第1話 異世界と現代を行き来できる客の話
新人、完全に即興、ネタ被りがあったらどうしよう、誤字脱字漢字の誤用は御愛嬌
私は都心から1時間ほど、そこそこ発展してはいるが都会というほどではない○○○県xxx市に店を構えている古物商(リサイクルショップ併設)「ほうぐや」の店長だ。宝具屋であって防具屋ではない。
先々代が始めた質屋だったが時代の流れでリサイクルショップになり、その店を引き継いで私で3代目となるが、この店には昔から変な客・物がよく来る。その中でも特に変な客の話をしていこうと思う。
ある平日の14時頃、お昼過ぎでうちの店で一番客のいない時間にそいつはいつもの軽トラックでやってきた
カランコロン、とリサイクルショップとは別の買い取り窓口側でドアチャイムが鳴り
「店長~いつものやつを買い取りをお願いします」
そう言って中肉中背でなんというか特徴のないザ・日本人顔な30代の男性が店に入ってきた、ここ数ヶ月で何度か普通の古物商では取り扱わないであろう商品を持ち込んでくる常連の一人だ、今日はいつもより神妙な顔つきでやってきた。こういうときは大抵面倒事だが表情に出さず
「おう、いつものアレか?」
そう返すと、男は肩に掛けているる小さなバッグから明らかに入らないサイズの革袋を取り出してこちらに差し出してきた。
「この中から買い取れるものをお願いします」
と、言って買取カウンターにその革袋を置いた、現代において革袋に貴金属を入れて売りに来ていることが異常だということをこの男は解っているのだろうか…?そんなことを思いつつ
「わかった、いくらぐらい必要だ?」
そう返すと男は、明後日の方向を向いて鼻先を掻きながら明らかに何かを誤魔化している声色で
「出来れば、2,300万円ほど…」
と、言ってきた
「随分物入りだな、何か大きな買い物でもするのか?」
そう聞くと
「あー、ちょっと友人の田舎が被災して炊き出しをしないとマズイ状況にになってしまってそのために現金が必要で…」
と、全然誤魔化しきれていない事を言いだした、ちなみにそんな災害がおきたニュースはここ数日見ていないが、そこはあえてツッコまず
「それは大変だな、被災した人数はどれぐらいで、どれぐらい水と食料あれば足りそうだ?」
そう聞くと、少し考えてから
「村の人数は100人以上で150はいないと思います、で2~3週間もあれば国の方からも助けが来ると思うので急場をしのげれば…」
とのことだ、現代で救援に2週間も掛かっていたら大顰蹙だろう
「そいつはなかなかだな、毛布とかも必要なら流石にタダって訳にはいかねえが中古で良かったら格安で大量に買っていかねえか?水と食料もすぐに消費するんならコッチの伝で自治体や会社の非常食の入れ替え品をまとめて安く仕入れられるぞ?それなら多めに買い取れるぜ」
と、革袋の中から金貨を出して並べつつ相手の都合の良い条件を出すしてやると、男は土下座せんばかりの勢いで頭を下げて
「お願いします!できるだけ早めにあっちに戻りたいので!」
と懇願してきた、うん、なんとなく事情はわかるけどもう少し人を疑うことを覚えような、と思いつつ
「わかった、毛布は裏の倉庫に最低限洗濯して虫除けと一緒に大きな袋で保存してあるからまずはそれを持ってけ、水と非常食の方はいくつかの会社の仕入れのタイミングで廃棄予定のものを引き取って来たやつが500人/日ほどあるからそれをもってけ、代金は今回の買い取りから後で差っ引いとくで良いな?」
そう言ってやると男は早速腕まくりして裏の倉庫に荷物を取りに行こうとしたので
「毛布と水、非常食の場所はリサイクルショップの店員してるうちの婆さんに言えばわかると思うからそっちに聞いてくれ、こっちは買い取り物の査定と非常食の手配をしておく」
…ただ毛布やら食料やらは明らかに一人どころか乗ってきた軽トラックにも積みきれない量あるはずなんだが、婆さんなら事情も察してくれるだろうから任せよう
まぁ普通なら無理だろうがあの肩にかけている小さなバックに入るのだろう、この世界に存在するはずのない魔法鞄なのだから
「…ったく、少しは隠せと、あんなのだから換金した金の使い道もうまく誘導してやらないと危なっかしくていけねえ」
と、ボヤきつつ。金貨の枚数を数える。ちなみに革袋の中には見たこともないような金属に見たこともないような文字・模様が刻まれた指輪なども含まれていたが、これはスルー、君子危うきに近寄らずが私のモットーである。
男が持ってきたこの世界のものではない金貨は1枚10g程度、含有率は8割前後、18~20金ってところで1枚10万前後ってところか?…と、頭の中で計算しながら加工・換金する手間賃も合わせて400万円分ほど必要な金貨を抜き取って非常食の買付の電話を掛け始めた…
暫くして、男が倉庫から勢いよく戻ってきた
「荷物積み終わりました!」
軽トラ数往復分あった荷物を積めたのかーすげえなーとは言わず
「あいよ、何度も取引してるとはいえ貴金属が沢山入った袋を預けて席を外すんじゃねえ、ちょろまかされたらどうする?」
そう指摘してやると
「おやっさんはそういうことしないでしょ」
と、笑顔で返された。こういうところが異世界転移主人公気質なんだろうなぁ、などと思ってしまう。
たしかにそんな卑怯なことはするつもりもないが、それは相手がどんな能力持ってるかわからないのに騙すような真似して命の危険があってもたまらない
どちらかというと理由としては能力のほうが重い
「信用してくれるのは嬉しいが、被災者の前ではやるなよ、トラブルの元にしかならない」
警告してやると、少し微妙な顔をして唸ってしまった、もうやらかしていたようだ
「…はい、気をつけます…」
と間をおいて回答したのでそれ以上は追求せず話を再開する
「とりあえず、金貨は含有量なんかを考えて1枚10万ってとこだから加工費込で35枚貰っていくからな、そっから今日の分と残り余裕を持って150人1ヶ月分の非常食は数日以内に調達するのでまた取りに来い、今日の分で3、4日は持つはずだ」
と、必要な分の金貨を抜いて革袋を返却する
「はい!ありがとうございます、では3日後にまた来ます」
そう言うと颯爽と帰った。最初は神妙な顔つきでやってきたが解決の目処がついたおかげか晴れやかな顔になっていた
「アイツ、領収書とかそのへん全部忘れていきやがった…後で説教だな…」
そう言って嘆息してから、仕入れの準備を進めるのだった…
---
この世界に存在しない国の金貨や、魔法が込められた指輪などの装飾品、想像上の生物の角や鱗、伝説の武器(は銃刀法に引っかかるので買い取りNG) 等々の「宝具」を持ち込む異世界転移者がよく来る古物商「ほうぐや」の話
2話は客側(異世界)サイドにするべきか、そのへんの描写は一切しないか(それすら考えていない