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血の滴る女
制限時間:15分 文字数:398字
「ちょうど一日に一回くらいで固まるから、それを開けて飲むといい」
彼女は爪で膝に出来たかさぶたを捲った。血の玉が盛り上がる。
私はそれをなめとった。牙を立てずに飲む血液は相変わらず奇妙な味だ。
血を求め追い回した末、転んで怪我を追った彼女は、
「私は注射が苦手だから噛むのはやめてくれ」
と怪我をした手を差し出した。
それから彼女は、私に献血を行っている。
「かさぶたを捲るのは痛くはないのか」
そう尋ねると、
「いいんだ、これは気持ちいいから。固まる時間も待ち遠しい」
彼女は人間の中でも変人として通っているらしい。
「食用肉は血抜きが必要らしいが、君は一人の人間の血を全て吸うことは出来るか」
血を吸う前から顔色の悪い彼女が言った。
「可能だ。しかし……」
私は彼女を睨みつけて言った。
「私に肉を食べる趣味はない」
彼女は苦笑してうなずいた。
「では、ミイラ人間として過ごすとするかな」
お題:打算的な血液