第2話 異世界から通販できる客の話
主人公の名前決めてなかった(今更
この世界に存在しない国の金貨や、魔法が込められた指輪などの装飾品、想像上の生物ドラゴンの角や鱗、伝説の武器(は銃刀法に引っかかるので買い取りNG) 等々の「宝具」を持ち込む異世界転移・転生者がよく来る古物商リサイクルショップ「ほうぐや」の話
今日も今日とて、客はやってくる。
が、今回は一切来店しないが利用頻度の多い客の話。
それはある日の出来事だった。
普段利用しているネットスーパーの履歴を見ていて気がついた。私の記憶のない買い物がされており買い物した分の金額が加算されていることに。
それも配送先が文字化けになっているが正常に処理されている。
最初は不正アクセスを疑ったが、その疑いを持った直後にメールが届いた。
差出:繝?Α繧ヲ繝ォ繧エ繧ケ
件名:繝?Α繧ヲ繝ォ繧エ繧ケ 名義での買い物について
という文字化けを起こしている宛先からのメールだった。というより何故これで送れるのだろうか?
そんなことを思いつつ、メールの中身を確認するべきか考えあぐねていると、いきなり携帯電話が鳴った
発信元は同じく「繝?Α繧ヲ繝ォ繧エ繧ケ」となっていた。
怪しい、とにかく怪しいが客商売をしている癖であまり待たせるわけにもいかないと思い直し電話を取るとすごい威厳に満ちた声ではあるがすごく丁寧な口調で話しかけてきた
「もしもし、私 繝?Α繧ヲ繝ォ繧エ繧ケ と申します。「ほうぐや」の店長様でしょうか?今お気づきになられたメールの件についてお話したいことが…」
と、言い出した。いや、メールに気がついたってことをなんで知ってるんだと思いつつ、これはあかんヤツだと思いつつ返答する。
「はい、私が「ほうぐや」店長の藤原です。申し訳ないのですがお名前が聞き取れなかったのでもう一度よろしいでしょうか?」
そう返すと、相手は安心したのか明るく軽い口調で
「いやーすまない、私の名前は人間には発音できない様なので、君たちの言葉に置き換えると異世界の…君の国ならイザナギ、他の国だとデミウルゴス、ブラフマーなんて呼び方が正しいかな?」
とフランクに返答された、はい、異世界の創造神様案件です大変有難うございました。
「なるほど…異世界の神様ということでよろしいですね? それでメールの件とのことですが、申し訳ないのですがメールアドレスがバグっていたので開こうか迷っていてまだ内容を確認できていないのですが…」
と、なんとか返したは良いものの内心はビビりまくりである。神様相手に嘘とかは間違いなく通じない。これがたとえどんなに怪しい異世界人であっても私が真っ当な商売を続けている理由の一つである、などと考えていると
「うん、その考えは素晴らしいね、だからこそ君にお願いしたいことがあるんだ」
と、あっさりこちらの考えを読まれた。となると、もうこれは諦めて腹を括るしか無い
「どういったご用件で?タイミング的にはネットスーパーでの買い物に関することだと思うのですが?」
というかそれ以外でも困るのだが
「お察しの通り、恥ずかしながら私の部下がやらかしてね、君たちの世界の食べ物を食べてみたいからという安直な理由で勇者召喚に紛れ込ませた戦闘能力も持たない男性に元の世界での買い物ができる能力を与えてその代償として異世界の食べ物を要求していたんだ」
と、嘆息混じりに説明してくれた、ただそれなら別に私のアカウントで買い物しなくても良いのでは?と思ったが口に出さないとどんどん思考を読まれそうだったので、ちゃんと質問することにした
「そういったスキルであれば、別に私のアカウントで買う必要はないのでは?というかそもそも部下の方が直接ネットスーパーで買い物すればよかったのでは?」
と聞いてみたところ、いくつかの理由で難しいとのことだった
「まず、基本的に異世界の神は君たちの世界・人間に基本的に干渉できない、例外は私の世界に転移・転生させることでそれ以外は出来ないと思ってくれて良い、そしてその転移・転生もそちらの神の許可が必要となる。そうでないと我々はただの人さらいになってしまうからね。ちなみに今回の連絡はこの世界の神様の許可を得て臨時でちょっと無茶をして連絡させてもらっている、なので発音できない名前などが文字化けするということまでは想定できていなかった」
とのことだ、確かに異世界の神様が無差別に人を転移・転生させていたら世の中はもっと滅茶苦茶になっていただろう…
「つまり、世界に干渉できないということはネットスーパーなどの買い物をすることも出来ないと?だから転移した人間にネットスーパーのスキルを与えて異世界でこちらの世界の食べ物を仕入れさせていたと…でもそれで買い物ができているのであれば、何も問題ないのでは?」
と思うのだが、どうやらそうはいかなかったらしい
「うん、最初のうちは問題なかったみたいなんだけどね。異世界転移したということは異世界転移者した彼はこの世界では既に何らかの理由で死亡となっているという事でそういった人間のネットスーパーのアカウントで買い物されていたり銀行口座のお金が増えたり減ったりしていたらどうなると思う?」
「…良くて不正アクセスでしょね…なので、こちらで事情を把握できそうな私のアカウントを利用したということですか、それならば事前にお伝えいただければよかったんですがね」
と、大体の事情は理解できたが、どうやらそれだけではないらしい
「事後報告になったことは本当にすまない、ネットスーパーのアカウントが不正アクセスでロックされスキルが利用できなくなったタイミングで運悪くダンジョンで遭難してしまってな、能力者が飢えてマズイ状態になってから部下が泣きついてきて事態が発覚したのだ、そのためとりあえず君のアカウントを経由してスキルを復旧させて今に至るという訳だ」
うーん、そうなるとこの神様というより部下の人のやらかしの尻拭いかぁ、大変じゃのぅと考えているとそれを読んだのか察したのか
「そんなわけで申し訳ないがネットスーパーのアカウントを利用させてもらいたい、もちろん購入費用に加え報酬は別途支払わせてもらう」
とお願いされてしまった。そうなるとこちらとしても断る理由も特にないので
「わかりました、買い物する量が増えるとそのうち怪しまれてしまうかもしれないので、地域のネット買い物代行ということで処理させてもらいますので、細かいことを…」
という感じで、新規に本人は一切来店しないが(店のアカウントの)利用頻度の多い客が誕生したのだった
ちなみに、暫くして落ち着いた後であちらの神様から教えてもらったことなのだが、原因となった部下は暫く(転移させた人間の寿命が尽きるまで)の間、こちらとあちらの世界を繋ぐための中継器のような役割(かなり魔力的なエネルギーを使い続ける模様)と言う名の強制労働に従事させられるようになったそうだ
ただ、それだけでは可哀想なので日に500円までの買い物は許されているとのことで、本人もそれなりに楽しんでいるようで何よりだ、そして、その裏で神様が部下を経由してそれなりのお値段をするお酒を何度も購入していて、それが他の神々にバレてちょっとした神々の戦いが起きそうになったというのは別の話
主人公の名前が一番時間掛かった、名字は普通で名前に宝物を示す宝石の名前を代々いれるということにしました。(でも作中では名前名乗ってない、碧の予定
この一族に双子が生まれると水宝玉と紅(それ以上はいけない