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メルシュ博士のマッドな情熱  作者: 京衛武百十
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タリアP55SI

サーシャとコゼット2CV(ドゥセボー)が暮らしていた大型複合商業施設を中心に着々と築かれていく町を、一体のメイトギアが眺めていた。この計画の管理監督役として配置されたタリアP55SIだった。彼女はメルシュ博士の所有物ではなく、たまたまリヴィアターネに廃棄されていたものが協力を申し出たことで、この計画についてのデータをインストールされ、管理監督役を任されたのであった。


実はこのタリアP55SIもかつて不顕性感染者に遭遇しており、しかし不幸な出来事によりその不顕性感染者を亡くしていた。その後、他にも同様の事例があるのではないかと調査に出てメルシュ博士のことを知り。サーシャの存在を告げられて現在に至るという訳だ。


彼女が出会った不顕性感染者は十代後半とみられる少女で、幼い頃にあの惨劇を目の当たりにしてしまったことで精神を病んでいた。恐らくそれが原因で自ら死を選んでしまったのであろうと思われる。


それに対してサーシャは、生まれた直後にパンデミックが発生したので、彼女にとっては今のこの状況そのものが世界の全てであり、それ以外の世界については、本や映像の中でしか知らなかった為に、最初からこういうものだという認識だったことが幸いしたものと推測された。基準が今の世界だから、良いも悪いもないのだ。


それが幸せなことなのか不幸なことなのかは分からない。メイトギアとしてはただ人間に苦痛が与えられるのは認められないというだけだ。タリアP55SIも、今なお人間として生きるサーシャを守り、苦痛と危険を取り除きたいと思うだけであった。


この町づくりがサーシャに人間らしく生きる環境をもたらすことになるのなら、協力は惜しまい。それがメイトギアとしての存在意義だ。


などという彼女の意気込みも、メルシュ博士にはどうでもよかったのだが。博士にとっては、人間社会を知らない少女がそういう中に置かれた時にどのような反応をするのかが見たかっただけである。他にどれだけの不顕性感染者が集められるかは分からないが、その時はアリスマリアHの事例で得た経験を活かすだけだ。


「私に用いた手法を応用すれば、人間の肉体を持ったメイトギアを量産することは可能だからねえ」


そう、博士は、アリスマリアHと同様の処置をCLS患者に施し、メイトギアの人工頭脳とリンクさせて、生身の肉体を持ったメイトギアを作って疑似的に人間の社会を再現しようと考えたのだ。


本当にもう、悪魔のごとき発想というしかないだろう。



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