第3話:鏡世界の自分が現実化
その日、朝の光が部屋に差し込むと、いつものように私は鏡の前に立った。
しかし、鏡の中の自分は、ただ映っているだけではなかった。
まるで息をしているかのように、微かに体が揺れ、視線がこちらを捉えていた。
そして、ほんの一瞬――
気がつくと、鏡の中の私が、こちらの空間に溶け込むように現実の私と重なった。
「え……?」
驚きの声が喉から漏れる。理性は瞬間的に凍りつき、でも胸の奥の熱が抑えられない。
鏡の自分は、清楚な仮面を脱ぎ捨てた妖艶な姿で立っていた。肩や首筋は柔らかな曲線を描き、視線は意図せずこちらを挑発する。
「…これは……私?」
呟きながらも、全身の神経がビリビリと反応する。
指先が自然と髪に触れ、呼吸が荒くなる。胸の奥の甘い熱が、一瞬のうちに体中を駆け巡った。
鏡の自分は微笑むだけで何も言わない。でもその微笑みが、私の内面の抑圧を、恥ずかしいけれど心地よい衝動へと変えていく。
思わずスマートフォンに手を伸ばしてしまった。指先が触れるたびに、心臓が高鳴り、体の奥から甘い震えが湧き上がる。
「……見せちゃだめ、でも…見てほしい」
理性が声を上げる前に、鏡の自分の視線が、私の行動を肯定するように重なる。
羞恥と快感、理性と欲望の境界が、まるで溶け合うように消えていく。
鏡の自分に導かれながら、私は初めて、自分の中に眠っていた大胆さと妖艶さを現実に解放した――。




