったぁ。友達以上の関係って親友だよね。


「ううん、親友以上の関係だよ」

「ほぇっ!」


えっ、ここねちゃん…それは、どういう意味で。


「冗談だよ。彩乃の反応、かわいいね」

「びっくりしたぁ」


まさか、ここねちゃんにこんな茶目っ気があるだなんて知らなかった。この情報はゲーム内には無かったぞ。


「ほら、寮まで競争だ!あの夕日に向かって走れー!」


確か、ここねちゃんって引っ込み思案&人見知りの性格だったよね。それなのに、こんなハイテンションは驚きです。


若干ゲームとは違うけど、これはこれで良いや。

さて、明日からは本格的に授業が始まる。

ここねちゃんを攻略キャラと甘々な関係にするため私は頑張りますよ



〜読んでいただきありがとうございました〜

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