表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
メルシュ博士のマッドな情熱  作者: 京衛武百十
76/98

次のステージ

サーシャとケインが診療所でゴードンを見舞っていた頃、研究所の一室で、一機のリリアJS605sが起動していた。


「おはようございます。メルシュ博士」


リリアテレサだった。手術室に踏み込んできたメイトギア達によって破壊された彼女も、リヴィアターネのリサイクルショップで発見されたリリアJS605sのボディにデータと記憶を移し替え復帰したのだ。


また、新しく現れたアリスマリアHについても、更に体を増やす為に以前から準備していたものだった。二つの体を同時に操ることには慣れていたが、それでも簡単にまた体を増やすということができなかった為にフィリス・フォーマリティの官邸で休ませていたところに、メイトギア達は踏み込んできたという訳だ。それによって従来のアリスマリアHが機能停止し、新しい体がスムーズに使えるようになったというだけであった。


ちなみに、非常停止信号のスイッチは、撃たれた方のアリスマリアHもポケットに忍ばせていた。単に使う暇がなかっただけである。


なお、蜂の巣になって機能停止した方のアリスマリアHについては、執務室から運び出した後に、貴重な射殺体としてほくほく顔で研究所の手術室に運び込み、射殺された人体がどのように破壊されるかということを、アリスマリアRがいつもの通り血まみれになりながら徹底的に調べていた。自分自身のクローンであり、今はインターフェースとはいえ仮にも自分の体であるそれすら、博士にとってはただのサンプルでしかない。


結局、今回の事件で博士が実質的に失ったのは、生身の体一つと、アリスマリアの閃き号に搭載されていたメイトギア一体と小型艇一機だけだったと言えるだろう。タリアP55SIをはじめとした、人間の為に戦おうとしたメイトギア達にとって、あまりと言えばあまりにも虚しい幕切れだった。


相手が悪すぎたのだ。戦闘能力を持ち、戦術について一般的な知識を持っているとは言えど、嘘を吐くことができず人間のように虚実織り交ぜた駆け引きのできない彼女達が挑むには、メルシュ博士は邪悪過ぎた。


「くくく、いやはや、興味深いデータが取れたよ。しかもまた不顕性感染者が手に入った。おかげで新たな実験も思いついたことだし、今度は人間達の反乱がいつ起こるかが見ものだねえ。


私が生きてる間に結果が出てくれればありがたいんだがね」


フィリス・フォーマリティの執務室の窓から、自らが作り出したただの実験場でしかない虚構の町を見詰めながら、メルシュ博士はニヤァと邪な笑みを浮かべていたのであった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