第3話
俺は放心状態のアヤカをなんとか帰り道に向かわせた。
アヤカが言葉を発したのは、アヤカの家に着くほんの5分前になってからだった。
「ねぇ、わたしたちの関係って変わらないよね」
俺がその答えを出すことは正直できなかった。でも、アキラはあのときアヤカにまた明日っていったから、それが嘘だとは思いたくないんだ。
「なぁにくだらないこと言ってんだよ。アキラが信じらんないのか?」
おちゃらけていったセリフも、いまのアヤカは本気で受け止めてしまう。
「信じらんないよ。…だって!だってさっき、アキラわたしのことちゃんと見てくれてなかったんだもん」
アヤカの目には涙が浮かんでいた。
おいおい。まだアキラに彼女ができた。ただそれだけじゃんか。
「アヤカはなんでアキラに彼女ができるのがそんなに嫌なんだよ?」
「きっとわたしたちの関係かわっちゃうよ。みんな友達よりは恋人でしょ?
わたしたちきっと彼女にまけるんだ」
その答えは確信をついていた。
「まぁ、だとしてもだ。まだそうなってないし、そうなってどうかもまだわかんないだろ?
それにだ。アキラが好きなんだろ?困らせんなよ」
「…うん」
アヤカは頷いたが、まだ納得していないようだった。
だぶん恋人ならここで頭をなでたり、抱きしめたりするんだろう。
でも、俺らは恋人同士じゃないから、俺の手がアヤカに触れることはない。
それは、アキラも同じ。
次の日、俺が教室に入ると昨日のことはなかったかのように、アヤカとアキラが話していた。
なぁんだ。心配しすぎただけじゃん。
そう思っていつものように2人に声をかける。
「あぁーあ。朝からすんのはよくねぇな」
「…もう!またそういうことばっかり言う」
「そういうことってなんだよ。言ってみ?」
「まったく、だからお前はもてないんだよ」
「別にもてたくもねぇよ」
よかった。いつも通りだ。アヤカも笑ってる。
それなら別にほかがどうだっていい。
ただ、やっぱりそんな考えって甘いよな。
やっぱ、俺達元にはもどれねぇのかな。
そう思ったのは昼休み。
アキラの一言でわかったんだ。