12/38
私の帰る場所
制限時間:15分 文字数:400字
「どこだっけぇ~」
前を歩く三奈が小さな地図をぐるぐる回し始めた。
「覚えてないの?」
私は狼狽を隠さずに尋ねた。案内は任せてって言ったじゃない!
「別にいいじゃん、迷うのも旅のうちだよ」
のほほんと答える三奈。いいよねあんたは時間がたくさんあって!
「留衣こそスマホにナビないの?」
急に振られてぎくりとするが、
「電池切れしちゃって……」
と言い訳するしかない。
「いざという時困るじゃん、それだから文明の利器に頼りすぎると駄目なんだよ~」
三奈が、昔と変わらずに私を諌める。私にとってのいざという時はもう通り過ぎてしまったけどね。
「でもさ、心霊スポット行きたいとか変わってるよね。留衣、前からオカルト好きだっけ?」
ううん。でも、これからはご厄介になるところだから。
「あ、あそこだあそこ!わーまた誰か死んだんだ、花添えてある……」
三奈は真新しい花束に近づき、私を振り返る。
「留衣……」
その顔は青ざめていた。
そう、三奈。あんたの花束もそのうち隣に供えられる。
ここで待っていれば迎えが来る。私と一緒に、帰ろうか?
お題:オチはあそこ