孤児院の慰問
今日はお母様と一緒にお出かけです。
数日前から言われていたので、今日はスケジュールを調整してある。
だから後でちゃんと算術ドリルも聖女マリベルも刺繍もやりますよ。
馬車でガタゴトガタゴトゆられた先は、孤児院だった。
「ここは孤児院。
両親がいなかったり、いても一緒にはいられない子どもたちがここで暮らしているの。
私は月に1度訪れてみんなと遊んでいるのよ。
テルミスももう6歳だし、最近ぐっとお姉さんになったから連れてきたかったの。」
私はずっと家にいたから友達がいない。
昔はお兄様とたくさん遊んだり、絵本読んでもらったりしたけれど、9歳になったお兄様は家庭教師について勉強する時間が長くなったし、剣術や魔法の訓練もしている。
忙しすぎてお兄様と会えるのは食事の時くらいだ。
お兄様は次期領主だし、3年後には王立魔法学校に通うから、その入試対策でも大変なのだ。
きっとお兄様は優秀だから大丈夫だと思うのだけど。
とにかく私は、同じくらいの歳の子と遊んだ経験がほとんどない。
貴族の子どもとしては結構あることらしいが、ちょっぴり不安だ。
…中身がおばさんでも友達になってくれるだろうか。
子供は案外鋭いからね。
結果はね…撃沈。
まずわぁーっと集まってきた子供たちになんてはなしかけたらいいかわからず。
どうしようかと思ってたら、名前は?何歳なの?スキルある?
何?と矢継ぎ早に子供たちから質問がきて、スキル特性を話した途端に、「何か読んで!」と熱烈オファーを受けて…
ずっと音読教材として使っていた『白竜ウィスパの小さな友達』を披露すると、もう1回の嵐で、結局15回も読んでヘトヘトになってしまったのでした。
子供と遊ぶって体力いるな…
いつもお世話している職員さんはすごい。
こんなに大変なのに、襟も袖もぴっちり締めた服装で全く乱れていないし、聖母のような微笑みを浮かべてる。
帰り際、あなたすごいわねという尊敬の念もあって、ガシッと手を握ってありがとうと言った。
ちょっと怯えてたかもしれない。
その時チラッと見えたあの手首…黒っぽく見えたのはアザ?







