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スキル:ランクEX!?

「情報収集といっても、何から調べればいいかわからんな……」


 天使、ミリーの導きで異世界やってきたはいいが、正直言ってこの世界のことは何も知らない。

 何から調べればいいかも見当がつかないのだ。


「まあまあ慌てなさんな、遥さん。ここはこの私、超絶美少女天使ミリーにお任せを」

「はは、おもしれーボケ」


 なんとなくこいつの扱い方がわかってきた。

 こいつはアレだ、まともに相手しちゃダメな手合いだ。ペースが乱される。


「この世界はですね、遥さんが生きていた世界とは風習も文化も大きく異なります。例えばこれ」


 ミリーはポケットから銀色に光る硬貨を取り出し、俺に見せてきた。


「ん、コインか?」

「はい、この世界で流通している通貨です。この銀貨十枚で金貨一枚と銅貨一五枚と同等の価値があります」

「なるほど、ハリポタ方式だな」

「遥さんハッフ○パフっぽいですよね」

「ははは、こやつめ」


 ……ちょっと傷ついた。だってなんかハッ○フルパフってアレじゃん。


「とにかく、お金のことはわかった。他には?」

「んー、まあとりあえずは西洋っぽい世界観だと思ってもらえれば」

「西洋っぽい、ねえ…あんまりイメージ湧かないんだよな」

「あとは身分制度ですね。私たちが今いるのは、西の大国『ガルス』

 んで、貴族っていう偉い人が平民を支配してます。ちなみに遥さんは立場的にはギリ貴族という設定にしときましたんで、そこのところよろしくお願いします。平民相手にならマウント取れますよ」

「いや、取らんが」

 うーん、そう言われても貴族や平民と言われてもピンとこない。ベルばらかな?


「あ、そうそう。大事なことを言い忘れてました。この世界ではスキルと呼ばれる特殊能力のようなものがあります。これは貴族でも平民でも一つは持っているものです。遥さんも例に漏れず何かしらのスキルを持ってるはずですよ」

「お、マジか。いいね、ゲームっぽい」

「スキルは集会所の鑑定士にお願いしないとわからないので、まずはそこから始めましょうか」


 たしかに、まずは自分を知ることだ。

 いったい俺はどんなスキルを持っているのだろう。楽しみだ、あれかな、高速移動とか? それとも超回復とか。


〜ガルス国 ミドランド 第二集会所〜


「スキル:早漏だね」


 は?????


「なあミリー、こいつ殺していいか?」

「ふひっ…あはははははっ!!! ちょっ、ま、待ってくださいっ…! お腹痛い……!」


 鑑定士の告げた結果に一瞬思考が止まる。

 思わず殺しの許可をもらおうとミリーの方を見たら、腹を抱えて笑っていた。

 なんだ、これ。残酷すぎるだろ……!


「はぁっ……はぁっ……、んんっ…さて、遥さんのスキルもわかったところで……」

「おい、待てい」

「なんですか? 早漏さん。やべ、間違えた。遥さん」

「間違えようがあるか!! おい、スキル:早漏ってなんだ…?」


 とんでもないデバフスキルだ。

 ていうかスキルなのか、これは。


キレる俺と笑うミリーを見て、鑑定士が声をかけてきた。


「にいちゃん、早漏でもイケるだけマシだよ。俺なんか床に擦り付けすぎて射精障害を患っちまってな……」

「いや、なんの話!? やめて、そういうの聞きたくない!」


 生々しい。床オナはマジでやめとけ。

 じゃなくて。


「おい、これどうすんだよ。こんなんで生きていけるのか……?」


あまりのことに流石に不安になる。

こんなスキルでこの世界を生き抜けるだろうか…


「まあ、スキルのことはもうしょうがないですよ。諦めてください」

「お前、簡単にいうけどなぁ…」

「大丈夫です! 役立たずスキルですけど生きる分には問題ないはず!早漏も個性!」


いや、そうなんだろうけど。

それにしたってあんまりだ。

あと、あんまり大きい声で早漏とか言わないでくれ。


「さあ、スキルもわかったところで早速編入手続きに行きますよ!」


 こいつ、話変えようとしてるな。


「ん、編入?」

「はい、色々考えたんですが、遥さんも生前はまだ17歳の高校生でしたわけですし、やはり学校に通うのがいいかと思いまして」


 たしかに、俺は生前は普通の高校生だった。

 いきなりこの世界で働けというのもハードルが高い。学校で勉強をしどう生きるのか決める時間をくれるのはありがたい。


「そりゃありがたい話だな」

「そうでしょう? 天使の便利パワーでいろいろ面倒な手続きは全部すっ飛ばせるので。さあ、ワクワク学園ライフを始めましょう!」


 ミリーは指を鳴らす。

 すると、また世界が回り気づけばとても大きな建築物の前にいた。


「さあ、着きましたよ! ここが遥さんが通うことになる聖ガルス学院です!」


 聖ガルス学院は、ガルスの中でも一番歴史のある教育機関だ。日本でいうなら名門私立高校といったところか。

 俺は天使パワーで転校生として認知されているらしく、学院に入るとすぐに教師が待っていた。

 白髪まじりの髪をひっつめにしている女性と、優しそうな雰囲気とおじさんの二人だ。 


「Mr.コイズミ、はじめまして。私はマルガリータ・ゲルモンド教授」

「あ、はい、はじめまして。……マクゴ○ガル先生だ、おい、マクゴ○ガル先生がいる」

「違います、ていうかハリポタ好きですね……言っときますけど、魔法とかないですからね」

「お前の天使パワーは?」

「私のは天使パワーであって魔法ではありませんから」


耳打ちすると、ミリーは呆れたように笑った。

くそ、本当にこいつ笑うとかわいいな。


「早速ですが、Mr.コイズミ。あなたには私の受け持つクラスに転入していただきます。規律を守り、勉学に励むように」

「あ、はい。頑張ります」

「Ms.コイズミはこちらのハウゼン教授のクラスに所属してもらいます」

「はい、わかりました〜〜」


元気に返事をするとミリーはこちらを見てニヤリと笑った。


「一緒のクラスじゃなくて残念ですね、兄さん?」

「おい、マジか……」

「兄妹ということにしておいた方がなにかと都合がいいですから。よろしくお願いします!」


というわけで、俺の第二の人生はまた一歩進んだ。

面倒くさい妹の誕生とともに。


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