第9話
その一件以来、俺らの仲は前以上にぎくしゃくし始めた。
アヤカを気遣うアキラ。
必死に3人の仲を保とうとするアヤカ。
そして、自分のことで精いっぱい。アキラともアヤカともうまく接することができない俺。
俺だってそれなりに努力したつもりだった。
でも、アヤカの必死なさま見るのは耐えられなかった。
アキラに言われて、意識してみると、自意識過剰だけど、アヤカが俺のこと好きだとしてもおかしくない。十分ありえることのように思えた。
「サクは明日合格発表なんでしょ?」
アヤカが俺の隣で、携帯をいじるながら聞いてくる。
普段アヤカは携帯いじりながら人と話すようなことはしない。
よほど緊張しているときか、不安なとき以外は。
「そうだよ」
「ねぇ、結果わかったら電話してよ」
「次の日学校であうじゃんか」
「それでもいいじゃん!一番に教えてよ」
「えぇ~。めんどいじゃん」
アヤカの携帯を打つ指が一瞬とまる。
「…それくらいめんどいとか言わないでよ。ともだちじゃん」
少し気を抜くとすぐこれだ。
すぐにアヤカを気づつけてしまう。
「わかった。電話するから、ちゃんとでろよな」
俺はアヤカの頭に手を置いた。
前は、よくこうしていた。…これももしかして苦しめてた?
次の日、学校帰りに合格発表見に行って、家に帰りながら電話をかけた。
たった5歩。歩いただけで、アヤカは電話に出た。
「もしもし?」
ちょっと緊張してやがんの。
「…アヤカぁ」
「なに?…」
久しぶりにした電話で、俺は少しうれしかった。
それで少しいじわるしたくなったんだ。
「…だめだったわ。仕方ないから今からうけれるとこ探す」
思いっきりへこんだ演技をした。
まさかこんな演技にだまされるとは思わなかったんだ。
「うそ…!いまからって、どこにすんの?」
時期的にはまだいくらでも間に合う学校はあった。
「そうだなぁ。…アヤカと同じ学校にすっかな」
これで、何言ってんのよ!っていうアヤカにほんとのことを伝えるつもりだった。