第8話 タイムリープ能力者の話
えぐい話はすっぱり削ったらいつもの1/2ぐらいになりました
この世界に存在しない国の金貨、魔法が込められた指輪、想像上の生物の角や鱗、伝説の武具等々の「宝具」を持ち込む異世界転移・転生・帰還者がよく来る古物商リサイクルショップ「ほうぐや」の話
タイムリープ、ループものといったジャンルを知っているだろうか?具体的な作品名を上げるわけにはいかないが…まぁタイムリープが作品名ではあるので真っ先に出しているとも言えるがそこはゲームジャンルにおける「ソウルライク」みたいなものなので影響を受けた作品郡のタイトルがそのジャンルを示す言葉になっていることがある。
…話がそれたが、異世界転生・転移者にその能力を持った人間がいる。もちろん帰還者にも
ただ、帰還者のほとんどがその能力を破棄・封印して帰って来る。今日は新しくうちに来た客からいつも通り軽い事情を聞くつもりだったのだが、かなりヘビーな内容だった
「そりゃぁ、最初の方は滅茶苦茶キツかったりすることもありますが、逆に好きなだけ結果をコントロールできるから楽しいと思って気軽にループするんですが、それを繰り返すと箍が外れてしまうんです」
本人は軽く言っているが箍が外れる、というのは非常に重たい言葉だった。
片方は義眼、義手、義足、恐らく内臓の一部も何らかのマジックアイテムに置き換えており、人体の半分はほぼ人ではない状態になっているオッドアイの優男は絞り出すようにそう言った
「それは、一番良いくじが出るまで繰り返し続けるみたいな感じか…」
下手なことも言えないので、半分独り言のような返しをする
「はい、それも他人の人生まで捻じ曲げて行う様なタイプの、更に僕自身はノーリスクで」
と、言っているが今の状態を見ているととても
「そのナリでリスクがないとは到底思えないのだが…」
と思うのだが、それを乾いた笑いをしながら事情を説明してくれた
「大きな戦闘に巻き込まれまして、仲間の必死の治療の結果なんとかこの状態で一命を取り留めたものの半年以上意識が戻らず、その間に自分のチートで巻き戻れる限界時間を過ぎてしまいましたが、僕はこれで良かったと思っています」
「そうか…良かったと口が避けても言えないが、納得しているようなら私が何か言うことでもない」
そう返すと彼は空元気ではなく
「この体も結構良いんですよ、ほぼ劣化も老化もしないですし魔法で動かしている分多少負荷はありますが以前より力を出せますし、なにより仲間との思い出でもありますからねこればっかりは無くさずにすみます」
と、しっかりと笑って返された
「そうか、ところでどうしてこっちに戻ってきたんだ?」
といつもの癖で聞いては見たものの、言った直後に聞いてはいけなかったかもしれないと思ったが
「それはですねー仲間がみんな家庭持ったり子ども出来たりで自分が手を出さなくても普通に幸せになっていたのでこれ以上あの世界に干渉するのも微妙だなぁと思いまして、それにいつかチートを使って影響出ても嫌ですしね、どうにかチートを使用しないように封印出来ないか調べた結果、こちらに戻って来る際にある程度スキルを封印できるようしてもらえるとのことで、戻ってくることにしました。」
どうやらタイムリープチートは某団体が注意するチートに思いっきり該当するため本人が望めばチートの方を封印することができるらしい、ただし事故死などが発生して調べられたりするとマズイので完全に封印ではなく自動防衛機能だけは働くようにして封印処理をするらしい、なので「ある程度」とのこと
「なるほどなぁ…つまり、今日うちに来たのはこちらので生活費のためかな?」
そう聞くと、ゴソゴソと後ろの鞄から小さい袋を取り出して
「はい、とりあえず家を借りたり仕事を始めるまでの資金が必要でして…」
とのことで、換金の説明をしつつつい先日お世話になった弁護士さんも紹介する、意外に早くあの家の利用者が埋まりそうだな…と思うのだった
好きなタイムリープ作品は秋葉原を舞台にした某作です。