第2話:鏡の自分との遭遇
翌日も、私は鏡の前に立っていた。
あの微かな違和感は、ただの錯覚じゃなかったことに気づいたからだ。
鏡の中の私――彼女は、昨日よりはっきりと、私の視線を受け止めている。
清楚な服装は同じでも、どこかしなやかで妖艶な空気を纏っていた。肩や首筋のラインが自然に強調され、指先の動きも、無意識に人を誘うようにしなやかだ。
「……こんな風に見えるの、私…?」
声に出して呟く。心臓が、胸の奥が、甘くざわめく。理性は必死に否定するけれど、目の前の鏡の自分は、まるで私の内面を映すかのように微笑む。
その微笑みは、恥ずかしいほど心を揺さぶる。視線が絡み合うたび、胸がきゅっと熱くなる。呼吸が少し荒くなり、指先が自然に髪や首筋に触れるたび、全身の神経が敏感に反応するのを感じた。
「これが…私の本当の姿なの?」
理性が震える一方で、内側から湧き上がる衝動を抑えられない。鏡の自分は、私の戸惑いを楽しむように、じっと見つめるだけで何も言わない。けれど、その沈黙が逆に胸を締めつける。
私は思わず、指先で鎖骨に触れた。皮膚の感覚が、鏡越しの視線と重なり合って、胸の奥で熱い波を作る。鏡の自分は微笑みながら、少し首を傾げる――その仕草が、私の理性を少しずつ溶かしていく。
「……怖い、でも…離れられない」
呟いた言葉は、私自身への告白だった。
鏡の自分に導かれるように、私は自分の内面を覗き込む。恥ずかしいけれど、目を逸らすこともできない。
鏡越しに、自分の欲望と羞恥が、静かに、しかし確実に目覚めていくのを感じた――。




