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メルシュ博士のマッドな情熱  作者: 京衛武百十
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悪魔の思い付き

レイバーギア達による町作りが着々と進む中、メルシュ博士も、<メイトギア人間>を作る為の準備を整えていた。第一号のレオノーラ・アインスを研究施設内で運用し、改善点の洗い出しを行う。


まず第一に、元がロボットなので、生身の体の扱い方がそもそも十分に理解できていなかった。高齢者介護や赤ん坊の世話もできるメイトギアならば人間の体の扱いも分かっているだろうと予測していたのだが、他人の体を丁寧に扱うのと自分の体を加減して扱うのとではやはり勝手が違うらしい。


「体がものすごく頼りなくて、変な感じです。博士」


他人の体を扱う時の気遣いを自分の体に対しても行うので、動作がとにかくぎこちない。物に触れる時も慎重すぎてコップ一つ持ち上げるのにも一分ほどかかってしまった。それはまるで、人を模したロボットが誕生した黎明期の動きを思わせた。または、全身麻痺から回復した患者のリハビリに似ているのだろうか。


遅い。動きがとにかく緩慢だった。加減を掴むのに時間を要するようだ。


なので、レオノーラ・アインスが普通に歩けるようになるまでにさえ一ヶ月かかってしまったのだった。そこで博士は人工脳にインストールする基本プログラムのバージョンアップを行い。より緻密に生身の体の制御を行えるようにした。


こうして完成した人工脳を別のCLS患者の頭に移植。今度はリリアテレサにリンクさせた。


「…人間の体って実に変ですね。動きが安定しない。正確さがない。よくこんな体で生きられるものだと感心します」


レオノーラ・アインスによって得られたデータを基に作られたそれは、リリア・ツヴァイと名付けられた。さすがに最初から立ち上がりある程度の動きができるようになってはいたが、それでも慣れる為にはリハビリが必要であった。とは言えそれも三日ほどで済み、日常的な動作なら問題なくできるようになった。


レオノーラ・アインスと同じように顔や手足に大きな絆創膏を貼ったリリア・ツヴァイに紅茶を入れてもらいながら、メルシュ博士はさらに悪魔的な思い付きを巡らせていた。


「不顕性感染者を人工的に生み出す方が手っ取り早いかねえ」


面白いのでメイトギア人間も製造しつつ、DNAを操作して意図的に不顕性感染者を生み出すことを思い付いたのだ。これも、博士の技術を用いれば造作もないことだった。


そして思い付いてしまえばそれがどれほど人道に背くものであろうとも実行に移さずにいられないのが、この、アリスマリア・ハーガン・メルシュ博士という人物なのである。


そんな博士を止める人間は、やはり現在のリヴィアターネにはいなかったのであった。



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