第12話 xxの錬金術師の話
エピソードタイトルと書き出しをコピペするところまでは何を書くか決めてないので
タイトル決めるのは本文書いてからです
この世界に存在しない国の金貨、魔法が込められた指輪、想像上の生物の角や鱗、伝説の武具等々の「宝具」を持ち込む異世界転移・転生・帰還者がよく来る古物商リサイクルショップ「ほうぐや」の話
錬金術というものを知っているだろうか、これは普通に存在する言葉でなんなら辞書やwikipediaにも乗っている卑金属を貴金属に精錬したり不老不死の薬を作ったりする術を指すものである、まぁ実際にそれらが実現したという話は置いておこう
だが、これがチート能力となると話が変わってくる。チート能力の錬金術というと"卑金属を貴金属に精錬"という言葉の前に”ありとあらゆる常識と物理・科学的法則等を無視した"などの言葉がついてしまう
うちのアルバイト店員である魔法鞄作りのチート能力者も大概アレな部類に入るがそれでも錬金術師よりはマシ、という言葉がつくレベルである。
そんな訳で今日の客は厄介な能力者のトップ層に君臨する錬金術師の話
とは言えすべての錬金術チートが厄介というわけではない、中には賢者の石よりケーキを作ることに情熱を燃やしている奴もいればポーションも現代の薬よりは有効だが素材に限りがあって作れないなど制限のあるものも居るが、眼の前に居る男性は例外だった
男性の見た目は20代のメガネの高身長の優男で髪はかなり長くオールバックにしている、衣服に頓着がないせいかアロハに短パンなのに白衣を着ている。マッドサイエンティスト風…というかマッドサイエンティストだった、いやマッドアルケミストか
見た目の年齢は20代だが中身は不明である。3桁は確実で本人の話を総合すると4桁生きていても不思議ではない、その成果見た目に反して爺さん臭い話し方だったりする。朝一なんなら店は本当はまだ開けてない時間にやってきて一言
「店長さん、新作ができたんだが試してくれる人はいないかい?」
そう言うと懐から試験官を取り出し軽く振りながら出してきた。
「いや、アンタのポーションがまともであった例がないだろ、人体実験はおろかマウスにだって試すなよ、体長が20倍ぐらいになって科学特捜隊が必要になる事態になりかねん」
思いっきりしかめっ面で断っておく、下手なことを言うとこちらが標的になりかねない
「はっはっは、そんなつまらない効果なんて何百年も前にお作り終えてるさ」
そう言うと、新作とやらの効果を説明しだした
「今回の新作は傑作だ!最近バーチャルなんちゃらというものがいるだろう、現実には存在しないがネット上でアバターを使って動画投稿やライブ配信を行う者たちのことで明らかに声が男性でも可愛い女の子のガワを被れば活動可能なのだがアレでは片手落ちだ、このポーションにより身も心も可愛い女の子になれる!見た目も声も完璧だ、自分の理想の姿になることができる、コレがその薬だ!」
熱弁だった、どうやら可愛い女の子のガワのおじさん声のバーチャルな動画配信者が気に入らなかったらしい、私的にはアレはアレで面白いと思うのだが…
「性別変化ポーションか犯罪に使われたら最悪だな…というか戸籍とかどうするんだ?いや今の世の中いきなりおっさんが美少女になってもそれを問い詰めたら性差別になるのか・・・?」
非常に面倒な話だった、コレ以上はいけない
「性別変化ではない"理想の姿になる"薬だ、コレにより自称宇宙人だろうと本当に宇宙人になれるぞ」
爆弾発言だった、喧嘩を売る範囲が広すぎるので黙らせることにした
「おーい、バイト君やお前の魔法鞄にこの馬鹿のアイテムしまってくれ」
そう言うとポーションを奪い取りバイトのマジックバッグに封印した
「なっ!我輩の努力の結晶が!」
と言って騒いでいたが、どうせ昨晩あたりに思いついて出来た品だろうし無視する
「で、本題は?」
そういうと、面倒くさそうに返してきた
「いつもの解体作業なんだが、ちょいと大物でなお前さんか従業員かご同業をお借りしたい」
そう言うと携帯の画面をこちらに見せてきた。崩落事故のニュース映像だった。
「コレって今朝方ニュースになってた奴じゃぁ…」
そう返すと頷きながら
「あぁ、それだ、うちだけでもやれなくはないんだが、片付けた土砂やらの撤去まで手が回らないからな、お前さんのところの道具か魔法鞄作りが得意という帰還者がいるなら楽だと思ってな」
とのことだった
「そういう真面目な状況なら早く言え、今日は店じまいだ二人とも行くよ」
そう言うとアルバイトに外出の準備をさせ、こちらも臨時休業の看板を下げ道具の準備をする
「助かる、とりあえず景気づけにコレを飲んどけ、元気になるぞ」
そう言うと先程の性別変化ポーションを飲ませようとしてきた
「いや、そんな緊迫した事故現場に2次元キャラみたいな格好した中身おっさんが言ったら大迷惑だろ」
総ツッコミを入れて回収する。
「うむ、理想の姿になるから健康体になるだけでもいけるのだ、しっかりとしたイメージが必要でやや面倒ではあるが」
とのことだったが、そういう馬鹿な話をしつつ道具の準備を終えるとちょうどアルバイトも準備完了して戻ってきた。
「戻りました、とりあえず道具を持ち出していいとのことで現役時のものも持ってきました」
と、息も切らさず軽装だが普段と違ってリュックサックに動きやすい格好になっていた、趣旨を理解しているようで助かる。
「よし、じゃあ出発しようか」
そういうと、用意されていた大型のバンに乗り込む現地に向かうのだった…
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ちなみに、帰還勇者2人の時点で問題も起きるはずもなく、現地では話題になることもなくすんなり終わった。錬金術師はゴーレムを作れるのだがこういうときに最大限役に立つ
ゴーレムというのはファンタジー世界に出てくる石だったり泥だったり、木だったりする人形のモンスターで錬金術師が生み出している世界もあるのだが、彼は変なポーションを作るのは趣味で得意分野はゴーレムだった
そして、ゴーレムというのは現代において下手な魔法使いよりも凶悪、危険であることが後ほどわかったが、解ったころには某団体の監視が外されていた。そこから再度監視付きにするというのは面倒だったらしく今は今回のように役に立てる事件があると依頼があり対応するようになっている。
ゴーレムとは基本的に特定の素材で作られるものであるが、大抵そのへんにあるものを利用する
現代においてコンクリートやアスファルトといった素材が溢れており、それらを素材にできるゴーレムというのは相手の防御力を削ぎそれをそのまま攻撃力に変える事ができる。
それだけでも十分えげつないのだが機械類、特に電子機器は素材の対象になったら確実に壊れる
現代で凶悪と言われる理由はそのへんにある
まぁ今回は崩落したトンネルと支えるのに崩落したトンネルや土砂を素材にゴーレムを使っているわけだが…
こういった自然・事故・災害の復興に良く使われているチート持ちの話
最後のゴーレム解説のパート、ゴーレム動かしての話を入れようとすると被害者に見つかるんじゃ、とか細かいことが気になって説明だけにしました




