ハートの口づけ
地面に指で文字らしきものを書いている
気になり、眺めていると、ゆっくりと繰り返しあいかと書いていた
そうだったのか、私のファンだったのね。口角が緩み笑顔に変わり
「ごめんね、あなたの気持ちに応えられないの うふふふ」
はぁ と、ため息をつき、手首を握りあいかを連れていく
略奪愛!ああああ、一人の女の子を狂わせてしまった
悪いのはあなたじゃない、魅力的な私が悪いの・・・
強引なんだけど、嫌いじゃない、積極的についていく、ニコニコも止まらない
少し離れて場所に、ここなら声が2人に届かないか、動作は見えちゃうから、ちょうどいいかも
愛の告白かしらと胸が高鳴り恥ずかしそうな仕草に変わる
目と目をあわせてきたが、強い決意、直視できなくて視線を外す
本で読んだシチュエーションだけど、実際その状況が来るととても耐えきれない
「ごめんね、嫌いじゃないけど、心に決めたひとがいるの」
告白待たないといけないのに、胸が苦しくて言ってしまった・・・
ゆっくり、どんな反応しているかと目が泳ぐ、気持ちを落ち着かせ視線をもどしたら姿が消えていた
置き去りダッシュ、小悪魔な笑いを浮かべながら、戻っていた
走って戻るとクレハとりのなに抱きつく、嫉妬に狂いそうになりながら見ていた
「あいか、いちゃいちゃして、ここは、ひにかのポジションなのよ」
驚きの展開、あいかに告白だと気を使いながら眺めていた
時間が止まったように動かない2人に顔と顔を近づけて話す
「あの、顔と顔が近いよ、キスしちゃう」
「そうね、あいかに見せつけてあげましょう」
何言ってるの?防衛反応か、とっさに顔を抑えたが、圧が強い
ひにかは必死につま先を伸ばし、クレハの顔に唇を近づける
「いやだ、もう、恥ずかしい」
顔を両手で掴み持ち上げるクレハの行動に足が伸び、踏ん張ったことで、ぷるぷる震え足がつった
足を揉みながら、のたうち回る「痛い!痛い」
置き去りにされ、怒り心頭だっが、苦しむ姿に心配にか変わった
「可愛そうに、足が痛いの?」
3人で足を揉んで痛みを和らげてあげようとしてるが、あいかとクレハの指の力が強い
同時に強く揉まれ、あまりの痛さに悶絶することになった
痛みが治まったのか、訴えかけるような表情に変わり
「りのな、あいかが怖いの」
両手を広げ勢いよく抱きつき転がるが、お構いなしに強く握りしめ離れない
「ちょっと、なにしているのよ」
3人の取り合いになるりのな、体を振り回され目を回し、疲れ切ったように座り込んだ
「りのなが困ってるじゃないあなた誰なの?」
「クレハ、酷い・・・私の事、好きだって言っていたのにかわってしまったの?」
「えー!私、知らないよ 誰なの?」
「ひにかだよ、思い出してよ」
「知らない」同時に返事が返ってくる
「しょうがないわ、りのなのことが、私が好きなの、負けたら諦めてよ、勝負しましょう」
「クレハも、大好きだから、負けないよ」
「あいかは、大大好きだから、負けないんだからね」
私は、ものじゃないんだよ・・・
「喧嘩しないで、りのなに選択権は・・・ないのかな?」
「ないよ私の事好きだもんね」
「大丈夫、負けないもんね」
「うふふ 私たちの愛の力を見せる時が来たよ」
不安しか沸いてこないが・・・止めることも出来そうになかった
・・・私は、仲良くして欲しいのに、なんで争うの
『ハートの衣』なにも起こらなかった
『チャーム アロー』指をあいかに向けると「バーン」と弓を撃つ動作をした
ハートの衣の存在を捉えることが出来なかったので油断していた
風が吹いた?得体のしれないなにかが通り抜けると、動きが止まる
意識はハッキリしているが体の自由が奪われたのだ
なにも無かったかのようにあいかにひにかが近寄るが、体の自由が奪われる
声の出ない悲鳴をあげているが、分かってもらうのは困難か・・
状況を理解していないクレハは、いつもの悪ふざけかと気にも留めなかった
「あいか、あなたが、怖いの少し休んでいてね」
ちょっと、何する気!抵抗を試みようと考えるが、何が起きているかわからない
『ハートの口づけ』首元にキスをするとあいかの時間が完全に止まった
「え!何かしたの?」
異変を感じて、木刀が地面に刺さり、間に割って入る クレハがあいかを守るように立つと『光雷乱舞』強化スキルの発動
意外だったのか、驚いたような表情をみせ後ろに飛び下がる
「クレハ、仲間じゃない、どうしたの?」
「酷くないですか?あいかを元に戻しなさいよ」
「あいかの事、苦手だって、力貸してくれたじゃない忘れたの?」
「確かに、苦手だし、嫌いなとこも多いけど、親友だよ」
「い、意味が分からない、あいかとあの子が再会したら、クレハなしでは勝負にならない」
「えー、何言ってるのか、分からない」
「この世界で、願いが叶うことを夢見て探し出したのに、気持ちが変わっている・・・引き分けた影響なのかしら、でも、あの子は、怖いから仲間になんて考えられない」
「あいかを早く戻しなさいよ、大切な人なのよ」
「すべてがリセットされてるから、3人でイチャイチャしていたのか・・・」
「覗き見ていたの、いやだぁー、趣味が悪いぞ」
「りのなは、どう思う?ひにかの事、嫌いじゃないよね?好きだと言って」
「あいかちゃんを元に戻してほしいな」
「あいかは、嫌いじゃないけど・・・重いし・・・怖いの 名前だすと現れそうな怖いあの子も、出来たら逢いたくない」
「もしもし、話を聞いてますか?あいかを元に戻したらなにも無かったことにしてあげるから」
「クレハ、ごめんね、解除は無理、分かるでしょう?」
対決は避けられない様子だった




