真実の愛?…………同感ですわ!
今日は帝国内でも指折りの伝統ある魔法学園の卒業パーティーが開催されようとしていた。
パーティー会場では、ある3人の生徒達の話題で持ちきりであった。
1週間前の卒業式に、あるスキャンダラスな出来事があった。
♢
3年F組のフリンチ・ダリラン伯爵子息と、3年A組のソフィア・リランド伯爵令嬢。
2人は婚約者であった。
フリンチとソフィアの父親同士が友人だ。フリンチの父が事業に失敗し多額の借金をした。その借金の肩代わりをソフィアの父がし、それと同時に子供同士を婚約させたようだった。
子供同士は面識がなく政略結婚のようなものだった。
フリンチの容姿は、それなりに整っており良くいえば明るくノリが良い性格。悪く言えばお調子者で、その場のノリで考えなしに行動する性格である。
対してソフィアは……。学年首席で大変優秀な生徒である。
才能があり、また努力もするので様々なコンクールで賞を受賞していた。
だが、そんなソフィアの容姿は見る者によって大分と印象が違うようであった。
ある者はとてつもない美貌の持ち主と言い、ある者は大したことなくボヤッとした容姿だという。
♢
さて、卒業式後のスキャンダラスな出来事とは……。
婚約破棄であった。
大勢の者がいる場で、それはもう皆が振り返るほど大声でされたのであった。
水色の髪の毛のフリンチの隣には、ピンク色のフワフワの髪の毛のメイナがいた。表情がくるくる変わる少しワガママそうな女子が隣にいたのであった。
「ソフィア!悪いが、君とは結婚出来なくなったんだ!婚約破棄をさせて貰う!」
そう大声で突然言われた目の前のソフィアは、余程驚いたのか、眼鏡の奥のエメラルドグリーンの目を大きく見開いた。
隣のメイナは、フリンチに一層すり寄り、勝ち誇った顔でソフィアを見たのであった。
……無理もない学年で最下位クラスの2人が、エリートのA組のソフィアに勉学以外とはいえ優位な立場に立ったと思っているのだから、それはもう隠しもせず勝ち誇った顔をするのであった。
「ソフィア。君は確かに優秀だよ。勉強に関してはね!しかし、人生で一番大事な結婚相手となると話しは別なのさっ。」
悪びれもなくフリンチがそう言うと、メイナは意地悪そうにクスクスと笑う。
「そう!やはり結婚相手はメイナみたいに可愛らしくて愛嬌のある人じゃないとね!」
これ見よがしに2人は見つめあい、今にもキスをしそうな勢いであった。
「メイナのお陰で『真実の愛』を見つけたのだよ。」
2人は熱い視線のまま……あろう事か、ソフィアの前で。
そして、公衆の面前で熱くキスをしたのだ。
その様子をそソフィアはじっと見つめていたが、その内、口を開き涼やかな声で話し出した。
「わかりました。婚約破棄の件、承りました。
それで、ひとつ確認させて頂いてもよろしいですか?」
フリンチは頷いた。
「借金の件も、大丈夫という事ですね。」
ちらりと、メイナを見た。
メイナは子爵家ではあるが、大きな商会を経営しており大変裕福であった。
メイナがフリンチの腕にしがみつき豊満な胸を押し付けた。
フリンチは頷く。「メイナのお父上が事情を聞いてくれて、お金はリランド伯爵に全て返済するという話しになったのだよ。」
フリンチはありがとうと言い、またメイナとヒシと抱き合うのであった。
なる程……お金の件は解決しそうで、大人同士での話しもつきそうだ。
ソフィアは頷いた。
そして、まるで憑き物が落ちたかのような表情になったのであった。
軽やかな明るい笑みを浮かべ、丁寧にお辞儀をしその場を去ったのであった。
その美しい所作には、今までソフィアの容姿に良い印象がなかった者まで、見惚れるほど美しく完璧なものであった。
♢♢
そして…………。
卒業パーティーが、もう間もなく開催されようとしていた。
渦中の中の内の2人は既に来ており、イチャイチャしているのであった。
メイナはピンク色の豪華なドレスに身を包み真実の愛で結ばれた婚約者に寄り添い満足気な表情だ。
♢
その近くでソフィアの親友で、同じ3年A組のマルティナが他の友人達との傍らで、フリンチとメイナを見てほくそ笑んでいた。
♢
突然、会場がザワザワとざわめき出した。
無理もなかった。会場には今をときめく若き王族専属騎士団長のシンバ・サロモンド伯爵子息が登場したのである。
この学園を大変優秀な成績で卒業し、その後騎士団に入団。
数々の功績を立てて、歴代騎士団長の中でもっとも若く就任した。
最近も手柄を立て、王都近くの領土を王から賜ったようだ。
剣の腕前、戦術等はもちろん素晴らしい物であるが最も特筆すべきは…………顔が良いのだ。
そう!顔が大変よろしいのだ。
金色の長い髪に、金色の美しい瞳。騎士の割に細身であるが、しっかりと鍛え上げられた引き締まった身体。
帝国中の女性たちが色めき立つ注目の人であった。
そのシンバが卒業パーティーに来た為、会場はざわめいたのであった。
シンバが会場に入ってきた。
麗しいシンバの長い髪はエメラルドグリーンのリボンで1つに束ねられていた。
どうやら誰かのエスコートで一緒に来たようだ。
相手の女性は…………!!
