第10話 夢見る少女の話
ヒロインを増やそうと思いました。
この世界に存在しない国の金貨、魔法が込められた指輪、想像上の生物の角や鱗、伝説の武具等々の「宝具」を持ち込む異世界転移・転生・帰還者がよく来る古物商リサイクルショップ「ほうぐや」の話
初めて見る顔だった、高校生?恐らく中学生ではないが未成年っぽい感じでセーラー服の女子校生で所謂メカクレという感じ、黒髪の前髪で目線を隠した娘が突然店内に入って聞いてきた。
前髪である程度隠れているため顔はしっかりとは見えないがそれでも雰囲気が華奢で可憐な黒髪ロングの文学美少女っぽい感じでこういった店には似つかわしくない
そんな感じの娘がこちらをまっすぐ見てまさにイメージ通りの鈴を転がすような声で聞いてきた。(実際には前髪でこっちを見ているか怪しいが顔は正面向けている)
「ここが異世界から来た人間が良く出入りする店って本当ですか?」
…これはどのパターンかなぁと思いつつ対応を考える、考えられるのは以下だ
1.普通にいつもの異世界からの帰還者であるパターンで、うちみたいな商売が居るのを信じられていない
2.異世界転生・転移者の関係者で同じ様な境遇の人間を探しに来た
3.全く関係ないネットの噂とかを信じで茶化しに来た
この3つが多い、1.2は問題なくいつも通り匂わせつつ相手の事情を聞いて商売をするなりすれば良い
面倒なのは3である。正直本気で異世界転生があると思っておらずネタとして茶化しに来るぐらいなら時間のムダで済むのだが、本気で信じている場合は厄介だ、そういう輩は大抵調査と言って平気で他人のプライバシーを侵害してきたり、犯罪行為をする奴等が居る、それも自分が知って世の中に公開することは正義だから問題ないとか言って正当化してくる(もちろんできるわけなく犯罪者として警察に突き出すのだが)
ただ、どのパターンかわからないので、とぼけつつ相手の事情を聞くことにした。
「伊勢から来た人良く出入りする?いや別に伊勢に限らずご近所からでもある程度遠くても来る客はいるよ」
と、難聴、聞き間違えでとりあえずボケてみるが、やはりダメだった
「伊勢からではなく異なる世界と書いて異世界です、何かこの世界では見たことのないような商品を取引してるって言う話を聞いて来てみたんです。そういったものを持ち込む人が来るって本当ですが?」
とのことだった、まぁ流石に苦しいとは思ったが、”話を聞いて”か、3っぽいなぁと思いつつ、相手の事情も聞き出す方向で話を続ける
「異世界ねえ、流石にそんなファンタジーなものではないけどちょくちょく異国の置物を持ち込んだりするお客さんは居るね?なにか面白いもので売れそうなら引き取るからなにか処分に困っているものとかですか?それなら相談に乗りますよ?」
と、あくまで異世界なんて知りませんよという体で、相手が本当に異世界関係なら困った持ち込みがある相談に乗る方向で話を続けてみる
「いや、そういった物はないんですが…知ってるというか…」
と歯切れの悪い返しだった、どうやら何らかの事情があるようだが、物はないらしい、そうなるとこちらも商売である以上暇つぶしに多少付き合ってられてもそれ以上は出来ない
「こちらは買い取りの窓口だからねえ、何か変わった商品をお探しなら反対側のリサイクルショップの方で、ちなみに異国の変わったものを店に並べている以上、そういったもの持ち込む人が居るのは確かだが、流石に世の中的な、主に個人情報的な事情で誰かというのは済まないが教えることはできない」
そう返すと少女はすごく落ち込んだ様子で
「そうですよね、突然変なことを聞いて申し訳ありませんでした」
そう言うと俯いたまま踵を返して店を出ていこうとする、まぁ常識が理解できるこのようで何より、と思ったらリサイクルショップの方で店番をしている魔法鞄作りの帰還者が横から口を出して少女を引き止めた
「てんちょー何女の子泣かしてるんですが、怖がらないでねーてんちょーぶっきらぼうな人なんで、(小声で)でもって凄くわかりにくいですが多分ですがこの子異世界関係の人ですよ、細かいことまでは聞いてみないとですが…」
とのことだった。いや、私にはそのへん判断つかないから自己申告してもらわんと、というか本当のところものを見ない限りは異世界なんて信じてないタイプの人間だ
「すまんが何かどうしても聞きたい事があるならば事情を説明してもらえないかな?こちらも商売をやている以上そちらの込み入った事情はこっちから立ち入れないのでね」
そう言うと、涙声で事情を説明してきた、泣かしてしまった、世の中的にマズイなー
「えっとですね、少し前にですね事故に巻き込まれて1週間近く意識を失っていたんです。奇跡的に大きなゲガはなかったんですが、そのあと無事退院してから毎日夢を見るようになったんです、異世界に自分が行った夢を」
目元を拭いながら続ける
「それだけだったらただの妄想とか夢でしか無いと思うんですが、毎日見ていたので最初はネタにならないかメモに取っていたんですがだんだん夢で見ていない部分まで記憶があることに気がついてしまって、妄想の産物にしてもおかしいと思いこういった現象がないのか調べたんです」
調べたか、だからこちらが本物かどうか不明で"話を聞いた”という語り口になったのだろう
「なるほど、それでちょっとばっかりまともじゃないうちの話をどっからか聞きつけたと?」
と返しておく、まぁどう考えても怪しいのは解っていてある程度対処はしているが全部はなぁ…
「はい、冴えないサラリーマン風の男性が凄い量の金を持ち込んでるとか、車にどう見ても乗らない量の荷物を詰んだと思ったらカバー掛けたら一瞬で収まったとかそういう話を聞きまして…」(※第1話参照)
