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家族  作者: 葉月*
7/9

暗闇

柔らかいベッドに寝転び、私は芹那さんのことについて考えていた。芹那さんは、明るくて話しやすい方だった。いじめられそうには見えないタイプだ。でも、そういうタイプこそいじめられやすいのかもしれないけど。もしくは、他のこと?自殺した理由は何?レミさんとの繋がりは?レミさんが引きこもった理由は芹那さんの自殺?そう言えば、レミさんはゲームが好きだと言っていたな。誘ってみる価値はありそうだ。

 私は早速ルナちゃんにゲームを借り、レミさんの部屋へ向かっていった。


 レミさんの部屋の扉をノックすると、相変わらずなレミさんが出てきた。

「何のよう?」

「ゲームしない?好きなんだよね?」

「誰に聞いたの?」

本当は、芹那さんだけど。いうわけにはいかないので私は適当に誤魔化す。

「ルナちゃん。」

「そう。」

そこで沈黙が訪れた。会話が続かない。

「やろうよ。」

「嫌よ。」

「いいじゃない。」

「暇じゃないの。」

埒が開かない。仕方がない、と思った私はあの人の名前を口にする。

「芹那さんと、よくやっていたんでしょう。」

レミさんの目つきが変わった。やはり。芹那さんの名前を出すと、レミさんの反応は変わる。

「あなたは、芹那を知らないでしょう?軽々しく名前を出さないで。」

怒っていた。でも、それではいけない。

「あったこと、あるよ。」

猫だけどね。それを知らないレミさんは本気で驚く。

「なんで。」

「いい加減、乗り越えて。」

強く、訴えかける。芹那さんが望んでいることだ。芹那さんの代わりに、私が叶えなくちゃ。

「あなたは、部外者でしょう?放って置いて。」

「私はもう、部外者じゃないよ。家族なの。たとえ、血が繋がっていなくてもね。放って置けると思う?」

レミさんは叫ぶ。

「放っておいて。大体、あなたはここにきたばかりじゃない。」

「それでも、だよ。それでも。それにね、私だけじゃない。由奈さんも、ルナちゃんも、乗り越えてほしいって願ってる。由奈さんに頼まれたの。レミをお願い、ってね。」

そう。私は託されたのだ。

「五月蝿い!私の気持ちも知らないくせに!」

「そうだね。わかるわけないよ。」

「それなら...!」

関わらないで、と言いたいのだろう。でも、そう言うわけにはいかない。芹那さんの想いを無視するわけにはいかないのだ。だから。

「私が言いたいのはね、教えて欲しいってことなの。レミさんは、私が何も知らないことを責めた。無知は罪。そうね。でも、あなたは私に伝えようとはしなかった。私は、あなたのことが知りたいの...!だって、私はあなたの家族なんだから。」

レミさんは、何も言わなかった。しばらくの間、私たちの間には沈黙が流れた。

「ねえ。」

最初に沈黙を破ったのはレミさんの方だった。

「私も、あなたのことが知りたい。私のことが知りたいのなら、先にはなして。どうしてあなたは、この家にきたの?」

意外な質問だった。レミさんが私に興味を持ってくれた。嬉しくて、意気揚々と口を開いた。

「私、は...。」

話始めようとした。でも、何故かうまく先が続けられない。どうして。言葉が詰まる。喉に引っかかったまま出てこない。辛いんだ、話すのが。そう気付くには少し時間を要した。


「すみれさん。」

レミさんが私の名を呼んだ。

「私は、あなたの事情を知っている。由奈さんから、全て聞いている。辛い思いをしていることも。ねえ、話すのは辛いでしょう?あなたが私に求めたことは、そういうことなんだよ。」

「...。」

何も、返せなかった。自分が自分のことは話せなかったことに、驚いていた。そして何よりも、私はレミさんを傷つけてしまっていた、その事実を飲み込むことができなかった。私は結局、彼女のプライベートゾーンにいたずらに首を突っ込んでいただけだった。レミさんの気持ちを考えられていなかった。大事な人を無くす辛さは、私だってよくわかっているはずだったのに。辺りが突然、暗闇に包まれたように感じる。光が、見えない。


「もう、今日のところは帰って。」

私はレミさんに促され、それに従うしかできなかった。

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