ブログで語る、ボクのこと。(10)
公園は、満天の星空だった。
真冬の、冷たい、澄みきった空気のせいで、夜空にまたたく星々の輝きは、闇にばらまいた宝石のような美しさである。
「うっわ、すごいなぁ。小さい頃に見たプラネタリウムみたい」
奥さんが目を細めている。
「ホントすげぇな、あんなきれいなオリオン座、初めて見たぜ」
オレも感動してた。
もっとも、星座の名前なんざ、オリオン座ぐらいしか知らないけども。
「で? きれいな星空見せて、ごまかす気かしら?」
「なワケねぇだろ、こっちこい!!」
オレたち二人は、真っ白な息を吐きながら夜の公園を進んでいく。
かじかむ手をしきりにこすり合せて、暗闇の中、目をこらすと・・・
あった。
「おい、アレだ!!」
勝ち誇った気分で、オレは指差した。
桜が、咲いてる。
春に咲くように、降るように咲いてるわけじゃないけど、
ぽつぽつとしか、咲いていないけど、
この真冬に、たしかに桜が、そこに咲いていた・・・
「へぇぇ、ホントに桜が咲いてる・・・」
奥さんが目を丸くした。
それを見て、オレは得意満面でふんぞり返った。
「どーだ、オレは『うそつき』なんかじゃなかっただろっ!?」
「うんうん、めっずらしいわねぇ。こんなコト、あるのねぇ・・・」
感動してる奥さんの表情を見て、オレは気分がすっきりした。
他人ならともかく、奥さんにうそつき呼ばわりされちゃ、たまらないモンな。
「どーだ、言うことがあるんじゃないか?」
ニヤニヤしながら言うオレに、奥さんは、ゆっくりと振り向いた。