表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
メルシュ博士のマッドな情熱  作者: 京衛武百十
10/98

サンプル確保

コラリスを庇おうとしてCLS患者に組み伏せられてしまったメルシュ博士だったが、さすがにリリアテレサにとってはCLS患者など物の数ではなかった。自分に噛り付いていた者を振り払い、コラリスを抱え上げて物置を改造した小屋の中に入れて隔離した。これでもうCLS患者からは見えない。


CLS患者は視覚により食料となるものを見つけ出すものと推測されていた。事実、コラリスの姿が見えなくなると今度はリリアテレサに襲いかかってきたのである。


しかしこれも、リリアテレサにとっては何の驚異にもならない。むしろ適当にかじらせておいた方が楽にその場に留め置けるので、抵抗さえせずにCLS患者の好きにさせた。既に慣れたものだった。とは言え、絵的には屈強な成人男性に小学生くらいの少女が襲われているという風にしか見えなかったのだが。


しかもメルシュ博士に至っては少年のCLS患者と先程までリリアテレサに食らいついていた中年女性らしきCLS患者にも襲い掛かられ、身動きができない状態だった。


「あ、いい! 感じる!!」


などと、CLS患者に歯を立てられてまた身悶えながら嬌声を上げていた。彼女にしてみればこれもCLS患者の観察の一つらしいが。


それにしても、程よい大きさと形に作られた彼女の乳房はよほど美味そうに見えるのか、二人のCLS患者は揃って乳房に噛り付いていた。歯が立てられる度に柔らかそうなそれはいやらしく形を変え、先端は固くとがって存在を主張してくるかのようだった。


一方、リリアテレサは、博士からの次の指示があるまでその場で待機しているだけである。軽蔑しきった冷めた視線を向けながら。


「あ、イク…! イク…っ!!」


声を詰まらせびくびくと痙攣し、十分に堪能、いや観察したメルシュ博士はリリアテレサに命じた。


「取り敢えず拘束具を使って拘束してくれたまえ、リリアテレサくん」


その指示を耳にした瞬間、リリアテレサは自分の倍ほどもあるCLS患者の体を引きはがし、博士がCLS患者を捕獲する為に用意した拘束ベルトを手に取り、瞬く間に腕も脚も拘束し、地面へと転がした。


そしてそのまま博士に食らいついていたCLS患者も次々と拘束。こうして新たにCLS患者三人の確保に成功した。


「はっはっは、お手柄だリリアテレサくん。君は実に有能な助手だよ。リサイクルショップの店頭で投げ売り状態だった君を見つけた時に感じた天啓は正解だったな」


どういう褒め言葉なのかよく分からないが、取り敢えず褒めているらしいということは分かる博士の言葉を、リリアテレサはやはり冷めた表情で聞いていたのだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