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黄昏の剣姫  作者: だい
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辺境の村に生まれた少女②

 夕暮れ。

 村に戻ると、子どもたちが井戸の周りで遊んでいた。

 リディアは微笑みながらその中を歩く。

 村人たちの視線が集まる――「剣のリディア」だ。


 だが、どこかでささやく声もある。

 「女のくせに剣ばかり」

 「結婚相手もいないのに、あれじゃあねえ」


 リディアは聞こえないふりをした。

 慣れている。けれど、心の奥で小さな痛みが残った。


 「努力しても、誰も見てくれないのかな……」


 彼女は空を見上げる。

 夕陽が沈み、空が群青に染まっていく。

 その光の中で、一番星が瞬いた。


 「父さん、私、まだ間違ってないよね?」


 返事はない。

 ただ、風が優しく頬を撫でて通り過ぎていった。


 その夜、村の宴が開かれた。

 春の収穫を祝う祭りだ。

 村人たちは焚き火を囲み、歌い、踊り、笑っている。


 リディアもミラに連れられて参加したが、

 心のどこかが落ち着かない。


 「せっかくの祭りなんだから、楽しみなさいよ」

 「うん……でも、私、ああいうの苦手」


 ミラがいたずらっぽく微笑んだ。

 「じゃあ、踊らなくていいから、何か食べましょう。ほら、焼きリンゴ!」

 「わ、甘い!」

 「でしょ?」


 そんな他愛ない時間が続いた。

 ――それが、あの夜の平穏を最後にすることを、誰も知らなかった。

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