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【書籍発売中!】ライブラリアン〜本が読めるだけのスキルは無能ですか!?  作者: 南の月
第一章 底辺スキルの貴族令嬢

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騎士の誓い

冬の終わり。

私とマリウス兄様、サリー、ルカは孤児院に来ている。

今日はきのこパーティなのだ。


冬の間に収穫したきのこは、その日の食事に使うものを除き、スライスして乾燥してとってあったのだ。

そして少し寒さが和らいだ今ようやく収穫のパーティをすることとなった。


マリウス兄様がいるのは、以前次のキノコパーティは兄様も来ますか?と聞いていたからだ。

あの時「楽しみにしている」と言ってくれたのは社交辞令だと思っていたのだけど、一応今回のパーティーで声をかけると、用事を調整してきてくれた。

マリウス兄様…かなり多忙なのに。

嬉しい。


サリーがいるのは、パーティで使うパンを作ってもらったから。

そしてルカがいるのは、孤児院の子にワイズを測らせてもらえないかと頼むためだ。

実際、既存のワイズに合わない人がどれくらいいるかわからなかったので、とりあえず手近な所で調査している。

ちなみにお父様、お母様、マリウス兄様、サリー、メリンダ、その他我が家の使用人は調査済み。

ルカの工房の職人さんも調査済みだ。

ちなみに今日調査に協力してくれた人にはクッキーをプレゼントする予定でサリーに用意してもらっている。

多分みんな協力してくれるはず。


「お、来た来た!もうこっちは準備万端だぞ!」

ネイトが走ってくる。


「わぁ。もう椅子もテーブルも準備してくれてたんだ。

ありがとう。

これ持ってきたんだけど、運ぶの手伝ってくれる?」


「おう!みんな!こっちだ。」


ワイズ調査のお願いをして、各々準備に取り掛かる。

私とルカは椅子を借りて部屋の隅で1人1人ワイズ調査。

ルカが測り、私がメモしてクッキーを渡す。

サリーは厨房で女子チームとシチュー作り。

マリウス兄様には男子チームとパンのくり抜きをお願いする。


そう。今日はパングラタン。

シチューパーティにしようとネイトと話していたけれど、ただのシチューじゃパーティ感がないかと思い、パングラタンにしたのだ。


「中のパンくり抜いてどうするんだ?

ここが一番柔らかくて美味しいところだろ?」


「あぁ、くりぬいたパンは明日残ったシチューのお供に食べるといいですよ。

今日はこちらのくり抜かれた側を使います。」


「こっち?」


「ふふふ。食べれるお皿です!」


あとはシチューをパンの中に注ぎ、チーズを振って、焼く。

あつあつとろとろのパングラタンはとても好評であっという間になくなった。


パーティの後は、片付けしつつみんなで遊ぶ。

男の子たちは木の棒を振り回して騎士ごっこ。

私は女の子たちと本の朗読。


「あ!」


騎士ごっこをしていた子たちの木がこちらに飛んできた。

え?え???結構太くない?

これ…危ないのでは?


わぁっと散る女の子たち。

私も!と逃げようとしてすっ転んだ。

あ、やばい。


…と思ったけれど、何もぶつからない。

あれ?と思ってみれば、マリウス兄様によって木は消炭になっていた。

さすがお兄様。


「マリウス兄様!ありがとうございます!」


「無事か?

ならいい。それよりお礼はそっちに言ったほうがいいんじゃないか?」


そう言って、兄様は騎士ごっこしていた子たちのところに行き、注意をしつつも、簡単な剣の稽古をつけてあげるらしい。

優しい。


それより、そっちとは?

ん?

振り向けばネイトがいた。


ん??

「本当鈍臭いやつだな。大丈夫か?」


そう言われてやっと気づいた。

さっきいるところから移動していたことに。

咄嗟に私を抱えて回避してくれたのだ。

一瞬のうちにここまで…身体強化したネイトだからできることね。


「あ、ありがとう」


「はぁー。

ほんっと、お前は小っさいし、力はないし、鈍臭くてハラハラする。

俺がしっかり守ってやんないとな」


まぁ!

本当にネイトは息を吐くようにこういうことが言えるんだから。


「そうだな。俺らもお嬢のこと守るから。」

ヒョイっと顔を出したのは、ルーク。

ルークは11歳と年も離れているので、それほど仲良くしていた記憶はない。


「ほんと。今までちゃんと言ったことなかったけどさ。

みんなお嬢には感謝してるんだ。

お嬢が畑やり始めて、俺らは初めてパーティの楽しさを知ったし、普段の食事も1品増えた。

それに俺らに文字や計算教えてくれたから、店や農家に就職できた奴もいる。

孤児院出なんてさ。

なかなか働く場所がなくて、女は娼館、男は傭兵になるのが多かったんだ。

それが今年はみんなどっかの店に就職してる。

それは畑をやる関係で街の人たちとやりとりすることが増えて、俺らに対する変な偏見が減ったのもあるし、文字の読み書きができるのも大きかった。

どっちもお嬢のおかげだよ。

…お嬢。ありがとう。」


「わ、私そんな大層なこと…」


「ただのきっかけかもしれない。

けどこのきっかけがなかったら、おれは傭兵になってたはずさ。

だから、俺らはお嬢の味方だから。」


そしてルークはスッと手を胸に当てる。

「命に替えてもあなたを守る。我が名にかけて」


「もちろん俺も。

命に替えてもあなたを守る。我が名にかけて」


この"命に替えてもあなたを守る。我が名にかけて"というのは、ちょっと前に私が朗読した騎士物語での騎士様のセリフ。

結構好評で、しばらくこの我が名にかけてが孤児院で流行ったのよね。ふふふ。

そのセリフなら返しの言葉は決まってる。


「途中で死んだら許さないわ。意地でも生きてわたくしを守りなさい。」

騎士様に守ると言われて、湖の乙女が言った言葉だ。


「ふっ…ふはっ…ははは!」

最初に笑ったのは誰だっただろう。

迫真の演技をした私たち3人は、真面目な空気に耐えれなくなってきて、笑い合った。


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