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第9話 動画投稿者になりたい客の話

名前のないキャラが多いのは名前を考えるのが苦手だからだったりします。そろそろ不便なのでまとめて考えるべきか?

この世界に存在しない国の金貨、魔法が込められた指輪、想像上の生物の角や鱗、伝説の武具等々の「宝具」を持ち込む異世界転移・転生・帰還者がよく来る古物商リサイクルショップ「ほうぐや」の話


異世界転生・転移者が帰還する理由の多くが人間関係だったりする、と以前話したと思うが、人間関係以外の理由で帰って来る人間もいる、その中でも切実なのが環境が生存に適さない、適さなくなってしまったというもので


魔王との決戦による魔力の汚染的なもので人の住めない大地となり買ったは良いが人類絶滅コース、元から毒性のエネルギーによって文明が成り立っているような世界でどうあがいても先細り確定コース、なんなら最初から人類絶滅しており数人からスタートで遺伝的問題で数代持たない…とどうにもならない状況に転生させられてはどうにかなるのであれば良いがどうにもならずに帰ってくる例が極稀にあったりする


基本的にそうならないように転生者を送り込んでいるのだが、正直地域の話レベル、最大でも1国家単位の開拓の話であったり、魔王1人倒せばなんとかなるなら解決できるのだが規模が星単位となると個人ではどうにもならないのである。


それでも一縷の望みをかけて勇者召喚をしてある程度頑張るものの、最終的には絶滅コースで帰還となった、そんなおっさんの話である。


3~40代、いや環境が悪かったせいかやや年老いては見えるが30代で、身長180cm超でかなり筋肉質で首も肩も腕も足も…全身太い、と感じる体型ではあるが鈍重というよりすごく力強い感じだった。

眉も太く折れない、というか頑丈という言葉がぴったりだった。

長髪というより切る余裕すらなかったのか後ろで縛って伸ばしっぱなしにしている感じで全体がかなり日焼けしてはいるが汚い感じはない服はラフな格好ではあったが綺麗だった。恐らく某団体が防除として洗浄・着替えは交換してくれたのだろう


そんな歴戦の戦士みたいな風貌のおっさんの第一声からぶっ飛んでいた


動画配信(好きなこと)して生きていきたいので力を貸してほしい」


と、最初言われていることがわからなかった


「動画配信者になりたい、と?…いや、うち古物商だからそのへんについてはほとんどわからんぞ」


が、このおっさんは以外に冷静だった


「俺の転移先は元から人が住めるような環境ではないような世界に召喚されたんだが、そこで土壌改善やら浄水、その他諸々を行って少しは効果があったが焼け石に水状態で最終的に頑張って開拓した村もモンスターに破壊し尽くされ人間も絶滅したので帰ってきた」


非常に簡潔にわかりやすい説明だった


「それは…なんというか大変な…でもそれがなんで動画配信者に?」


そう聞くと豪快に笑いながら


「あっちでは衣食住すべてを0から、いやマイナスからスタートだったんでな、それらを揃える技術には自信があるんだが現代の日本においてはあまり役に立てられるスキルではないからなぁ…ちなみにチートはそんな世界でも怪我・病気になりにくい「無病息災」と様々な環境に適応できる「適者生存」、どんなものを食べても腹を下さない・消化できる「鉄の胃袋」…といったサバイバルに特化したものでそれに加えて農業・自然・科学などの知識を与えられている。」


あっさり自分のできることを事細かに伝えてきた。なんというか見たままの様な性格らしい。


「なるほど、たしかに便利なスキルやチートは持っているが現代で役に立てるのは難しいよなぁ…」


と返すと、そうだよなぁ、と頷きながら


「そんな訳でこれらを活かすとなると一番真っ当なのが肉体系の労働となるんだが、元々詰んでいた世界とはいえ人類を絶滅させてしまった自責の念もあってな、正直あまり直接人間と関わりたくない」


