21/38
窓際VS新卒
制限時間:15分 文字数:436字
うちの課に配属された新人はとても有能で容姿端麗だった。
出身を聞くと、なんとT大学の出であるらしかった。
「こりゃまたすげーのがやってきたな」
と課長が褒め、お局OLも彼の顔面を見て思わず顔をほころばせる。
何で首にならないか自分でも不思議なくらいな俺も、有能クンの先輩となった以上、何か言わなくては。
「すぐに俺なんか抜いてガンガン昇進されそうだな」
冗談めかして言ったが、口の中は乾いていた。
彼はそんな俺に、オーバー過ぎるくらいのリアクションでこう答えた。
「とんでもございませんよ、先輩」
――とんでもございません?
その言葉を聞くなり、俺の中で何かがスパークした。
「『とんでもございません』だぁ? 『とんでもないことです』だろうがこの糞新人よぉ? T大のくせに国語力大したことねぇな!」
テレビの敬語ミスでよくやっている間違いだ。まさに俺は鬼の首でもとったかのように新人を責めた。
「ったく、とんでもねぇ奴だな!」
なんてことがあればいいのにな、と妄想した。
お題:とんでもない新卒