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小説「冬」

制限時間:15分 文字数:522字

涼しくなる小説、を頼んでおいて、てっきりホラーでもおすすめしてもらえるかと思ったら、「冬」というシンプルなタイトルの小説を貸してもらえた。秋から始まったその物語の舞台は、ページをめくるにつれて段々寒さが深まっていき、実際に身が震えてくるようだった。

正直面白い内容ではなかったのだが、そのつまらなさがかえってもの寂しさを覚えて心地よかった。

しかし、手がかじかんでうっかりページを飛ばしてしまった。すると一気にびゅう、びゅうと風が吹き付け、冷え込んだ。真っ白なページが幾枚もどこまでもめくれていく。既に文字は追えていない。まるで、猛吹雪の中にいるようだった。

手探りで小説の続きを探すしかない。銀世界に足を踏み入れる。

「文章やーい、物語やーい」

そんな調子で歩いていると、雪まみれの登場人物が現れた。名前は覚えていないが彼は湯気の立ったやかんを持っていた。

「雪の下に埋まっとるんだろ。これ、使んな」

「おお、これはありがたい」

やかんを受け取り、お湯を振り掛けると……、


本が水浸しになっていた。あーあ、借り物なのに。

そう思って表紙を閉じて再度開いてみると、味噌ラーメンのような香ばしさが広がった。

冬といえば味噌ラーメンかもしれない。

お題:小説の中の豪雪 必須要素:お湯

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