と、先程までは豪快に笑っていたがここは真顔で言われてしまった


「…」


まぁ、いくら解っていても、そこは下手に触れてはいけない、なので沈黙して黙って頷いた


「とは言え都合よく他人に関わらずこの辺のスキル・チートを活かせるとなると思いついたのが転生前に結構楽しくて見ていた野生動物狩って食うとか、いろんな物クラフトするみたいなのを動画で公開するやつとかが良いんじゃないかなぁと、それなら他人と直接関わる必要もないしな」


とのことだった、見通しはかなり甘いかもしれないが最悪それだけのスキルとチートを持っているならば野垂れ死ぬことはないだろう


「まぁ最悪動画配信がダメでも開拓して農業で食ってくっていう手もありだろうし」


ということも十分にあってなんとかなりそうかなぁぐらいは見えてきた。


「うんうん、このチートがあれば最悪土食って生きてくこともできるしな」


と笑いながら言ってきたが


「それはネタにしないでくれよ、ドン引きされるし最悪危ないことしてるって動画消されるぞ」


と、そこまで知識はないが炎上しそうなことは注意しておく


「うん、流石に飢えて土食ってる動画はダメだよなぁ、まあ普通に開拓とか農作業がメインになるだろうしそれだけで食っていけるならそれでも良いんだが、流石に一人でやってる農家だけで生きていくのは難しいだろうから、副収入程度でも入れば良いんだ」


とのことだった、そういうふうに考えてるなら最初からそう言ってくれ


「わかっった、そうなると最低限開拓に必要な道具と撮影器具とかパソコンか、インターネットの回線も必要になるが、最近はスマホでなんとかなるからな」


と指折りながら必要そうなものを挙げていく


「道具は出来れば頑丈なやつをお願いしたい、後代金の支払いだがコッチに戻ってきたときに異世界からの帰還者に対する互助団体を名乗る人から危険があるかもしれないから持っていた荷物と服などを引き取る代わりに数百万円ほど頂いているのでそちらから支払える」


とのことだった、やはり某団体さんが服とかを用意してくれたらしい、とても助かる。後金とか持ち込んでいたとしても汚染とかになるとこちらではわからなかったので現金化してもらえたのはとても助かる、ぐっじょぶ、某団体


「了解、それでは頑丈さ優先で道具は揃えるとして機材類はうちのリサイクルショップじゃぁいまいちだろうからそういうのに詳しい普通の同業者に言って揃える。後壊されてもなんなのでそのへんの機械類はうちの従業員にアーティファクト作成が得意なやつがいるんで簡単に壊れないように強化してもらうわ」


そう言うと、必要そうな道具を軽く見ると、昨今のキャンプブーム(今はやや下火だが)によりそのへんの道具の在庫は結構あったので頑丈そうなのを見繕う


「本当に助かる、ありがとう、恩に着る。後開拓する場所についてはどこか心当たりとか無いかな?勝手に山奥とかでやったら捕まるだろうし、場所はどこでも良いんだけど出来れば人里離れた場所がいいんだが...」


そう言うと拝むように手を合わせながら頭を下げてきた


「いや、それはもちろん商売だから問題ないさ、でもって、開拓する場所だがお前さんみたいなの(異世界からの帰還者)の事情に詳しい弁護士さんが、亡くなった方の土地を管理していたので今回向きの土地を余らせてるかもしれないので今から相談してみるわ」


そういって、携帯電話を取り出し、馴染の弁護士さんに連絡するのだった…



---

後日、おっさんのチャンネルが開設されて動画投稿が始まった。ストロングスタイルのサバイバル&クラフト・農業動画配信者として少しずつ登録者が増えていってるようだった。


ちなみにバカ正直に異世界帰りを自称しているが視聴者は誰も信じていないようだ、事実は小説よりも奇なりというか…


農業だけでとりあえず生きていくことは問題ないだろう、ただ流石に某団体から渡されたお金だけでは土地の購入と維持は難しいだろうから収益化できるようになることを祈っておこう…

書き終わってチェックしてる最中に、そういや異世界から帰ってきて動画配信者始めるところってアレだな…と思ってしまったのですが今更だったので…おっさんは天涯孤独で甥っ子とか居ません、多分

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