姉妹
どうやら由奈さんは大金持ちらしい。あぁ、だから私を拾ってくれたのかもな、と思った。だって、私が1人住んだって、何にもかわらなさそうだ。それぐらい余裕がありそうなのだ。でも、こんなところにこんな豪邸建ってたかなぁ。まぁ、そんなことどうでもいいか。
「ただいまぁー!」
由奈さんが声を張り上げた。すると、
「おかえりなさぁーい!」
と、大きな声がこだまのように返ってきた。そして足音が聞こえてきた。ガチャ、とドアが開く。
「お帰りなさい。」
もう一度満面の笑みでそう言った少女は、私より少し年下だろうか。少し幼くて可愛らしい。その少女は、私の方に顔を向けて、首をかしげた。
「えと、初めまして。あなたは?」
私は少女に微笑みかけ、自己紹介をする。
「初めまして。私はすみれ。実は、今日から居候することになったの。よろしくね。」
さっと自分の名前と事情を説明すると、少女は、
「私はるな。よろしくねっ!」
と、名前を教えてくれた。
「驚かないんだね。いきなり一緒に住む人が増えるのに。」
「私たちも拾ってもらったの。だから驚かないんだよ。」
「へぇ。そうなんだ。…ん?私、達?」
「うん。お姉ちゃんがいるんだ。」
お姉ちゃん、か。私にもいたのにな。そんなことを考えながら、ルナちゃんと話を続けた。
「お姉ちゃんは、いつも部屋にこもったきりなの。お姉ちゃん、少し冷たくって。それで友達もできないし、しまいには学校なんて行く意味ないって。」
へえ、大変なんだなぁ、と思う。
「じゃぁ、またお夕飯にね。」
ルナちゃんが自分の部屋に戻り、私は由奈さんに呼ばれてついて行った。
「この家にはいくつも空き部屋があるの。」
由奈さんは、静かに言った。
「でもね、すみれちゃんには、“あの部屋”しかないかなぁて、そう思ってるの。」
どこの部屋だろうか。由奈さんは続けた。
「レミ、ルナの姉だけど、その子の部屋の隣よ。」
レミさんか。どんな人なのだろう。隣の部屋なら、話せるかな。
「ここよ。」
由奈さんが立ち止まる。赤色の扉を開けると、綺麗な部屋が見えた。全体が白で統一されていて、テーブルには花が生けられていた。まるで毎日誰かが手入れでもしているかのような。
「何か足りないものがあったら言ってね。私の部屋はあの廊下をずっとまっすぐ言ったらあるから。」
指を差しながら言った由奈さんは、最後にこう付け加えた。
「レミと、仲良くしてあげてね。」
じゃあね、と笑って由奈さんはいってしまった。レミさんを、お願い?私な何をすれば良いのかなぁ。レミさんの部屋は隣か。言ってる見る価値はありそうだ。でも、私を受け入れてくれるかな。まぁ、とりあえず行ってみるか。あとは歩きながら考えよう。と、私はレミさんの部屋に向かった。、、、しかし、考える暇もなく、すぐに着いてしまった。そりゃそうだ。隣なのだから…