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067  女の子は甘いお菓子と可愛いものが大好きです



建物の構造が解らない店の中で襲われた場合、出入り口を押さえられてしまうと脱出できない危険があるから、店内で食事を摂ることは無理だけど、屋台で食べ物を購入するのは問題ない…という説明を聞いて、わたしは喜んでジュリアさんの誘いに乗った。


さっきとは違う道を歩き、美味しそうなデザートを探す。

この通りはお菓子の屋台が集まっている場所らしく、道の両側から甘い匂いが漂ってくる。

店先で売られている商品を確認しながら、ジュリアさんと二人でゆっくりと歩く。

ベビーカステラみたいな丸いお菓子と、クレープのようにくるくる巻かれているお菓子が気になって足を止めた。


「――ユーナちゃん、食べたいもの決まった?」


「ええと…このお店のと、あちらのお店のお菓子が美味しそうだと思ったんですけど、まだどちらにするか決められなくて」


うーん、どっちにどうしよう。

見た感じ、クレープみたいな方は、うちの世界のと味と中身が同じかも?

ベビーカステラっぽいのは、似てるのは外側だけで、中身や生地の味が違うかもしれないし…。


二つのお店を交互に見て悩んでいると、背後から忍び笑いが聞こえてきた。

振り返って見ると、ジュリアさんが口元に手を当てて笑っている。


「…笑ったりして、ごめんなさい。

ユーナちゃんがすごく真剣な顔で悩んでいるのを見ていたら、ちいさな頃のヴァルフラムを思い出しちゃって。

あの子もね、こういった場所でよく迷っていたから」


「ヴァルフラムさんも?」


「ええ、そうよ。

あの子の場合は、どれもこれも全部食べたいっていう悩みだったみたいだけど。

兄さんが『何でも好きな物を買ってやる』って言って、よく甘やかしていたから…」


兄弟の思い出を語るジュリアさんの表情はとても穏やかだった。

そんな彼女を見て、わたしも昔の記憶を思い出す。


「…わたしも、同じです」


「?」


「わたしもこういう屋台がたくさん出店するお祭りで、『何でも好きな物を選んでいいよ』って、言われてました。

今のジュリアさんみたいな優しい表情で…」


「それは、お兄さんに?」


「いいえ。

近所に住んでいたお姉さんが、わたしと兄のことを気にかけてくれて…よく一緒に遊んでもらっていたんです。

わたしがいろんなものを少しづつ食べたいって言ったら、それじゃあ一人前を三人で分けて食べようね…と言ってくれて」


当時のことを懐かしく思い出しながら答えると、ジュリアさんはポンッと手を叩いて言った。


「あ、それいいわね!

じゃあ、あたしたちもそうしましょう。

両方買って、二人で半分こして食べるの」


ジュリアさんはそう言うと、わたしが気になっていたお菓子を一個づつ購入し、蓋とストロー付きの飲み物も買ってくれた。

わたしは御礼を言って受取り、両手がふさがっていると転んだときに危ないから、飲み物は手提げ袋に入れて(ひじ)にかけた。

二種類のお菓子を交代で食べながらゆっくりと市場を歩く。


クレープみたいな方は扇形ではなく縦長に巻かれていて、中に生クリームといろんな果物が入っている。

ベピーカステラっぽいのは、カステラよりも生地が柔らかくて、真ん中にカスタードクリームや色々な味のジャムが入っていた。


どちらも甘さ控えめで美味しい…という感想を、ジュリアさんに伝える。

こちらの世界(セーレン・ティーア)では砂糖は寒冷地と熱帯で育つ植物から作られていて、どちらも輸送コストがとても高くなってしまうらしい。

お菓子を手頃な価格で売るために、砂糖の使用量を少な目にしているのだろう…という話だった。


この国(ルスキニア)では、カエデの樹液から作るメープルシロップが特産品だという話も聞いた。

砂糖を使わず、メープルシロップだけで作るシフォンケーキの話をしたら、是非作って欲しいと頼まれた。


どこの世界でも、女の子はお菓子好きなんだなぁ…。

甘いものは心を癒してくれるよね。(うんうん)


