お得な割引券
町では勇者が消息不明になったと、大騒ぎになっていた。
ギルドや酒場に難度の高い討伐不可能になった依頼が増え、初心者向けの依頼が取り合いになっていた。
勇者が消えた影響で吸血鬼ドランが、活発に動き出し夜中外出禁止になってしまうのではないかと噂も広がる。
歴代の荒くれ者さえ、怯えて、酒場にも寄らない状態だった。
依頼が多く、どれを受けたらいいのか、決められないクレハ、酒場の店主に声をかけられてが、高額なワインが報酬と聞いても興味を示さなかった。
必死でお願いしてくるが、理由があり頑固として受けないと決めていた。
窓際から、その状況をみていたあいか、悪戯そうな顔で寄ってきた・・嫌な予感がする。
「あらあら、クレハさん、冷たいんですね」
「今朝は冷えるね。温かいシチューでも食べに行こうよ」
「おごってくれるんなら行くよ。サイン頂戴 うふふふ 」
見てみると割引券だった!意外にしっかりしてるな。邪魔されず先に席の確保に向かうのなら、ほっと・・安心して名前を書く
「依頼きめて、いくから先に行っていて」
「何言ってるの受けたでしょう うふふふ」
クレハの名前が書かれた依頼書をヒラヒラと風を扇いでた。割引券を依頼書に重ねて貼り付け、使用するには名前が必要なように勘違いさせたのだ。
ハンター資格のない・・あいかが、酒場の店主に渡し、吸血鬼ドランの討伐依頼を受けていた。
夜が来た。
吸血鬼ドランは、力を失った勇者を亡き者にしようと狙っていた。
蝙蝠の情報から魔女の森に急ぐ、強大な闇の力は、防衛のゴーレムを魔力で封じ込み、いとも簡単に侵入してきたが、主が招いてくれないと家の中には入れない。
窓から様子をのぞき込む、紳士とは思えない行動だったが、相手が勇者だけに慎重にもなる。
力を失った勇者と、遺恨深いはずだが、紅の魔女ユリに恋人の様な扱いをされていた。
神秘的加護なければ弱い男性、、今やドラゴン一アーマーすら重くて着れない状況だった。
ドランは戸を叩く、ユリはその姿をみて、遥かに凌ぐ闇の力を感じ取った。
手放させない愛しい人に変わり、差し出すわけにはいかない。戦う決意をした、
気づかれないように外にでる・・招き入れなければ、安全だ、ドランは闇の力を使う『操りの瞳』家の中に招けと暗示が頭の中に響いた。
「ど・どうぞ、おはいり・・」唇が抗うが言葉を発しようと動いく
「あら、こんばんは♡」嬉しそうに扉から顔を覗かせているめいな
『操りの瞳』効果が解除され、吸血鬼は怯えていた・・・魔力を奪われたからだ。
勇者は、パーティーになんて恐ろしい仲間を!プライドを捨てにげていった。
城に戻り、奪われた魔力を回復させなければ、勇者以上に危険だ、触れないでおこう。
勇者、暗殺をあきらめることにした。
2人は、みなつの就寝を、薄目を開けて待っていた。
穏やかな吐息を聞き、起き上がると、準備していた装備を持ち、外に出る。
暗くなったが、風が生暖かい、今日は、朝は冷えていたのに暑い日だった。
綺麗な月。月光が明るく照らす必要がない、しばらく歩いていると足音が気になる・・・手を握ってくるなんて、可愛いとこあるなとお互い思い込んでいた。
あいかとクレハの握っていた手は、りのなだった。
「え!りのな!どうして付いてきたの」
「みなつに怒られるよね。連れていったら・・」
可愛く微笑んでいる。困ったな、戻るべきか、悩むクレハ、あいかは、よしよしと抱き付いていた。
りのなは、気力やスキル使用回数が回復すると聞いたし・・訓練したスキルを思う存分使ってみたい・・あいかは、ま、あれか・・幸せそうだ。
「りのりのは、暗闇、怖くないんだね」
「うん、風や木々が歌っていて、好きだよ」
「クレハ、震えてない?怖いの?」
「べ、別に怖くなんて、ないんだからね。冷えてきたから・震えた・だけだよお・」
「りのりの温めてあげようよ」
キャッキャッと抱き付いてきた、やめてと、恥ずかしがっていたが、実は怖かった・・弱気な心、温もりで消えていった。
暗闇が苦手で不安だったクレハ、2人のおかげで『暗闇耐久』を取得した。
「ありがとう」自然と口から洩れた
「え!なになに!そんなに寒かった?もう少し温めてあげようか?」
「クレハちゃん、寒がりだったんだね」
りのなが、手をギュと握て来た、は、破壊力ある・・可愛いよ!照れくさいかったのに、幸せが勝る。
もう、不安なんてない。