ソフィアであった。
ゴールドシャンパンのドレスに身を包み、綺麗な金髪をアップスタイルにしたエメラルドグリーンの瞳が美しいソフィアであった。
2人のその姿は、絵画を切り取ったかのようで大変美しかった。
フリンチとメイナは唖然とした表情だ。
フリンチもメイナも2人のあまりの美しさ、仲の良さそうな雰囲気にに打ちひしがれたようだ。
親友でクラスメイトのマルティナは、涙ぐんでいた。
そしてこう呟く。
「良かった、本当に良かった。苦難を乗り越えてやっと真実の愛で結ばれたのね。」
いつも美しいソフィアであったが、今日は眼鏡を掛けてないからか、余計に美しかった。
♢
ソフィアが掛けていた眼鏡は母から、もらった認識阻害の眼鏡である。
ソフィアに対して少しでも悪い感情、陥れよう、利用しようなどと、考えている者からはソフィアがボヤッと認識できないようになっていた。
だから、ソフィアの容姿についての意見は様々だったのだ。
フリンチとの婚約が決まった時、ソフィアは大層落ち込んでいた。
だって、、ずっと好きだった、愛しあっていたのだシンバと……。
シンバとは幼馴染みであった。
小さな頃からお互い惹かれ合い、そして、やがて愛し合ったのだが……タイミングが悪かった。
シンバはまだ騎士団に入団したはかりでこれからという時であった。
…………そんなタイミングでフリンチとの婚約が決まってしまったのであった。
父同士の友情という絆で、娘が苦しめられたのである。
ソフィアの母は、夫の性格を知っている為、その場では婚約に対して反対しなかった。
が、こっそりソフィアに助け船として認識阻害の眼鏡を渡したのであった。
案の定、深く物事を考えない婚約者のフリンチはクラスメイトと浮気をし婚約破棄をした。
それも、勝手に浮気相手の父親に、ソフィアの父が肩代わりした借金を返すという事までやってしまったのだ。
完全にソフィアの父への裏切り行為である。
いくら友人の息子だとしても到底許すことは出来ない。
父はフリンチに対して激怒した。
勿論フリンチとソフィアの婚約は破棄となったのだ。
♢
──無事、真実の愛で結ばれた美しい2人は、寄り添いとても幸せそうであった。──
────終わり────
お読み頂きありがとうございます。
私の思うような真実の愛の物語を、短編でサクッと3000文字位で表現したのですが、ハハハ難しかったです。
独自の世界観を出していくのが難しかったー。
少しでも気に入って頂けましたら、ブックマーク、評価、レビューや感想等頂きましたら…………
喜びます!
ありがとうございました!
本日5月2日、朝の7時にもう1本新作投稿してます。よろしければそちらもとうぞ。↓
政略結婚で産まれた誰にも愛されない子と義母と異母妹にいじめ抜かれていましたが、政略結婚で麗しい盲目公爵様に嫁いだら、激甘に甘やかされてしまいました。
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