お菓子の屋台の通りを抜けると、アクセサリーや小物類を並べている露天の通りに出た。

半貴石の指輪とペンダント、小さな木彫りの置物やガラス細工。


足を止めて商品をよく見ている人たちは、ひと目で外国の人だと解る民族衣装を着ている人が多かった。

褐色の肌や象牙色の肌を持つ人たちを横目で見ながら通り過ぎる。


エルフ耳や獣耳や尻尾を探してみたけれど、やっぱりそんな人はいなかった。

ドワーフやケット・シー、リザードマンっぽい人も見当たらない。


まだちょっと期待していたんだけど、やっぱりこの世界には人間しかいないみたいだ。

内心酷くガッカリしていると、隣を歩くジュリアさんの弾んだ声で我に返った。


「――あ、見て見てユーナちゃん。

あのドレス…貴女にすごくよく似合いそう。

ああゆうの嫌いじゃなかったら、試着してみない?」


ふと気がつけば、わたしたちは洋品店が立ち並ぶ通りに居た。


ジュリアさんが指さしているのは、薄いピンク色のドレスだった。

一見、とてもシンプルなデザインのドレスだけど、ショーウィンドウに近寄ってよく見ると、細かい刺繍(ししゅう)が入った豪奢(ごうしゃ)なレースがふんだんに使われていた。


胸元は控えめなV字形で、その形にそって肩から胸元へ流れるように続くレースの(はし)には、ちいさな真珠と水晶が縫いとめられている。

決して派手ではないけれど控えめな華やかさがあって、とても可愛いドレスだった。


「わたしもすごく素敵なドレスだと思いますけど、お店の中で試着すると…わたしが男装しているってことがバレますよね?

それはマズイんじゃないでしょうか?」


「あぁ…そうね、そうだったわね」


しょぼんと項垂れたジュリアさんの手から、空になっていたお菓子の包み紙を抜き取り、代わりに飲み物の容器を差し出す。


「試着はできなくても、可愛いものを見てるだけで楽しいです」


「…本当に?」


「はい。

自分の世界でも、こうやって洋服を見て歩くことなんてほとんど無いので…」


わたしの洋服はアルバイト先からモデルのバイト料として頂いたものばかりだし、他のものはお母さんが買ってきてくれている。

学校のお友達はみんな真正のお嬢様ばかりなので、買い物は自分が出かけて行くことではなくて、百貨店等の外商の人たちに商品を持って来てもらい、その中で気に入ったものがあれば買う。

それが彼女たちの普通(・・)だった。

既製品は一切買わず、全てオーダーメイドかセミオーダーメイドだという子もいるし。

洋服だけでなく、友達と『一緒にお買いもの』する機会なんて、滅多に無い。


嘘じゃないよ、という気持ちを込めながらジュリアさんに笑いかけた。


「こんな風に自由きままに買いたいものを探して歩くのって、楽しいですね」


「ユーナちゃんはお買いものとか、自分ではあまり行かないの?」


「はい。

平日の学校帰りに寄り道することは校則で禁じられていますし、休日に一人で出かけようとすると兄が一緒に行くと言い出すので…」


それが非常に鬱陶(うっとお)しい、という台詞は口に出さずに胸の中にそっと仕舞う。

わたしが言葉にしなくても、ジュリアさんは事情を察してくれた。


「…確かに、あのお兄さんと一緒に外出すると、いろいろと大変でしょうね」


「ええ、まぁ、そうですね」


疲れた声で相槌を打つわたしに、今度はジュリアさんが飲み物を勧めてくれた。

無糖のサッパリしたお茶を飲んでいるうちに、ふと思い出した。


「――そういえばレイフォンさんが、王城では『魔導士見習いであることを示すフード付きのマント』を着るように…って言ってたんですが、そのマントってこの辺りのお店で買えますか?」