…オーケー、誰が原因の噂かよーくわかった、アイツは次来たら厳重注意だ、と心のなかでメモしつつ
「うん…そいつのことは気のせいってことにしてくれると助かる…」
「後エルフ耳のすごい美人の女性が来るとか」(※第4話参照)
…心のメモに追加1名、マジで出禁にしたほうが良いかもしれん
「わかった、うちの脇も甘かった、それは気をつけよう、なのでうちの噂の話はおしまい、それでうちに来たのは自分の見た夢がただの妄想なのか、実査に起きたことなのか、自分と同じ様な体験をしている人間が居るのか確かめたかったってとこかな?」
と聞くと、ようやく泣き止んでくれ
「はい、自分のこの夢がただの妄想でないことを確認したかったんです」
それはたしかに気持ち悪い、その上実際に怪しい人間まで居るとなると疑いたくなるが、こういった事象はどういったものかわからないので、知ってそうなやつに答えさせる
「なるほど、と言っても私はそういったことは不明なので、専門家の見解を聞こう」
と話を向けると、簡単な自己紹介として異世界からの帰還者であることを説明し、少し考えてから
「恐らくだけど、君は本当に異世界転移か転生をしたんだと思う、もしは憑依かな?、そのへんはあちらでの自分の見た目とかである程度判断つくだろうけどそれ自体は大きな問題じゃない、こっちの人は普通持っていないはずなんだけど君は微量ながら魔力を持っている」
なるほど、だからこの子が異世界関係だと言ったのか
「考えられる事しては、意識だけあちらに飛んでいったけど君と何らかの繋がりがあって夢や記憶として情報が送られてくる、もしくはあちらので冒険を終え記憶とか意識だけがこちらに戻ってきたとかそういうのじゃないかな?先程言ってた事故で意識を失っている際に意識だけが異世界に行ったんだと思う、詳細まではわからないけど、そしてあちらと意識が繋がったから魔力が備わったんじゃないかと」
とのことだった。うちは変なこと・客がよくある話なのでそういうものか、ぐらいで納得したが今まさにその身に以上が起きている娘としては色々気になることが多いらしい
「つまり、あの夢で起きたことは自分が実際にあったことということでしょうか?後魔力って魔法が使えるようになったりするんですか?」
と聞いてきた
「実際に異世界の君があったことだとは思うけど、現実の君に起きたことではないから基本的には具体的にな夢程度に思ったほうが良いと思う、後魔力だけどそうだなぁ…僕はあんまり戦闘が得意じゃないから指標にしづらいから解りやすく異世界を救った勇者様の魔力を10000とした場合に君は10とかそれ前後で火の魔法ならライターよりマシの火が出せたり、水ならバケツいっぱい程度の水が出せるぐらいで実用性はあんまりないし、こっちじゃ鍛える方法もほとんどないしね」
とのことだった、がっかりはしたみたいだけど理解はできたようだ
「わかりました、また何かあったあら相談させてください、後魔力を鍛える方法”ほとんど”ないってことはあるにはあるんですよね?」
おいおい、現実で魔法使いになるつもりかぁ、それは面倒じゃないか、止めろよバイト~と思っていると
「鍛える方法はあるっていっても例え使えるようになったとしても色々と準備が必要でね、勇者とかなら無詠唱で使うこともできるけど魔力の少ない君だと全身装備に詠唱とか魔法陣とかで補助が必要になるからアニメの魔法少女みたいな格好で魔法陣の上で詠唱とかする?かなり痛い絵面になると思うけど…」
と説明する。うん、眼の前の美少女ならありなんじゃないかなと思うけど流石に厨二病全開はキツかったらしく
「…流石にそれは嫌ですね、高校生でそれはキツいです…後それしまってください」
とバイトを指さしながら言ってきた、いつの間にかマジックアイテムを準備して差し出そうとしていた、魔女帽子はまだわかるが、凄いパステルカラーの装飾がついた杖とか眼帯は酷いチョイスだ
「ちぇっ… んっ、まあそんな訳でおすすめしない、これは僕が冗談でおもちゃに軽い付与しただけだから渡しても問題ないけど本当のマジックアイテムを買おうと思ったら凄い値段するからやめておいたほうが良い、それ以前に売ってる店がない」
と、舌打ちしたように見えたが諦めさせるために痛い装備を見せただけだよね?趣味じゃないよね?
「わかりました、魔法については一旦諦めます…ありがとうございました」
とお辞儀をした。なんとか諦めてくれたようだ、一旦ではなくそのまま一生考えな直さないように祈るのみだ
「うん、じゃあ何かあったらまた相談に来なよ~、てんちょーじゃあ僕も店側に戻りますねー」
そう言いながらリサイクルショップの側に戻っていった、どうやら来店する気配を察知したようだ。そういったところが抜け目なく助かっていて店員をしてもらっている、就職先が見つかるまでなのだがなかなか手放し難い
「あー色々助かった、またなんかあったら呼ぶわ、お嬢ちゃんも落ち着いたら今日のところは帰りなさい」
そう伝えると、少女もお礼を言って帰っていった
そんなわけで、異世界からの帰還者ではないようなそれでも本人とも言えない珍しいパターンの話
何も考えないで思いつきで書いてるので書き終わった後に
あれ?今後出てくる理由がなくね?ってなって魔法少女フラグを立ててしまいました
強引にバイトとくっつけるとか追い出してバイトに添えるとかも考えたんですが…暫く保留
明日から数日外出のため更新が止まります。携帯で書くのはちょっと難しい、ネタだけ考えておきます




