地獄との再会
それから数分だ。
私たちは空国へと到着した。
「にしても腐ってる国だな。」
と、唐突にディスるひとりぼっちさん。
でも本当に腐っていた。
ん?腐ってるは失礼かもしれない。
しかし空気の悪い国だ。
家はボロボロで、焦げ臭くて……。
焦げ臭いというのも、色々な場所が焦げ臭いのだ。
「ひとりぼっちさんは、マスクを付けているから、あまり匂わないのでは?」
そう聞いたのはシフェアルだ。
言われるとひとりぼっちさんは、マスクとイアホンを常に装着している。
イアホンは何にも繋がっておらず、何故つけているのか不明だ。
「うん、まぁそこまで匂わない。」
私も聞いた。
「あの…。なぜ常にイアホンとマスクを?」
「あ、うん。まぁ。虫が嫌いな人は、耳や鼻、口から虫が入ることを嫌って、こういう対策をするんだよ。これは虫嫌いとしては常識。」
「なるほど……。」
たしかに虫は嫌いだが……。
しかしこの世界に来てから虫を見ていないな…。
そんな話をしながら私たちは歩いている。
食糧難なのだろうか?
国民は何故か痩せ細っている。
「せやせや…。イマチオンカード見せてなくないか〜?」
「あ?あの雷光のなんちゃら嘘ついとったってことか?」
「どうだろうな。まだ分からない。この先にあるかもしれないだろ!」
アースさんの言う通り、この先にあるかもしれない…。
と思ったが、もう国に入ってるんだよな。
「あの…。これってもしかして…。」
「どしたんバームートたん?」
「いや…。脳情報が悪用されたりとか…。いや、まさかそんなこと…ね……。ハハハ」
「いや、あるかもしれない。」
そう答えたのはアースさんだ。
というか、あるかもしれないとは……?
「そうですね。私としては、雷光雷歌さんのところに戻ったほうが良いかと。」
「あのガキ舐めてくれたな。私って結構怒ってたりするんですかね?」
ひとりぼっちさんは、ブチギレが得意だ。
しかし、シフェアルさんの言う通り戻るのが良さそうだ。
「私も怒ってる。と言っても、雷光のなんちゃらさんが嘘ついてたら。の話だがな。」
アースさんも怒っている。
そうして私たちは戻った。
が、もぬけの殻だった。
しかし異世界人の脳情報なんて何に使うんだ?
「あのガキ調子乗りやがって。」
「まぁそんな怒らんときぃや。おそらくやけど…。」
「あ?おそらく何?」
「脳情報を入手する理由は、記憶を売買するとかやないかなって。」
「だとして、ネットもないし…。取引が行われるなら…。真反対…?」
「せやな。私たちの行った空国と真逆の国やな。」
ひとりぼっちさんとハクリエさんの会話だ。
その会話に水を差すように私はこう言った。
「ですが……。空国の真逆に国なんてあるのでしょうか…?」
「そんなもんないで。」
「ハクリエさん…?どうしてそんなこと……が………ぁ。」
「おい待て待て待て。ハクリエが2人いないか?」
ひとりぼっちさんは、そう驚いた。
「私が2人……。せやな……。まぁその情報知ってるゆうことは、偽物はあんたやろ。」
「うちが偽物なんて。冗談よしてや。」
「いや、私、自分のこと、うちとか言いませんけど〜」
ハクリエさんの偽物が現れたのだった。
そして確信した。
これは脳情報を元に作った偽物と…。
「天才頂点アース様の司令塔が必要なようだな。命ずるとしよう。その情報を知ってるハクリエは偽物だ!」
「おし来た。即殺すか。ん?銃なくね?」
ひとりぼっちさんは、ゲームのやりすぎで、自分が常に銃を持っていると錯覚しているのだ。
「あーうち本物やで。銃上げるわ。」
そう言って偽物は銃を渡してきた。
「あの…敵…ですよね?」
私はそう聞いた。
「ええんやええんや。うちはもう長く生きたしなぁ。はよ殺しや。」
そして少し間が空いた。
「あとや…。うちとの約束。5人行動は絶対や。仲間は増やしちゃあかんで。あと、サングラス掛けたやつには気をつけてな。」
私は殺したくなかった。
だからこう言う。
「あなたは偽物でも優しいです。私たちと来ませんか?」
「そやな…。行けたら嬉しいんやがな。無理や。5人行動は絶対ゆうたやろ………。バームートちゃん。本物のハクリエのこともよろしくなぁ……。」
「は…い……。」
5人行動になんの意味が?
