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JK戦記(前編)  作者: 石屋さん
誕生! 国王軍の白い悪魔
12/49

帝国の使者


 アルマサン城塞都市参謀本部


 珍しく参謀本部のテイス将軍執務室の扉が バーンと乱暴に開かれた。

「失礼します! 将軍、反乱軍と思われる軍勢が迫っているようです。」

「来たか……」

 テイス将軍が静かに呟き、ゆっくり席を立った。


 反乱軍が到着するまで、一日かかると予想された為、その時間を使って、テイス将軍とカールハインツ公爵は城塞都市の守備隊の再編成を行った。


 まず、テイス将軍が食料の問題から尋ねた。

「カールハインツ公爵、食料はどれくらい持ちますか?」

「そうだな、普通に生活して二カ月は持つ、節約すれば半年は大丈夫だよ」

「そうですか。とりあえず、早馬で王都へ援軍を要請しますが、王都も王都で大変なようなので、暫くは籠城して耐えた方がいいですな」


「籠城すれば、このアルマサン城塞都市が、五万程の兵で落ちることない。但し、反乱軍に呼応する兵士が開門などした場合には、都市部に相当の被害が出てしまう。」


「カールハインツ公爵、万が一開門された時の為に、城門前の広場には我が軍を常時待機させます。」


「うむ、それだけでは不安である。農民出身の兵は、出城に詰めて、城塞都市は、騎士とその従者で固めることにする。」


「それでは出城で反乱が起きてしまいませんか?」

「大丈夫じゃ、出城には騎士団長と側近を指揮官として派遣する。部下の躾けには厳しい奴なので心配は要らぬ」

「そうですか……」

 テイス将軍は不安が過ったが、カールハインツ公爵へこれ以上異論を唱えることは止めておいた。

 万が一、出城が全て寝返ったとしても、反乱軍は六万、こちらは四万の兵であり、城門さえ開門されなければ、城塞都市が落ちる事はないのである。



 翌朝、斥候からテイス将軍の元に正確な情報が入った。


 反乱軍は、アルマサン城塞都市から十キロほど離れた丘の向こう側に、本陣を築き約5万の兵が集結、新たな情報として、その後ろに帝国軍の騎兵隊五千が陣取っており、更に二万の反乱軍が行軍中との事であった。


「帝国が後ろ盾になっている事は解っているが、あからさまに五千もの騎兵を出してくるとは……帝国は王国と全面戦争する気でいるのか?」 テイス将軍は眉間にしわを寄せ、苦悩の表情が現れる。


「テイス将軍、心配するでない。二十年前帝国兵三十万が押し寄せて来た時も、ここは落ちなかったではないか。十万にも満たない兵で落ちる城ではない。」

 カールハインツ公爵の強気は崩れない。

「公爵、そうではなくて今後の帝国との……」


 テイス将軍の言葉を遮るように伝令が

「テイス将軍! 帝国の使者と名乗る物が城門前まで来て、通すようにと言っております。」


 テイス将軍は、カールハインツ公爵と目を合わせ

「通せっ! ここへ連れて来い。丁重に扱うのだぞ」



 テイス将軍とカールハインツ公爵は、場所を公爵邸へと移し、帝国の使者を迎えることにした。

「失礼します。帝国の使者を三名お連れしました。」

「うむ。通すが良い」


 守備隊の騎士に囲まれた、三人の使者が通されると跪き

「帝国軍、皇帝直属軍師ジークベルトであります。」


 その名を聞いたテイス将軍が

「天才と誉れ高いジークベルト軍師殿か、一度会って見たいと思っておった」

 ジークベルトは跪ずいたまま

「猛将テイス将軍と名君と名高いカールハインツ公爵に、謁見の機会を頂きありがたき幸せにあります。」


「ジークベルト殿頭を上げい、じっくりと聞きたい事があるゆえ椅子に座るが良い。帝国が我が国の内乱に直接関与するとは、全面戦争をする気であるのか?」


 ジークベルトは、促されテイス将軍とカールハインツ公爵の前の椅子に座り

「我々は、観戦武官であります。直接国王軍と剣を交えるつもりはありません。」

 テイス将軍は身を乗り出して

「それでは、ここへ何をしに来たんじゃ?」

「もちろん、停戦交渉の為です。」


 カールハインツ公爵が怪訝な顔で

「停戦交渉? まだ戦も始まっていないのに、もう停戦しようと言うのか?」

「第三国であります。帝国を仲介に停戦すれば、多くの命を犠牲にすることはないかと思いまして」


「一応、聞いておくが反乱軍の条件はなんだ?」

「反乱軍? 農民解放軍の条件は、アルマサン城塞都市の引き渡しのみです。兵の武装解除は求めません。そのまま王都にでもお戻り頂きたい。」


 ジークベルトの話を聞いたカールハインツ公爵は

「あーはっはははー! 面白い事を言うな、この状況でここの引き渡しを要求するとは、反乱軍は頭がおかしいのか?」

 テイス将軍も続けて

「ジークベルト殿ほどの軍師であれば解ると思うが、この城塞都市は数万の兵士で落ちる城ではないぞ」


 ジークベルトは表情を変えることなく

「戦はやってみないと解りませんよ。」


「そうだな、交渉決裂じゃ、打ち首などせんから戻って良いぞ」

 カールハインツ公爵がハエでも追い払うように手をひらひらと振ってあっちへ行け、と仕草で示した。


 すると、ジークベルトは

「この先状況が変わった時に、ご相談にも乗れると思いますので、牢屋でも構いませんので、ここに置いては貰えませんか?」


 テイス将軍はジークベルトの意外な申し入れに

「我々は構わんが、お主のような優秀な軍師を拘束するような真似をしたら、反乱軍も黙っていないのでは?」


「最初から、交渉がまとまるまで戻らないと言って、参りましたので何も問題はございません。」


「そうか、自由に動き回ることは許さんが、牢屋になど入れん。空いている貴族屋敷に警備を付けるから、そこで待っておれ」


「テイス将軍、お心遣いいただきありがとうございます。」




      農民解放軍援軍(行軍中)



       帝国騎兵隊

  農民解放軍

陣地

  丘丘丘丘丘


農地農地農地農地農地

農地農地農地農地農地


出城  出城


山 城塞都市

山山山山   出城

山山山山山山山

山山山山山山山

山山山山山山山

森森森森森森森森森森 森森森森森森森森森森森森

森森森森森森森森森森 森森森森森森森森森森森森

森森森森森森森森森森 森森森森森森森森森森森森

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森森森森森森森森森森 森森森森森森 廃城 森森

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