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第14話 春盛りあゝ始まりはドイツ軍(7)「可愛くて清楚でボンキュッボンで優しくて甘えさせてくれてちょっとエッチなメイドさんが素人男性(勇者)の家にやって来た!」


※前回までのあらすじ

[ゆうしゃ]

*「あたらしく メイドさん やとっちゃった▽


  もう キミ あした から かいしゃ こなくて いいよ▽」


[まおうのむすめ]

*「ひどい!▽

  ろうどうくみあい に うったえてやる!▽」


[ゆうしゃ]

*「ハハハハ ムダ だ!

  ろうどうくみあい は キミ の ような ひせいきしゃいん は あいて に しないぞ!▽


  おとなしく ハローワーク にでも かようのだな!▽」


[まほうつかい]

*「しゃちょー!▽

  でも せけんてい という もの も あります▽


  かのじょ に あたらしい しごと を あたえては いかがです?▽」


[ゆうしゃ]

*「ムムム…ひしょ の キミ が そこまで いうなら──▽


  ──おっと だれか きた ようだ▽」


※注釈


※登場人物紹介

*カイル・アリラハン・サッカーモンド

本作主人公。

本名、坂本 珂依。

聞き間違えられてカイルとかサッカーモンドになった。

異世界に転生し、アリラハン王国唯一の勇者として魔王を倒す。

本作は魔王を倒したその後のお話である。

アリラハンの名は王から授かった。

自称21歳だが、それは転生前の話であり、精神年齢的にはもっと歳を食っているし、現在の肉体年齢的にはもう少し若い。


*ドイツ軍

本作の真の主人公。勇者のラノベ主人公特有のチート能力に対抗出来るだけのチート主人公補正を有している。

真の主人公なので、ただの主人公である勇者如きには絶対に負けない事が世界の理によって確定している。

一時的に追いつめられる事もあるが、それは演出の都合上そう見えるだけであって、最終的には勝つので特に心配は要らない。

また、第二次世界大戦で負けたのも、それは演出の都合上そう見えるだけであって、既に勝っているので特に心配は要らない。

好きな軍隊はフランス軍。※ドイツ軍に毎回ボコられるが、何度も懲りずに挑んでくるモブキャラである事が世界の理により確定している。実はドイツ軍に片想いしている。

嫌いな軍隊はソ連軍。※ドイツ軍が真の主人公である以上、本作に於けるラスボスである事が世界の理により確定している。実はダークサイドに堕ちた父親である事が最終話で判明する。

そしてアメリカ軍。※ドイツ軍とは因縁のライバルだが、最後は協力して一緒にソ連軍を倒す事が世界の理により確定している。実は血を分けた兄。

更にイギリス軍。※ドイツ軍をいじめてくる悪の女幹部だが、根は優しい。最終決戦でドイツ軍を庇って死ぬ事が世界の理により確定している。

同盟軍はイタリア軍。※互いに気付いてはいないが実は両想い。つまり本作のメインヒロインである。しかし最後は闇堕ちしてドイツ軍と戦う事が世界の理により確定している。

そして日本軍。※大好きなドイツ軍先輩のために役立とうと頑張る後輩キャラ。ずっとドイツ軍が好きだったが、途中から敵であるはずのアメリカ軍が好きになってしまい、照れ隠しでウッカリ真珠湾を攻撃する。最後まで自分の気持ちに正直になれずにいたが、ソ連軍に無理矢理NTRされそうになったところをアメリカ軍に助けてもらい、最終的に結婚する事が世界の理により確定している。


*エイラ

カイルとともに住む魔族の少女。ていうかぶっちゃけ魔王の娘。

何やかんやあって今は勇者と一緒に住んでいる。

その“何やかんや”に関してはまたいずれ。

首輪に何か秘密があるらしい。

そして人質(?)、あるいは奴隷(?)らしい。


*リアナ・ディア

元勇者パーティーの魔法使い。

元々はボインなお姉さんだったがいつの間にか子供になっていた。

エイラからは「ロリアナちゃん」と呼ばれて小馬鹿にされているが本人はそれが気に食わないご様子。


*オリンダ

アリラハン王国第一王女。

──だが、男だ。

それを知っていて周りは敢えて「姫様」とか「姫」とか呼んでいる。

ちなみにピッチピチの16歳。


*アンティカ

アリラハン王国第二王女。ていうか事実上の第一王女。

大丈夫、普通の女の子です。

カイルとの結婚を目論む肉食系幼女らしい。



玄関開けたらメイドさん。

約束通り、3人。

彼女達は私が何か言う前に深々とお辞儀をした。


「失礼致します。本日からこちらでお世話になります、メイドのカレリアです」


「同じく、イェレナです」


「同じく、アミアです」


ははは、いやぁ、皆さんどうもオリンダのお気に入りというのは事実の様で、中々の美人揃──ん?


