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自白寿司
制限時間:15分 文字数:294字
帝王は行きつけの寿司屋の暖簾をくぐった。
「へい、何を握りましょう」
「敵国の弱みを一つ」
「分かりやした!」
寿司屋の目がハマチのようにぎらりと光った。
米粒にしては一つ一つが大きめのシャリの中に錠剤を一つ忍ばせる。
ネタは特上トロと見せかけてタンである。何のタンだかは明かされない。
「へいお待ち!」
帝王は箸で寿司を持ち上げて小皿の黒い液体に浸した。
途端、ネタが震えた。
「ひ、ひぃ……」
と声をあげるのは王ではない。王は寿司を更に浸し続ける。すると、寿司が踊り狂いだした。
「言います!全て教えますから!お命だけは!」
全てを白状した寿司は、満足げな帝王の口の中に放り込まれた。
お題:帝王の裏切り 必須要素:寿司