今まではおじいちゃんの『透明マント』を着て出歩いていたから必要なかったけど、女王陛下から借りた『眼鏡』とわたしの匂いを隠す『香水』が手に入ったから、これからは姿を消さずに歩き回ることが多くなるだろう。

その時にはフード付きのマントが必要となる…と考えての質問だったのだけど、ジュリアさんから即座に却下された。


「それは駄目よ、ユーナちゃん。

そんなものを着たら、逆効果だわ」


「…そうなんですか?」


「そうよ、絶対そう。

何を考えているのかしら、あの馬鹿眼鏡は。

自分が魔導士だから…当たり前の事になってしまっているから、気がつかないのかしらね」


その苛立たしげな口調には、ほんの少しだけ悲しみが混じっているような感じがした。

わたしが黙って説明を待っていることに気がついた彼女は、苦笑いをしながら教えてくれた。


「あのね、魔導士になれる人って、滅多にいないの。

世界全体の人口から計算すると、魔導士になれる素質のある人間は、一万人に一人だと云われているわ。

魔術士でさえ、百人に一人の割合でしか生まれない。

そんな稀少な才能を持った人間なのだと喧伝(けんでん)するような衣服を身に着けるなんて、とんでもない。

注目の的になってしまうわ」


「…。」


例えて言うなら、パンダの着ぐるみを着て城内を歩き回ってる…みたいな感じなのかな?

わたしが首を傾げていると、ジュリアさんは小さな唸り声を上げた。


「うぅん……でも確かに王城内では、所属がはっきりしている服のほうがいいのよね。

侍女や侍従の服を着ていれば目立だないけど、用事をいいつけられたりすると面倒な事になるだろうし」


「そうですね」


事情を知らない人から仕事をするよう命じられた場合、その場をうまく逃れることに苦労しそう。


二人で思い悩んでいると、軽やかなドアチャイムの音が鳴った。


「――あのぅ…お客様?

もしよろしければ、店内で商品をご覧になりませんか?」




声をかけてきてくれたのは、ショーウィンドウに飾られている可愛いドレスを作ったお針子さんだった。

自分の作ったドレスの前で長時間思い悩んでいるわたしたちを見て、気になって仕方がなかったのだとか。


お店の中に迎え入れられたわたしとジュリアさんは、それを聞いてすぐに謝った。


「ごめんなさい、お店の前で…」


「営業の邪魔になっていたわよね、あたしたち」


「いえいえ、そんなにお気になさらないで下さい。

私の作ったドレスに目を留めて頂けて、すごく嬉しかったんですよ。

店長には、もっと派手じゃないと目立たないんじゃないか…って言われていたので、余計に」


お針子さんがにっこりと笑ってくれたので、ほっと胸を撫で下ろす。

ジュリアさんはそんな私を見ながら彼女に尋ねた。


「この男の子の双子の妹さんに、貴女の作ったドレスが似合うんじゃないか…って話をしていたの。

内緒のお誕生日プレゼントにしたいから、本人は連れてこれなかったのだけど、鏡の前で彼女の代わりにこの子にドレスを当ててみてもいいかしら?」


「ええ、もちろんですわ。

お待ち下さいね、今すぐにディスプレー用のトルソーから外してきます」


わたしが驚いている間にも二人の話はどんどん進んでゆく。


「お客様、そのお嬢様にお贈りするのはドレスだけですか?

