表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/38

拾い犬

制限時間:15分 文字数:487字

捨て犬の入った段ボール箱を抱え、俺はとぼとぼと歩いていた。

俺と、新しい家族をいつもの笑顔で迎えてくれると思っていた母親の顔は見たことのないような鬼の形相を俺に見せた。

「元の場所に戻してきなさい」

冷酷な一言は、俺に有無を言わせなかった。

「あんなの……かあちゃんじゃない」

段ボール箱と俺の腹の間に地面が見える。なんでもないようにそこにある石ころをけっ飛ばした。

熱いものが頬を撫でた、と思ったら、犬は俺の顔を舐め始めていた。

いつの間にか流れていた涙を拭うかのように。

「おまえ、いいヤツだな」

毛をくしゃっと掴んだ。犬は円らな小さな目で俺を見つめ返した。

俺はたまらなくなって、段ボール箱にすがりついた。

こいつさえいればいい、こいつさえいれば他に何もいらない……。

でも、諦めて帰るしかないのか……。


「まま、飼ってもいいでしょ?」

たぶん俺よりも小さい、無邪気な少年の声が聞こえる。

ああ、あの犬。もっと優しい家庭に貰われていくのかな。

俺は安心して丸くなった。

周りはふかふかの毛布のようなもので包まれている。

「うーん、……いいわ」

返事をした母親らしき相手は、大きくて毛深い……服を着た犬?

その隣にいて尻尾を振るのは、さっきまでの俺みたいな服装をした捨て犬で、毛布のようなものにくるまる俺は裸だった。


俺は犬一家にペットとして拾われた。

お題:俺と子犬

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