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メルシュ博士のマッドな情熱  作者: 京衛武百十
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コラリスの生態

CLSを発症し死んだ本来の自分=コラリスを、CLS患者ですらない<何か>に変えてしまったメルシュ博士は、コラリスを<飼育>する為にリリアテレサに小動物の捕獲を命じた。するとリリアテレサはそれに従い、僅か十分ほどで、やや大きめのネズミに似た動物を数匹捕まえてきた。それは普通の健康な動物だった。ある程度以上の大きさの脳を持つ生物でないと、CLSは感染しても発症しないのである。


「取り敢えず生きた動物なら何でも食うらしいから、それを与えてみてくれたまえ」


そう言われてリリアテレサはコラリスに向けてその小動物を一匹、放り投げてみた。それを素早く空中でキャッチしたコラリスは、躊躇うことなくバリバリと丸ごとかじり口元を血まみれにしながら食った。メルシュ博士の処置で動きが人間のそれと同等になり、正確性も増したようだった。


再びリリアテレサが投げて寄越した小動物を同じようにかじり、さらに三匹目も同様に食った。しかし四匹目を投げるとそれには手を出そうとせず、地面に落ちたその小動物は素早く逃げて姿を隠してしまった。どうやら満足したらしい。


「ふむ。その小動物の合計重量はどのくらいかね?。リリアテレサくん」


と尋ねられ、リリアテレサは、


「一匹平均、一五〇グラムですので、四五〇グラムです」


と冷静に答えた。


「なるほど。結論を急ぐには早いが、現時点で見る限りは案外小食と見える。エネルギー効率は悪くないのかも知れんな。人間は脳を維持する為にも大量のエネルギーを消費するが、CLS患者の頭部に詰まっている器官は代謝を行わないことが判明している。電気信号と化学反応で情報をやり取りするだけで、生物としては機能していないのだ。つまり、CPUと同じだ。生物の体が発生させる僅かな電気をエネルギーとして動作し、肉体を操る。実に奇妙だとは思わんかね?」


「奇妙、とは?」


「つまり、彼らは肉体を自在に操るほどの高度な機能を持ちつつも、先程の小動物程度にも思考していないのだよ。しかも記憶すら定着しない。ではなぜ、そんなに大きな器官を形成する必要がある? 肉体を操るだけならもっと簡易な器官でもいいはずだ。にも拘らず不必要なまでに大型化する。と言うよりは、脳そのものを破壊すること自体が目的であるかのように、脳とそっくり入れ替わってしまうのだ。しかし何故だ? 何故そんなことをする必要がある?」


腕を組み、顎に手を当て、メルシュ博士は思考した。もっとも、彼女の<脳>と言うべき部分は上空百キロで待機している自家用宇宙船<アリスマリアの閃き号>の内部にある装置であって、この体で思考している訳ではない。生身の人間としての時の癖が再現されているだけなのであった。



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