なぜこの人は死を選ぶ?
1人で生きてもいいはずなのに。
偽物は私たちの脳からできている。
故に、偽物ハクリエさんは、自分が偽物と理解して、暴走するかもしれないから、殺してもらおうと…。
そんな感じなのかな…。
でも私は死なせたくない…。
そう思ってたときだ。
ひとりぼっちさんが、発砲した。
偽物ハクリエさんは血を流し動かなくなった。
「わるい。だが、あいつは何か知ってる。だから、ここで死ななきゃ行けないと判断したんだろう。」
「そ…そうかもしれませんが…。私は可能なら全員を救う道に行きたいです。」
「しかし、だ。偽物が100%敵ということではなさそうだな。」
アースさんの言う通り、今回の件で優しい偽物もいると分かった。
そうして私たちは空国へと再度向かった。
偽物ハクリエさんの言葉が嘘だったら…。
してやられたってことだ。
そして国を歩いている。
「あ、お嬢さんたち〜。良ければ、うちのレストランで食べていかないかい?」
レストラン店員が話しかけてきた。
キャッチか?
しかし、この人…。目が真っ赤だ。
そして今は夜。
金はないが、腹は減っている。
「私たちは金が無い。」
アースさんがそう言った。
金があったとしても、異世界では使えないだろう。
「あっ、いいよいいよ〜。無料で好きなだけ食べてって〜!」
完全にぼったくりだ。
無料で飯が食べれるわけがない。
これはしっかり断ろう。
「あ、お金ないので大丈夫です!」
「バームートちゃん食べてかへんの〜?」
「そうだな。せっかく無料なんだし。」
「私も無料なら良いと思います。」
「いや、怪しいやろ。」
まともなのは、ひとりぼっちさんだけ…。
「いや、本当にお金はいらないからさ〜」
と、しつこく言われたので…。
来てしまった。
メニュー表がある。
普通に美味しそうだが、値段は妥当だ。
しかし無料で食べれるわけがない…。
そうして私たちは注文をした。
アースさんは、スパゲッティ
シフェアルさんは、炒飯
ハクリエさんは、オムライス
ひとりぼっちさんは、ハンバーグ
私はオムライス。
オムライス人気か!?
「注文通り、しっかりと入ってるやろ〜?」
入ってる?
たしかに美味しそうなオムライスが…。
というかスプーンが止まらない。
美味しすぎるな。
そして全員3分ほどで完食した。
そして私はまだ疑っていた…。
「えっと…本当に無料で良いのですかね…?」
「おっ、ええで〜。君たちに料理を作れることが嬉しいからなぁ。」
私たち、この世界でなにかしたっけ?
まぁ悩んでもわからないし、美味しいから結果よし!
そうして私たちは店を出て、宿を探している。
と言っても、金が無いので、野宿になるだろう。
そんなときだ。
「あの〜、君たち〜?宿に困ってないですか?」
このパターンは…。
「はい!めちゃくちゃ困ってます!」
どうせ無料になると確信しているのか、アースさんは困ったアピールをしている。
「君たちなら無料で泊めてあげるけど、どうする〜?」
「あっ、泊まります!」
アースさん!?
まぁ止まれるのはありがたいが…。
さすがに清々しいというか、申し訳ないというか…。
と、考えるのも無駄。
結局泊まっていった。
ここの女将さん?も目が真っ赤だ。
目が赤い人は異世界人にサービスしてるのか?
