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Judgment Spirit  作者: 逆旗 戟人
3/4

同志結集

「さぁ、今日も一日タワー建設のために命を削って働け奴隷共!」

奴隷達の1日は監視官のこの一言から始まる。

ディオンは昨日リディに言われたことを思い出していた・・・。






「革命を起こさないか?」

そう言ったリディの一言に最初ディオンは反応できなかった。

「・・・は?」

「だから、この地獄から脱走しないか?と言っているんだ。」

ディオンはこの時初めてリディが言わんとしている事を理解した。

「でもそんなの無理じゃないの?この作業現場は沢山の兵隊に監視されているし、なによりも僕達はこの腕輪のせいで精霊を扱えないんだから。」

そう、これが今まで奴隷達の間で反乱が一度も起こらなかった、または成功しなかった理由である。

「この腕輪は確かに俺達の精霊を封印している。が、弱点が存在するんだ。」

この腕輪は人間が生まれつき魂に住まわせている精霊が能力を使う、つまりはヒトが魔法を使うときに精霊がこの世界に顕現しようとするのを阻害して封印する効果がある・・・らしい。

「でも弱点って?」

「この腕輪は神が人間に精霊を与える、つまり【神のヒトに精霊を使用させる】という意思に逆らっているから神々の力が最も強くなる満月の夜から次の日の太陽が完全に昇るまで効果がほぼ無効化されるらしい。」

「えっ!?」

そんな弱点今までまったく知らなかった。

だがしかしそうなると疑問が残る。

「じゃあなんで今まで僕達の腕輪は無効化されなかったの?今までだって満月の次の日が晴れの時だってあったのに。」

「それはおそらく月か太陽の光を浴びていないからだろうな、神々の力は光に宿ると言うしな。」

「ふーん・・・。」

そういうものなのだろうか。

「すでに全区画の協力は得てある、だがお前はどうする?計画の実行は次の満月、つまり明後日だ、参加するのか?」

区画と言うのはこの作業現場の居住スペースの分け方である。全部で北区、東区、南区、西区の4つがあり、ディオン達がいるのは北区である。

「そりゃあもちろん、この地獄から抜け出せるならなんだってするさ。」

そう答えるとリディは目に見えて喜び、

「そうか!そうかそうか!よし!そうと決まれば明後日に備えてコンディションを整えないとな!」

そう言ってさっさと眠ってしまった。

「・・・そんなに嬉しかったのかな?」

そう思いつつもディオンも眠りについた。

この地獄から抜け出せるかもしれない、そんな希望を抱きながら・・・。







そして翌日、

「とりあえずは僕も体調を整えておかないと・・・。」

そうつぶやきながらディオンがタワーの外装プレートを運んでいると後ろから肩を叩かれた。

「?」

後ろを振り向くと恰幅のいい男-格好からしておそらくは奴隷-が立っていた。

(なんだろう、何か違和感が・・・)「何か御用ですか?」

「少し聞きたいのだが君はリディ殿と同じ北区の人かい?」

「ええ、そうですが・・・。」

そう答えると男はやっと見つけた!という顔をして

「そうか!自己紹介がまだだったな、私はグリューと言う。すまないがリディ殿に伝言を頼みたいんだ。【鍵はリヴァンが持っている、奴は実行当日は酒盛りをしに西区の監査支部に来る。計画は宵の刻が妥当】こう伝えてくれないか?」

「!分かりました。必ず伝えます。」

伝言の真意に気づいたディオンは真剣な表情で答えた。

「頼んだぞ。そういえば君、名前は?」

「あぁ、そういえばまだでしたね。僕はディオンと言います。」

「ディオンか、良い名だ。ではディオン君、よろしくたのむ。」

「おい貴様ら、何をさぼっている。物言わぬ屍にされたいのか!」

自分達が動いていないことに気づいた監視官がこちらへと近づいてきた。

「すいません。すぐに作業に戻ります。」

そう言うとグリューはそそくさと自分の持ち場へと戻っていった。

「貴様もさっさと働け!」

「あ・・・はい!」

ディオンはリーダーと言うのはリディといいグリューといいああいう人たちがリーダーになるのだなと思いながら作業へと戻っていった。

(・・・でもさっきのグリューさんに感じた違和感はなんだったんだろう・・・?)








「伝言感謝するぞディオン、しかし鍵はリヴァンか・・・厳しい戦いになりそうだ。」

ディオンがグリューから受けた伝言を伝えるとリディは伝言の中に出てきたリヴァンと言う男にあからさまに顔をしかめていた。

それもそのはずリヴァンは奴隷達の間でも有名な男で奴隷を完全に道具として扱う非道さもさることながら、彼自身がかなりの高位の精霊を宿しているためにかなりの魔法の使い手として、数多の奴隷達を葬り去っていることでも有名であった。

「だがいかに高位の精霊を宿しているとはいえ、大人数で攻撃すればリヴァンでも防ぐことは出来まい。」

「じゃあ。」

「ああ、計画の決行は明日で決定だ。みんな!明日の夜に備えて体力を温存しておいてくれ。」

そうリディが言うと穴倉のところどころから了解の返事が聞こえてきた。

「いよいよだね、リディ。」

「ああ、明日俺達は自由を勝ち取るぞ!」

そういうと2人は眠りに落ちた。





ディオンがグリューに感じた違和感、それが後にディオンやリディを窮地に追いやるとも知らずに・・・。

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