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【書籍発売中!】ライブラリアン〜本が読めるだけのスキルは無能ですか!?  作者: 南の月
第二章 逃げる冒険者

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魔虫

今日の朝は、昨日作った野菜スープの素に少し水を加えて、イヴからもらった堅パンを入れてふやかした。

最後に少しだけミルクを足して、お腹膨れるミルクがゆの出来上がりだ。

その間イヴはテキパキとテントを片付ける。

まだたった3日だけど、なんだか役割分担ができている。


その後は歩きながら周囲に目を光らせ、ロバに乗りながら植物の勉強をする。

お昼休憩を挟み、また食材を探す。

今日の収穫は、ラベンダーだ。

食材じゃないけどラベンダーは何かスキンケアアイテム作りに使えそうと思い、採取しておいた。

まぁ…作り方はわからないけれど。


あっという間に夜になる。

イヴは狩りに出かけた。

私は料理だ。

パンも節約しないとあっという間になくなってしまうし…

わたしはパン焼けないしな…うーむ。


ということで作ったのはなんちゃってピザ。

小麦粉と水を溶いた生地を焼き、その上にお肉、パプリカ、トマト、チーズを乗せてさらに焼く。

チーズがとろりしてきたら出来上がり…なのだけど、その1歩手前でやめておく。

残りはイヴが帰ってきてからにしよう。

焼きたてが美味しいからね。


!!!

うすーく広げていた魔力に魔力反応があった。

イヴじゃない…

けれどまっすぐこっちに向かってくる。

魔物だったら…どうしよう。

あ!ご飯守らないと!!

作ったピザを素早くポシェットに入れる。

その瞬間!

ガサガザザザ!

木の葉が揺れる。


風が舞い、火が消える。

真っ暗になる。

見えないっ!!


落ち着け、落ち着け…

見えない時は…魔力を探ればいいのよ。

誘拐事件の時に反省したじゃない。

少しのズレもないように全方位に魔力を探っていく。

いた!ここだ!


(フエゴ)


とりあえず見えないから火を放ってみた。

するとそこには大きな蛾。

魔力があったし…魔物?いや、魔虫…?

いやぁぁぁぁ!虫は苦手なのに!


私の火はかすっただけだったようで、蛾は元気に羽をバタバタ動かしている。

そしてすぐさま急降下。


もう!だからこないでよー!!!

突風を出し、コントロールを無くし、地面にヨロヨロとついたところで火を放つ。

やっと…しとめ…あ…れ?…


「テルー!テルー?」


「イヴ?あれ?私…

あ!大きな蛾と戦っていたはずなんですが…

ふぁ〜。

勝ったとおもったら、急に眠く…なってしまって…」


「うん。ちゃんと仕留めてたよ。

今回復かけたから、もうすぐ眠気は無くなると思うけど…大丈夫?」


「はい。ただ眠いだけで…大丈夫。

なんでこんなに…眠いのかしら」


「テルーが戦ったのはね…モースリー。

蛾の魔物ね。

羽を激しくバタバタさせてなかった?」


「してたかも」


「そうなったら要注意。

モースリーの鱗粉は眠気を誘うから眠ってしまうの。

そして眠っている間に他の魔物に食べられ、その残りの死体にモースリーが卵を産むのよ。

だからモースリーが出たら一撃で仕留めるか、常に風を自身の周りにまとって鱗粉を避けるかするしかないの。」


ひっ!

死ぬとこだった!!


「私がいなかったばっかりに…

怖い思いさせたね。

ごめん。」


「いや!大丈夫!

イヴは狩に行ってたわけだし、イヴのお肉なかったら、いつか食料尽きちゃうと思うし!

そしたら餓死だし!

むしろこんなんで私の方こそごめんね。

私も強くなれるよう頑張るから…気にしないで」 


夕食を食べたあと、イヴが気を使って一緒に見張りをしようと言ってくれたけど、そしたらイヴの睡眠時間はゼロだ。

ありがたいけど、それじゃただのお荷物だ。

いや、子供の護衛なんてお荷物以外なんでもないんだけど…

ちゃんと寝てもらって魔法の勉強に移る。


今日のこともあるし、結界さえあればイヴは安心して狩に行けるはずだ。

早くクロスアーマーに結界の魔法陣を付与しないと。


そうは言っても簡単じゃない。

魔法陣の本を読んでみるも、結界の魔法陣なんて載っていない。

古代語の本にもそういう定形の呪文は載っていないし…

初っ端からつまづいた。


マリアベル様はどうしてたっけ?

魔法陣が載ってなかったのは確かだけど、何かヒントがあるかも。

そう思い、久しぶりに伝記を読む。


「魔物が蔓延る死の森の中。

騎士たちは死の森を前に立ち往生していた。

森に入ろうにもほとんどの騎士は森の入り口で濃すぎる瘴気に膝をついてしまうのだ。

そんな時森に一人の女が来た。

騎士たちが止めるのも構わず、女は歩を進めようとする。

入り口で歩みを止めるも、一瞬のこと。

女は手を組み、天に祈る。

『邪なる物、悪き物を祓給へ 清め給へ』

祈りを捧げた女、そして騎士を金色の光が一瞬つつんだ。

その後は入り口で膝をつく騎士もなく、森の奥へ進んだ彼らは魔物を倒した。

女は森の最奥で再び天に祈ると、キラキラと光の粒が舞い降り、死の森を元の豊かな森に戻したという。

ここに聖女マリアベルが誕生した。」


さすが聖女様だけど、これは…結界なのかな?

現代語で書かれたものだからニュアンスが違うのかもしれないけれど…

『邪なる物、悪き物を祓給へ 清め給へ』って古代語に訳したら癒しの呪文の一部では?

病気や毒物など身体に害あるものを、祓い、清めるものだと思っていた。

ん?いや、このシチュエーションなら瘴気は身体に悪いものだし…だから合ってるのかしら?


だとしたら、物理攻撃には別の呪文を使っていたのかな?

マリアベル様はこの出来事の後聖女に担ぎ上げられ、国内外のあらゆる危険地帯に同行された。

そんな危ない場所だからこそ予期せぬ襲撃、予期せぬ病など予期せぬあれこれが巻き起こるのだが、その度に咄嗟に適切な呪文で回避していたとしたら、勉強や才能だけでなく、運動神経、判断能力も素晴らしいことになる。

勉強ならなんとかなるかも…と思ったけれど運動神経はからきしなので、できれば同じ呪文であってほしかったな…


そう思いながらも他に代替案があるわけでもないので、何かヒントはないかと伝記を読み進めるうちに交代の時間となった。


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