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未来への旅が終わった時

魔王の姿が消え去ると同時に世界の力が爆発した。


その直前に未来行の魔法へと飛ばされた俺はその影響を受けずに済んだ。


まっ白の空間を漂うようにしてゆっくり進んでいく俺の視界には俺と魔王が消えた後の世界の情勢がスクリーンのように空間に映し出されていた。


世界の力が爆発した中心地である魔王の城は跡形も無く爆発に巻き込まれて消え去った。


その余波で魔王城が存在する魔王と共に暮らしていた魔族もいた大陸が海の底へと沈んだ。


大半が爆発と共に死んでしまった魔族ではあるがもともとの高いステータスと魔王の加護により、大陸が海に沈む前に別の大陸へと避難することに成功した一部の魔族も存在するようだ。


魔王が倒されたことにより、魔族以外の全ての生物が歓喜する中事件が起きる。


俺を召喚したノーマルヒューマンことノービスの国が俺が魔王を倒したことを世界へと喧伝し、力を蓄えた後に世界制覇へとのりだしたのだ。


どうやら彼らは俺が魔王の魔石に剣を突き入れて魔王に止めを刺した映像を世界各国に流していたらしい。


魔王との戦闘のシーンは恥ずかしながら俺が逃げまくるシーンがほとんどであり、それを世界中の人間に見られていたことに俺は赤面したが、魔王の魔石に剣を突き入れ魔王の体が砂へと変わり始めたところで映像が途絶えていたことにより俺が未来へ飛ばされたことは誰も知らない。


契約していた生命の精霊も俺との契約がいきなり途切れたことを知り、俺が死んだと思って泣いていた。


それをノービスの前で証言してしまい、世界では俺が魔王と相打ちになったということで決定してしまったようだ。


失礼な、魔王のお蔭でピンピンしておるわ。


未来ではあの馬鹿精霊を探し出してお仕置きするところからにしようと俺は決心する。


そんな俺の決心はおいておき、魔王を倒した勇者を輩出したノービスの国に世界中から寄付が募った。


世界から栄誉と力を手にしたノービスは調子にのり、世界征服を宣言したという訳だ。


もともと俺を洗脳して奴属させて勇者を送り込ませていた国なのだからそうなるのは俺からしたら分かり切っていた訳だがそんなことを知らない特に龍や天使は驚愕していた。


その二種族はノービスに特に寄付と便宜を図ったがために、その国力が落ちていたところでもあった。


それにより人間不信に陥った彼らはとっとと人間の住む大陸から脱出しようとしたがノービスの手によって半数は殺されたり奴隷として捕まってしまった。


それにより龍と天使の恨みを買い、世界を巻き込んだ大戦争が起きる。


もちろんノービス以外の人型種族や龍と天使以外の知識生命体もノービスの蛮行に立ち上がったり、逆に精霊などノービス側についたりと全ての種族を巻き込んだ戦争へとなる。


地形が変わり、地脈の流れが変わり、天候が変わり、戦争によって死んだ者達の負の怨嗟が大地を汚す。


地図が書き換わるほどの戦争が各地で勃発したために、魔法などを使うエネルギーの一つである魔力が異様にたまる魔力だまりが無数に発生したせいで異常生物の魔物が大量に発生する。


戦争と大規模に発生した魔物による戦いで、生物は進化を始めていた。


魔王級へと至るもの、神級へと至るもの。


魔物を含めた全ての生命体からそれらが生まれており、世界の戦いはさらに激しさを増している。


それはまさに神話のような話でもあり、俺は思わず感嘆の息を漏らした。


しかしなんだ魔王級や神級がぽんぽん無数に生まれるって。


神級ってあの魔王より強いってことだろ?


そんな中に放り込まれたら俺確実に殺される自信しかないんだが。


戦争の中盤で見た俺の契約精霊である生命の精霊も進化を繰り返して精霊王の一人へと数えられていた。


まじかー、あのぽんこつ精霊が精霊王とかないわーとか思っていたが顔つきが俺の知る契約精霊と違う感じがして俺が死んだと思っていることによって覚悟というか強い意志のようなものが顔に貼り付いていて思い詰めている様子が伺えられた。


なにやら悩み事でもあるかのような様子なのでやはり未来に着いたらこのぽんこつ精霊を探そうと改めて決める。


そんな決心を決めていたときのことだ。


まっ白な空間が突然歪み始めたのだ。


最初に発動した瞬間では魔法による未来への到達はまだまだ先のように感じられた。


だがしかし、突如として魔法が終わりを迎えようとしていたのだ。


つまり俺はいきなりこの神話のような状態の世界にダイブすることになるという訳である。


いやいやいや無理無理無理。


そんなことを思ってジタバタともがいても何も変わることなく俺の体は崩壊する白い世界から急速に落下する。


絶叫するようにして落ちていく間、崩壊する空間の合間に生まれた黒い隙間の間からどや顔の魔王が見えたような気がした。

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