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【書籍発売中!】ライブラリアン〜本が読めるだけのスキルは無能ですか!?  作者: 南の月
第二章 逃げる冒険者

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スタンピード?

朝から馬車に揺られている。

一日何便かある国境行きの乗合馬車には私たち3人と冒険者風の若者2人、物静かな眼鏡の男性の6人が乗っている。


朝8時に出発した馬車が国境にたどり着いたのは、昼前だった。

国境の街ビジャソン…国境遠いよ。


まぁ…国境が切り立った山の中にあるため、街を作れるくらいの平地を求めれば、それくらい離れるのは仕方ないことかもしれない。

ちょっとお腹すいたなと思いながら馬車を降りると、関所が見えた。

関所に着くと、冒険者の2人は先に行き、サラッと入国した。

その後が私たち。

冒険者カードを見せ、ギルドにもあった水晶の魔道具にカードを差し込む。

これで身分確認と入国料を払ったことになる。

イヴの確認が終わり、アイリーンも難なく終わり、ちょっとドキドキしていたけれど私も無事入国できた。

私の後ろには眼鏡の男性が続き、カードを見せる。

あ、あのカードは商業ギルドのカードだな。

商人だったのか。


入国するとすぐモノ売りが群がる。

「¥+#/@○×」


え?何言ってるかわからない。

イヴもそれに応えてわからない言葉を話す。

え?やばい…しまった…


そう思った時、物売りたちが目を見開き何かわからないがあれこれ叫んで逃げていった。

ん?後ろが騒がしい?


そう思って後ろを振り返るとトリフォニア王国側から大量の魔物がこっちに向かってくるところだった…


え?えええええーーー!

逃げなきゃと思うけれど、魔物のスピードは早い。

無理だ。

先に入国した冒険者たちも気づいたようで戦闘態勢になっている。

「テルー!結界!

関所から5メートル離れたところに張って。

貴方たち!ここから後ろなら安全だわ!

厳しくなったらそこまで下がって。」

イヴはテキパキ指示を出す。

その隙にアイリーンは関所まで戻り、関所のスタッフと眼鏡の男性を結界内に移動させる。


1人ボケっとしてた私はイヴの指示にやっと覚醒して、白サルヴィアの葉を出す。

これを使ってみよう…

ウォービーズの戦いの後、私は結界の強化を考えていた。

というのも、アイリーンは毒を受けてすぐに結界内に入ったのに完全に解毒できていなかった。

聖魔法は付与魔法だ。

なのに私は魔力だけで結界を作っていた。

だからきっと今までの結界は粗悪品。

適切な素材を使ってこそ付与魔法の真価がわかる。

魔力だけで増やしたものは、魔力消費が大きい割に効果が薄いのだ。


それから結界を付与するのに最適な素材は何か調べていた。

アイリーンを救ったアマルゴンも考えた。

解毒効果が強くなるだろうから、集団食中毒など毒を受けた人がたくさんいる場合には効果的だろう。

けれど旅の間に欲しい結界は魔物から守ってくれる結界だ。

そこで目をつけていたのが白サルヴィアの葉だったのだ。


白サルヴィアは瘴気の浄化効果がある。

魔物は瘴気を多量に取り込んでいるという。

きっと魔物に効くだろう。

でも、初見でうまく行くかわからないから、いつもの結界と2重に張ることにする。

外側に白サルヴィアの結界、内側にいつもの結界。


結界を張って、税関のスタッフと眼鏡の男性が結界までたどり着いてすぐ、1番先頭の魔物が私たちのところへ辿り着いた。

血走った目に、歯を剥き出しにし、涎がだらりと垂れている。

ひぃっ!


イヴがスパッと真っ二つにする。

ほっとしたのも束の間、すぐに別の魔物たちがやってくる。

アイリーンがナイフを投げ3体、冒険者が大剣を振り回し、2体、もう1人の冒険者も槍で1体、またイヴが魔物の中を走り抜けて3体倒れた。

それでもまだまだ沸いてくる。

10分ほどして、大剣の冒険者が下がってきた。

腕を負傷している。

「ごめん。ちょっと痛いけど辛抱して。「え?な、なにを?」(アグア)

すぐさま傷口を水を洗い、砦村で試しに作ってみた傷薬を塗り込み、さらに回復をかける。


「お?痛くねぇ!ありがとな!」

そういうと冒険者はまた戦いに戻っていった。

魔物の数は増え続け、結界にも到達するようになった。


「許さない!」

「憎い…」

「たすけて」


え?これ…なに?

魔物が白サルヴィアの結界にぶつかるたびに魔物は身を捩り、苦しみながら消えていく。

小さな魔物は1回で、大きい魔物は何度か体当たりして消えていく。


その際に声が聞こえるのだ。


「痛い」

「苦しい…」

「助けて!怖いよ…お母さん!」


その時槍の冒険者が帰ってきた。

ハッとして、急いで駆け寄る。

傷口を水で洗って、薬を塗り込み、回復をかける。

槍の冒険者は、礼を言うとすぐに戦いに戻って行った。


30分は経ったのではないだろうか?

それでも魔物はまだ湧き続ける。

アイリーンが魔力切れギリギリで戻ってくる。

昨日街で買ったポーションを飲んでまた戻る。

イヴも、大剣の冒険者も、槍の冒険者も…

あまりの魔物の数に交代で休みつつ戦う。


まだ終わらないの?


背後で馬の蹄の音が聞こえる。

近くの街の警備隊かしら?

20人ほどの隊員が、結界を通り抜け、戦いの最前線に向かう。


隊員も冒険者もイヴもアイリーンも死力を尽くして戦うけれど、それでも結界までたどり着く魔物もいる。

「お願い帰して!家に帰りたい!」

「助けて!」

「やめて!」

「痛い。痛い。痛い。」


なんの声?誰の声?


ポタリ…汗がでる。

もう結界を発動して結構経つ。

攻撃もたくさん受けてる。

魔力…持つかな?


結局3時間に渡り、魔物は湧き続けた。

最後まで戦えたのはイヴと隊員の一部だった。

魔力切れや私の回復では治せない怪我を負った人がどんどん離脱してくるため、結界は何としても維持しなくてはならない。


最後の方は、怪我人の回復をする余裕がなくなってしまった。

だから私の後ろで関所のスタッフと眼鏡の男性が止血をしたり怪我人の手当てをしていた。

いつの間にか辺りが静かになる。

やっと終わったのだ。

ギリギリのところだったかもしれないけれど、私たちの勝ちだ。

怪我人はいるが、死者はいない。

終わった。

よかった…


イヴが戻ってくる。

「テルー、アイリーン無事?」

「大…じょうぶ。」

「ちょっと…疲れ…ました。」


「よかった。」

あー大丈夫と言ったものの、魔力がすっからかんだな…

倒れちゃうかもな…ぼんやりとそう考えながら、私は何か見つけた気がして、ふらふら脇に逸れる。


あ…この子ぐったりしてる。

無意識に抱き抱えた時、ぐらりと身体が傾く。

そのまま私の意識はプツンと途切れた。

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