僕が選ぶ転生特典
第2話目です!
1.目覚め
「転生ですか?」
僕は聞きなれない言葉の意味を確かめる為聞き返した。
「そ、転生。最近結構してる人いるんだけど・・・聞いた事ない?」
「はい全く。」
「へぇ〜まぁいいわ。どちらでも問題ないし。それじゃあまず転生の特典を決めて。」
「特典ですか?」
「そう特典、転生するにはテンプレだーとか他に神たちが言ってから。で、何がいいの?圧倒的な力?それともこの世の真理の知識?何がいいの!?」
グイッとメディス様が顔を近づけてきた。だから近いって!スッとメディス様から顔を遠ざけると僕は特典とやらについて考え始めた。あの言い方からすると殆ど何でも思い通りになるようだ。でも、この目が治っただけで充分満足してるしどうしよう。う〜ん・・あっ、
「あのメディス様、」
「何々決まった!?」
「はい、両親と友達に一言ありがとうと伝えたい、とかでも大丈夫ですか?」
「・・・えっ!そんな事願うの!?」
「はい、この目を治していただいただけで、僕はもう満足ですので最後に一言伝えらればそれだけで構いません。」
「・・・はぁ〜〜〜〜。」
メディス様が深い深い溜息を吐いた。どうしたんだろうか?
「全く欲がないんだか頭がおかしいんだか・・・世の中理不尽ねこういう子から死んでいくだなんてね。」
前半は呆れたように呟いていたが後半から優しい顔言っていた。
「やっぱりメディス様はお優しいのですね。」
「べ!別にそんなんじゃないわよ!それよりもほら早く済ませるわよ!これは特典じゃなくていいから!」
「えっいいんですか?」
「構わないわよこれくらい。」
そう言うとメディス様は僕の頭の上に手を置いた。
「自分が言いたい事と人の顔を思い浮かべなさい。そうすれば後は私が伝えてあげるから。」
「はい。・・・」
僕はそう言うと両親、知人友人達、お世話になっていた近所の人達、そして最後の瞬間に一緒にいた幼馴染の顔を思い浮かべた。そして感謝の言葉を思い浮かべた。
「・・・今まで本当にありがとうございました。」
「・・・もういいわよ。」
そう言うとメディス様は僕頭から手を離した。
「・・・これで貴方が思い浮かべた人にその言葉が届いたわ。多分夢枕に立つと思うわ。」
「えっ怖!」
僕の言葉夢枕に立ちながら言うの?・・・心霊番組とかで取り上げられなきゃいいけど。
「冗談よ多分夢の中に出ると思うわ。さてと言葉を伝えるのも済んだところで・・・何を願うの?」
「いらないと言うのは?」
「もちろん無し!」
メディス様が美しい笑顔を浮かべながらそう言ってきた。思わずドキッとしてしまったぞ。
「で、何にするの?」
「え〜と・・・」
僕は悩んだ。本当に何も思い浮かばないのだ。特に力が欲しいと言うわけでもない。知識も勉強するのは好きなのでそんなにいらない。そんな風にいるいらないを考えながら悩んでいると一つの願いが浮かんできた。
「・・・決まりました。」
「お!何かな?」
僕は一度深呼吸をするとこう言った。
「メ、メディス様といつでもお話が出来るようにして下さい!」
「・・・・・・うん?」
「あぁ!いや!その!やましい意味じゃなくて!いつでもメディス様とお話が出来たら楽しいかなって思っただけで!えっとあの!ごめんなさい!」
慌てすぎて自分でもなぜか分からないが謝ってしまった。
「・・・」
メディス様は黙ったまま震えている。お、怒ってるのかな?
「・・ぷ、あははははは!まったくもう可愛いこと言うじゃない。」
そう言うとメディス様は僕を抱きしめた。
「メ、メディス様!い、い、一体何を!!?」
「ふふ、可愛いから抱きしめただけ。・・・じゃあ早速だけれども送っちゃうわよ。」
そう言うとメディス様は右手を地面につけた。すると、足元に大きな魔法陣のようなものが現れた。どうやらついに転生するようだ。
「と、その前に・・」
チュッとメディス様が僕の額にキスをした。
「な、な、な!」
「ふふ、これはプレゼント。私の力を付与したわ。」
「え・・・あ、そう言うことですか。何だ・・・」
「ふふ、もう落ち込まないの。キスしたのはサービスよ。本当は手の平から遅れるからね。どう嬉しい?」
「え!は、はい!嬉しいです!」
僕は自分の気持ちを正直に言った。
「いい子ね。・・・そろそろみたい。」
パァ!魔法陣の光がより一層強くなった。どうやら転生の時間が迫っているようだ。
「メディス様、僕を転生させていただきありがとうございます。」
「何?改まって。」
「どうしても伝えたかったので。もう見えないと思っていた景色を、色を、顔を見えるようにしていただいて、更に僕にもう一度人生を与えてくださって本当に本当にありがとうございます!」
僕はあらん限りの想いを込めてそう言った。
「・・・もう、これで最後じゃ何だから。
そんなに固くならないの。でも私も貴方を選んでよかったわ。・・・じゃあ、いってらしゃい。」
その言葉ともに僕の視界が白くなった。
「はい、いってきます!」
僕はそう言うと意識を失った。
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