当店には他の小物等も取り揃えておりますが」


「まぁ、商売上手ね。

そのドレスにあう靴や髪飾りはあるかしら?」


「はい、ございます。

腕の良い靴屋さんと宝飾職人さんと私、三人でデザインしたもので…」


お針子さんはトルソーから外したドレスをガラスのテーブルの上に置き、お店の奥のカウンターの棚から何やら取り出してジュリアさんに見せている。

わたしは熱心に話し込んでいる二人を邪魔しないように、店内にそっと視線を巡らせた。


外の通りにいたときは解らなかったけれど、中へ入ってみると驚くほど奥行きがある。

通りに面した明るい場所には華やかなドレスが飾られていて、奥に行くほど飾りの少ない普段着っぽい服が展示されていた。


一番奥の棚には手つかずの布地が綺麗に折りたたまれて並べられている。

あれはきっと、布地からオーダーメイドで作る人のためのものだろう。


二人の話し合いが長引いていたので、わたしはひとりで店内を見て回った。

綺麗なドレスは見るだけにして、奥のほうの服は手に取って眺める。


手触りから布地の素材を推測したり、こちらの世界の洋服のデザインをチェックしているうちに、お店の隅に並べられている同デザインの袖のない外衣(ケープ)に目が留まった。

色は白、紺、緑、臙脂(えんじ)の四色で、各色にサイズ違いのものもある。


これだけ取り揃えられているということは、よく売れている商品なのかな?


わたしは緑色のケープをハンガーから外し、試着室の鏡の前で羽織ってみた。

首元を覆う詰襟(つめえり)の端に施された金糸の刺繍以外は、とてもシンプルなデザインだった。


「――あら、お坊ちゃまは『学院』にご入学されるのですか?

そのお色は魔術士の制服になりますが…」


お針子さんの問いかけに驚いて振り返ると、ジュリアさんがわたしを見て満面の笑みを浮かべた。


「いいわね、すごく良く似合う。

それを着ていると、貴方も立派な学生に見える(・・・・・・)わね。

あの子が今着ているケープも一緒に買わせて頂くわ。

……でもどうして、王立学院の制服が、免税市場(ここ)で売っているの?」


「同盟諸国から入学試験を受けに来た方々が、帰国の際にお買い求めになることが多いので、城下町の本店だけでなく、支店のこちらにも置いているんです」


「ああ…王立学院は二期制だから、試験に合格してもすぐに学期が始まらない場合、いったん帰国して再入国するのね」


ジュリアさんはお針子さんの説明に頷きながら、わたしを手招きした。


「…?」


二人のいる場所まで戻ると、ガラスのテーブルの上には沢山のアクセサリーが並べられていた。

その横に積み上げられている箱の中には靴が入っている。


「このドレスに似合う装身具を彼女と選んでみたんだけど、貴方の意見はどうかしら?

妹さんの好みを一番よく知ってるのは貴方だしね」


わたしはジュリアさんの言い回しに感心しながら、ドレスと同系色の髪飾りをひとつ選んだ。


「あら、それひとつだけでいいの?」


「はい、わ…じゃなくて、うちの妹は、あまり着飾ることに慣れていないので」


ネックレスとイヤリングは既に装着してるしね、と心の中でつけ加える。


「んー、でも、それひとつだと…ドレスもシンプルなデザインだし、ちょっと淋しい気がするわ」


「それでしたら、この髪飾りにドレスと同じ真珠と水晶を縫い留めてみてはいかがでしょう?

ドレスのウエストのリボンと同じものを髪の毛に編み込んで結い、手を加えたこの髪飾りを着ければ、華やかさが増すと思いますわ」


「それ、いい案ね。

…でも、そんなことまでお願いしちゃっていいの?」


「ええ、構いません。

寧ろこちらからお願いしたいくらいですわ。

このドレスはデザインから縫製まで私が初めて一人で作ったものなので、思い入れがあるんです。

…あ、そうそう、お坊ちゃま、ちょっと失礼しますね」


お針子さんはわたしの身体にドレスをあて、ジュリアさんによく見えるよう背後へと回る。


「ああ、やっぱり、よくお似合いですわ。

こんな可愛らしい方の双子の妹さんに着ていただけるなんて、本当に嬉しいです」


「うふふ、そうでしょ、そうでしょ?

ショーウィンドウのドレスをひと目見たときから、もう絶対似合うと思ったのよ」


男の子はドレスが似合うって言われても嬉しくないよね?

