BEZITABLUE 1
2021
時は、2015年。
突然変異で出来た野菜が巨大化し、老夫婦が亡くなる事件が発生。それから、10年でみるみる内に増えた変異野菜は、動きだし、独自の力をつけた。各国は政治を放棄した。
2025年。10年前に比べ世界の人口は20%減った。
「今日の収穫はどうだ?三ツ屋」
「ぼちぼちさ、今日は安仁屋の誕生日やし、人工果物でも買いたいな。」
「バカいうんじゃねーよ、栗屋。俺と三ツ屋、安仁屋、栗屋の4人の先月の月収合わせても、到底20万タックにもならないんだ。」
「でもよ…、安仁屋は昨日ので怪我してるし、今日くらい幸せになってほしいんだよ!」
「お人好しは、この地獄が消えたらにしろよ栗屋。」
この超野菜世界を
地獄と例えるこの鍛冶屋という屈強な男。彼は見た目は三連ピアスにサングラス。傍目からは、不良少年であるが、このサクラダイコン町の自治集団シーヤのリーダーとしてへ変異野菜徹底抗戦をしているのだ。
「だから!今日は三ツ屋の誕生日って俺は10回言ってるって!」
栗のような角のある丸い黒髪にそばかすはまさに栗。そして名を栗屋という。自称、シーヤの最弱王である。しかし、逃げ足と野菜の調理は一級品であるため、幾度となくシーヤの存続に携わるビビりなキーマンなのだ。
「おいおい、誕生日なのは、安仁屋安仁屋だろ?」
揚げ足を早速とるこの男は、栗屋に誕生日だと言わしめた三ツ屋である。このメンバーの中では博識で、野菜の知識は抜群である。トラップをしかけ、野菜を仕留める知恵者ならではの攻撃スタイルを魅せる。
そんな3人は、なんだかんだ言いながら青果店についた。
「今日は何が入ってる?青木花のオバサン。」
こう、三ツ屋が問うと
「ふん、また来たのかい!あたしゃ、仕入れに命かけてんの!あんたらに売る果物はねぇ!」
「ほぅ、青さんやい。これを見てもそう言えるかい?」
そう言って、鍛冶屋は5万タックをだした。
「ふん、本気だね。質は完全保証だよ!これが新作だ!」
そういうと、青木花は、巨峰を出した。すると、三ツ屋は喜び、
「うわ!巨峰って、10年ぶりだぜ!オバサンありがとう!」
「ふん、礼なら、5万タックとうちのバカ息子に言うんだね!」
そうして、青木花は息子の冴を指差した。
「あ、鍛冶屋一派、いつもご苦労様。ほれ今日はクリスマスだ、町の治安維持のお礼に、1万奢ってやる!昨日のドンチャンで確か、安仁屋だっけ?」その問いに、鍛冶屋は
「あぁ、全治3ヶ月の露骨骨折だ。心配悪いな。」
こうして気前のいい冴に3人は頭を下げしかめっ面の青木花から、1万タックを返してもらった。
「なんだ、今日はクリスマスだったか?あいつも損だよな、クリスマスプレゼントと誕生日プレゼントごちゃごちゃなんて。」
「だったら、イブに骨折は最悪だ。」
栗屋はぼそっと三ツ屋に皮肉を言った。あっという間に家に3人は着いた。
「えぇ!巨峰じゃねぇか!えれぇもん買ってきて、財布の紐緩すぎじゃろい!」
松葉づえをついて、台所から現れたのは噂の安仁屋だ。シーヤの最強武人で、左に包丁。右にビッグフォークの二刀流を駆使し獲物を捕らえる。昨日の戦闘で、変異茄子た一線交えるも、巨体に苦戦し、相討ち状態となったのだ。
「いいでしょ!冴さんがまけてくれたんだ!」
栗屋がどやる。
「へぇ、俺の意地も無駄じゃなかったか。」
「ひとまず、4人でパーティーだ!なんせ、この町のNo.3変異茄子は討ち取ったからな!」
「となると、あとは二体の強敵が残ってるな...」
沈黙に、安仁屋が切り込む。
「No.2の変異大根そして、ボスの超変異苫東…」
超変異野菜とは、1万個に一個と言われるほどの希少種類で、並みの変異野菜100個と同等以上の力を持つと言われている。
「今日はやけに静かだ、もしかしたら、ボスは動きだしてるのかも、しれないな…」
(ピンポーン)
「は?インターホンは壊れてるはずじゃ、、まさか!」
突然の衝撃に玄関が破壊された。
「お前、誰だ!?」
鍛冶屋が怒号を飛ばすと、こう相手は答えた。
「おほ、申し上げるなら、ラディッシュールであると。」
「言いましょうか?てか。」
相手の発言に恐れ知らずの三ツ屋が挑発する。
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