よくわからないな。
そうして私たちは泊まっていき、次の日だ。
私たちが全員集まって、宿を出ようとしたときだった。
ベルの音がした。
インターホンみたいなものだろう。
それに女将さんが出ていった。
「はいは〜い。」
扉の向こうには…。
ピンクい髪の美少女がいた。
が、サングラスを付けていた。
たしか偽物ハクリエさんが気をつけろと…。
しかし、ただの美少女だ。
2人は何かを話しているが…。
女将さんは困った表情だ。
そうして少し経った。
ピンク髪は去っていった。
「あの…。女将さん?どうされたのですか?」
私はそう聞いた。
「あら…。それがね、毎月10万円払わないと、殺すというのよ。まぁ冗談だとは思うのだけれどね…。」
私は本来なら冗談だよね!で終わらせる。
でもあいつは…。サングラスを…。
「みんな…。あいつ敵だと思う。」
「バームートが控えめに喋ってないだと。そんなこともあるのか。」
「アースさん。そんなこと言っている場合ではありません。」
「あぁ、行動からして、敵だ。そして偽物ハクリエが嘘を言っていないと証明できたな……。よし、追うぞ」
そうして私たちは、ピンクを追った。
もちろん本気で殺しに行く。
そうしてシフェアルさんが、ピンクに銃を向けてこう言った。
「おい、動くな。」
これは囮だ。
守護神シフェアルさんは、役割「防」だ。
故にこの役が適任だ。
まぁゲームではなく、リアルだから…。
そこだけが不安だが。
そして役割「跳」のアースさんは、飛躍して屋根に登り、役割「陰」のひとりぼっちさんは、背後に回った。
ゲームの力が引き継がれてるかのように、みんなリアルでも役割に適任だ。
「さてと、聞こうかピンク。なぜ金を取る?」
聞いたのはアースさんだ。
「我々はGS。目標は人類奴隷計画の完遂。」
「そんなあっさりと、組織名とか言うんだな。」
「そして…?これは囲ったつもりなの?」
「上、正面、背後…。これは完璧だ。」
「私は匿名 酒月。では見せしめから。」
そう言って、酒月は一瞬でシフェアルを殺した。
心臓を一刺し。これは助からない。
「全員で撃てーーーー」
アースさんの合図と共に、全員で銃撃している。
「なんだこれ。銃は結構いいやつだが。弾が当たってるようで当たってない。」
ひとりぼっちさんの言う通りだ。
当たってるように見えるが、無傷だ。
よく見ると、ギリギリで躱している。
化け物だ。
こんなの勝てるわけがない。
「銃じゃ無理だ。」
そう言って、アースさんはナイフを出し、向かっていった。
それと同時に全員撃つのを辞めた。
たしかに、近距離が強いと決まったわけじゃない。
アースさんはナイフで連撃している。
が、一発も当たっていない。
相手は全て見切っている。
ひとりぼっちさんは背後を取れている。
故に銃を構えて、撃った。
弾はなぜかアースさんに当たっていた。
ひとりぼっちさんは外していなかった。
酒月が避けたのだ。
しかしアースさんで手一杯だったはず。
私は勝てないと判断した。
さすがに、だ。
「みんな、逃げよ!」
私はそう言い、逃げた。
他の2人も逃げたが…。酒月は追ってこない。
しかしGS…。
あれはリーダーか?
さすがに強すぎる。
「どうしよ。私のせいで…。」
そう言ったのは、ひとりぼっちさんだ。
アースさんを撃ってしまったことを悔いているのだろう。
だが、仕方ない気もする。
「ひとりぼっちさん…。」
「まぁ。私のせいでごめんな。」
「あれは…。仕方ない…ですよ。」
「まぁそうかもな。そうだ。本名明かさないか?」
「いいですね!私は白黒竜火です。」
私の本名って厨二っぽいな。
「私は、静闇黒無だ。ハクリエは?」
「私は、は……。」
「は?」
「浜四季無波や。」
「そうか…。みんないい名だ。私だけ場違いじゃん。」
「そんなことないよ。ひとりぼっちさんの名前もいい名前じゃん!」
「そう言われると気が楽だ。」
疲れた…。
ということで寝ます。
今回は多く伏線などを張りました!