わたしは興味が無さそうなフリをして、盛り上がる二人を余所(よそ)に靴が入った箱に手を伸ばした。


こちらの世界での靴のサイズは昨日確認済みだったから、デザインだけを見て選ぶことができる。

ヒールが低めでつま先が丸いオブリークトゥのパンプスに決めた。


このドレスと靴なら、自分の世界でも違和感なく使えると思う。

社交ダンスの発表会や、友達の誕生日パーティに招かれた時にでも着て行こう。


学院の制服であるケープは着たまま、ドレスとリボンと靴は自分の手で持ち帰ることにする。

飾りを付け加える髪飾りは、出来上がり次第ジュリアさんのお家へ届けてもらえることになった。


全ての商品の合計金額を計算してもらい、女王陛下に頂いたお小遣いからお支払した。

金貨十枚ってことは、十万円…。

そんな大金を自分の手で支払ったことなんて今まで無かったから、緊張して手に汗をかいてしまった。


お店のおトイレを借りて用を足し、手も綺麗に洗ってから戻ると、お針子さんはまだ商品のラッピング中で、ジュリアさんはガラスのテーブルの中に陳列されているアクセサリー類を見ていた。


「――あら、髪の毛が少し乱れているわね。

髪紐が緩んだんじゃなくて?」


ジュリアさんの指摘を受けて手を髪に当ててみたけれど、鏡がないのでよく解らない。

トイレに戻ろうとしたわたしに、お針子さんが声をかけた。


「それなら試着室の鏡を使って下さい。

今は他のお客様もいませんし、ご遠慮なくどうぞ」


わたしは彼女に御礼を言って、試着室の中に入った。

一応カーテンを閉めてから鏡を覗き込むと、確かに耳元の髪の毛が少し(ほつ)れていた。


ヘアピンを一度外してから、もう一度付け直してみる。

うん、これなら最初から結び直さなくても大丈夫そう。


ダークブラウンの髪の毛と緑色の瞳をしたわたしが、鏡の中からこちらを観返している。

魔術士のケープの色は瞳と同系色だし、髪の毛の色ともよく似合っていた。


わたしはくるりと一回転し、前後左右の服装をチェックしてから、カーテンを開けようと手を伸ばす。

その瞬間、ぞくっと全身に寒気が走った。


「…?」


手を止めて意識を研ぎ澄ますと、精霊さんたちの声が聞こえてきた。


[ 姫様、ご無礼をお許しください。

危急の用件をお伝えしたく、姫様の身体の周囲に冷気を生み出しました ]


[ 姫さま、大変、大変っ。

早くどこかに隠れないと… ]


[ そんなこと言ったって、もう遅いよ。

今からじゃ間に合わない ]


慌てふためく精霊さんたちの台詞にわたしは首を傾げた。


「みんな落ち着いて。

一体、何が…」


精霊さんたちに小さな声で問いかけようとした時、ドアベルの音が高らかに鳴り響き、次いで緊迫した男の人の声が聞こえてきた。


「突然申し訳ないが、この店の中を改めさせてもらいたい」


……。


この無駄に色気のある美声は、うちの兄の声にとても良く似ている気がする。


でも、優人がこんなところに居るわけがない。

今日は朝早くからエリオットと一緒に治療士選抜試験に参加していて、数日は王都に戻ってこない筈だし。


声が似ているだけの別人だよね。

世界には似た顔の人が三人いるって言うけど、似た声の人も三人いるのかな?


わたしはそんなことを考えつつ、カーテンの隙間から声の主を探した。

その人を見た直後、精霊さんたちの警告の内容を瞬時に理解した。



――突然お店の中に入ってきた美声の主は、何度見直してもうちの兄でした。




近所に住んでいたお姉さん=藤本愛 (ぷらす9話に登場)


白=治療士

紺=官僚候補生(文官)

緑=魔術士

深緑=魔導士

臙脂=士官候補生(武官)


■2013.08.23 地の文章を追加

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