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【書籍発売中!】ライブラリアン〜本が読めるだけのスキルは無能ですか!?  作者: 南の月
第一章 底辺スキルの貴族令嬢

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魔法陣と古代語

付与魔法の本を読みつつ、魔法陣についてさらに勉強していく。

付与魔法には魔法陣を描いて付与する方法があるからだ。


今まで使っていた魔法陣は、すごく初歩の魔法陣だから、二重の円の中に属性を表すマークを描けばよかった。

描いていない条件はイメージの力で補っていたのだ。

けれど付与魔法に使う魔法陣は、イメージするわけではないから条件設定もしなければならず、膨大な決まり事を覚えなければならない。

例えば、私は毎日練習がてら庭に霧雨を降らせているけれど、今までの魔法陣は二重の円の中に逆三角形のマークだけ。

あとは庭のあの辺りまで降らすか、どれくらい細かい水にするかはイメージ次第だった。


けれどそれら全て魔法陣内に表さねばならない。

どの位置にどのように書くのか…覚えるのが大変だ。

条件を書くのは古代語なので、古代語の勉強もしなければならない。


確かに…魔法陣の勉強大変だわ。

スキル判定であっという間に魔法が使えるようになるのが嘘みたい。


つまり付与魔法をマスターするということは、素材の特性を覚えることであり、それら素材の加工方法を身につけることであり、魔法陣の書き方を覚えることであり、古代語をマスターすることであり、古代語で書かれた呪文を覚えることであり、それらを魔力を込めながら付与できるようにすることなのだ。

道のりが長い…


あらゆる知識を総動員してできるのが付与魔法だから、付与魔法を勉強すれば、魔法も上手くなるというのは本当かもしれない。


それにしても…なぜこの古代語で書く呪文は神への祈りなのかしら。


例えばこの聖魔法の魔法陣。

二重の円の中に地、水、風、火のマークを書き込み、線で繋げ、周囲に癒しの呪文、命の呪文を書き記してある。


4大魔法が記されているのは、地は固体、水は液体、風は気体、火は光る稲妻?を表しているらしい。

光る稲妻は電気のことかな?

そして万物を構成するのはこの4つの要素らしく、大抵の魔法陣にはこの4大魔法のマークが入る。

そこに癒しの呪文を入れることで毒や病など不調の原因を消し、その後命の呪文を入れることで、体の細胞やなんやかんやを活性化し、自己治癒力を高め、傷ついた体を治すのだ。


この古代語がまた難解で苦戦している。

一文字一文字に意味があるの。

漢字みたいだから理屈はわかるのだけど、幼い時から周囲に漢字が溢れていた前世と違って、古代語は全くお目にかからない。

だから覚えるのが大変だ。


よく使う古代語は、魔法陣で使うための文言として決まった定型があり、今回使用する癒しの呪文、命の呪文も定型文だ。

しかしそれはこの聖魔法の魔法陣が初級の魔法陣の域を出ていないからであって、上級の付与魔法使いはオリジナルの魔法を開発したりするらしく、定型文ではカバーしきれない部分は自分で文を作るようだ。


ちなみに癒しの呪文は、漢字に直すと「四柱帰依 祓清邪悪願 癒守温光願」という意味の文字の羅列で翻訳すると「天に御坐す敬愛なる四柱の神々よ。願わくは我を蝕む邪なる物、悪き物を祓給へ 清め給へ あぁ敬愛なる神々よ温かな光で我を癒し給へ 守り給へ」ということらしい。


難しい。

基本古代語の文字は神に祈る言葉で構成されている。

昔は魔法の現象が神の起こした奇跡に見えたのだろうか。


そして、今私が読んでいる本も今まで読んだ本も「聖魔法」という言葉が一切出てこない。

今回だって私が勝手に聖魔法と呼んでいるだけで、「傷や病を治す魔法陣」と書かれていた。

4大魔法とは立ち位置が違い、付与魔法の一つなのかも。


コンコン。

イヴリン姉様が今日も遊びに来てくれた。

…というのも、今は冬。

領内会議の為、屋敷には多くのお客様が来ていて、お父様、お母様はもちろん、次期領主のマリウス兄様も使用人もみんなバタバタ忙しい。


私も去年はマリウス兄様と一緒にお客様の子供たちと遊んだりしていたのだけど、どうやら今年はしなくても良いらしい。

多分だけど、去年私がライブラリアンだということが多くの人に知られて大変だったのではないかと思っている。

そんな役立たずをいつまで甘やかして家に置いてるんだ!なんて言われたのかもしれない。

あ…自分で勝手に想像しただけなのに悲しくなってきちゃった…


まぁつまりレイモンド様が言っていたように、そろそろ平民にさせようってことなのかな?

だから徐々に露出を減らして、冒険者として身分を作って…と準備しているのではないだろうか?


そういうわけで来客の多い今の時期は部屋から出ないよう言われているのだ。

一人で延々魔法の練習しているのを心配してか、イヴリン姉様は毎日私の部屋に来てくれている。


「イヴリン姉様!どうぞお入りになって!」


「今日もなかなかお客様が多いねぇー。

貴族ってのは大変ね!

テルミスちゃんもこんな面倒な貴族なんてやめて、私と一緒に旅に出ない?

テルミスちゃんなら大歓迎よ!」


「まぁ!イヴリン姉様ったら、私が持っていくであろうプリンが食べたいだけなんじゃなくて?

ふふふ。」


「あ、それいいね!

やっぱり一緒に旅しよっか。」


イヴリン姉様はそう言ってぎゅうぎゅうと抱きしめてきます。

そんな話をしていたら、誰かがドアをノックした。

コンコン

あれ?誰だろう?

メリンダかしら?


「どうぞー!」

躊躇いがちに扉を開くとアルフレッド兄様がギョッとした顔でこちらを見ている。


「アルフレッド兄様!

もう学校は終わられたのですか?」


「はっ!あぁ。終わってすぐに帰ってきたところだ。

ところで、これはどういう状況だ?」

そう言って私からイヴリン姉様をぺっと引っ剥がす。

あ、そうか。

アルフレッド兄様とイヴリン姉様初対面だったわ。

紹介しようと思ったところで、イヴリン姉様が私の手を引く。


「テルミスちゃん可愛いから、一緒に旅しようーって誘っていたところなの」


「二人で旅なんてダメに決まってるだろ!」


あれ?初対面じゃないのかな?

存外仲の良い二人にびっくりしながら、にぎやかな室内が嬉しくて、ニマニマしてしまうのだった。



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