「遠路遥々ようこそ。私がこの家の主、カイル・アリラハン・サッカーモンドだ」


何か心に引っかかるものを感じつつ、気のせいかな、と気にしない事にした。


メイドさんは右から順に、イェレナ、カレリア、アミアという名前らしい。

中央のカレリアが最初に挨拶したところから鑑みるに、彼女が代表者的位置づけだろう。


カレリアは、この中で一番背が高く、スラッとしている。年齢は二十代前半くらいだろうか。

お胸はそこそこ、いや、必要十分。

どちらかというと綺麗系の容姿に、後ろで束ねたポニーテール。少し青みがかっているが、黒髪というのがまた良い。


キリッとした表情と雰囲気のせいか、何故か格好良く感じる。女子校だとモテて百合百合しそう。

はい、合格です。これでもし実はツンデレとかだったら最高なんだけどなぁ…まあ、クールならクールでそれはそれで悪くない。


イェレナは、巨乳だ。

取り敢えず、全てを差し置いてそれだけは言わせていただきたい。

そう、巨乳だ。けしからんレベルの巨乳だ。

顔を見ようとすると、視線がどうしても下の方に吸い込まれていってしまう。


メガ乳…ギガ乳…どちらで呼ぶのが相応しいだろうか。うん、テラ乳と呼ぼう。

走ったりしたら、ゆさゆさ──否、ぶるんぶるん揺れて凄まじい事になるのではあるまいか。

きっとそのまま突進すれば巨乳の質量だけでとんでもない破壊力を発揮するのではあるまいか。あな恐ろしや。


しかし肉付きは良いものの、だからと言って太っている訳でもない。

たぶん、程良くむっちりだ。

神よ…こんな事が許されて良いのですか…⁉


髪の毛はパーマみたいにクルクルしていて長い。いや、これはセットしているのではなくて癖毛なのか?

そしておそらく地毛だろうが、金髪。

でもパツキン外人美女!…といった様な近寄り難いオーラは無い。寧ろフワフワしている。

つまり言い換えれば、脳内にお花畑が存在してそう。

もしこれでドジっ娘メイドとかだったら、私は間違いなく満点合格を与える。


そして最後にアミア。

年齢は10歳。(断定)

…胸?そんなものは無い。

可愛いが、それはキュートという意味で可愛いのであって、ちびっ子だから可愛いのである。

髪の毛はヤケに長く、後ろで上手い具合に編み編みにしてある。


圧倒的最年少。この世界の基準でも、まだ未成年に分類される。

無邪気な少女、それ以上でもそれ以下でもない。

そもそもこの子に関しては論評するつもりは微塵も無い!


「さあ、どうぞ中に入って──いや、その前に…姫御前(ごぜ)、何故メイドの格好などしておられるのですか?」


メイドさんは3名。

そのうち二人は推定二十代。一人は十歳。

誰がどう見たっておかしい。


「姫?はて…誰の事でしょう?」


アミアはその様にわざとらしく小首を傾げてみせた。


「あなたの事ですよ、姫。アリラハン王国第二王女のアンティカ・アリラハン・ミレウール」


「お見通しかぁ…」


本気でバレないとでも思っていたのだろうか?

子供は可愛らしいものである。


「多少化粧をしたって、流石に判ります」


不本意ながら、私はアンティカ姫とは顔見知り。嫌という程知っている。

故に、多少の化粧如きで私の目は誤魔化せない。


何故かアンティカの話し方は古風なので、私は彼女を姫御前と呼んでいる。


「大将軍閣下、謀ろうとした事、お赦し下さいませ!姫殿下は閣下にお会い申し上げたい一心で、この様なお企てをなさいまして…第一王女殿下と閣下との約定を違える結果と相成りましたが、それも姫殿下のお企てに便乗するどころか手助けさえなさった第一王女殿下がそもそもの元凶でありまして──」


地面に片膝をつき、カレリアは苦々しげな表情でそう言い訳じみた謝罪を述べた。

その内容によれば、どうやらアンティカの件にはオリンダも一枚噛んでいるらしいという事が判明したが、それについてはどうでも良い。それよりも──


「──待て。カレリア、まさかお前は…」


謝罪の内容よりも、彼女の口調にこそ興味があった。

この武人然とした鹿爪らしい話し方…さては…


“ディテクト”、と私は心中で念じた。

この魔法は汎用的な探知系魔法だ。状況に応じて様々なものに絞って探知出来る便利な魔法だが、今回私が探知するターゲットに指定したのは──鉄だ。

そして案の定、私の読みは当たった。


「カレリア…お前、メイドなどではないな?護衛騎士か?」


私を“大将軍閣下”などと呼ぶのは軍の関係者だけだ。

それに、ディテクトの結果、彼女はスカートの中に短剣を隠し持っている事が判った。

アンティカがいなければ刺客か何かを疑うが、この場合、アンティカの護衛騎士か何かが妥当だろう。


「如何にも。此度は姫殿下の護衛という大任を任され、この様な服装に身をやつしておりますが、紛う(まごう)事なき騎士です。流石は閣下、その程度の事は看破なさいますか…では改めて、私はオストラフィール家のカレリアと申します」


彼女は深々と頭を下げた。やはり騎士だな。


しかし、片膝ついて厨二心くすぐる口上を述べておいて、それで騎士だと気付かれないとでも思っていたのだろうか。

真面目過ぎてちょっとぬけてる系の女騎士さんなのだろうか?

クール系ツンデレメイドだったら良いのになぁ〜…なんて思っていたら、まさかの真面目女騎士だと⁈


大体からして、存在自体は耳にしていたものの、本物の女騎士を目にするのはこれが初めてだった。

騎士階級の娘でも、貴族の娘同様さっさと嫁がされるし、こんな風に騎士となる事は殆ど無い。

彼女はかなり珍しい存在なのではなかろうか。


「ではイェレナ、まさかお前もメイドではないのか?」


イェレナにもディテクトをかけてみたが、武器の類は何も持っていなかった。


「いえ、私はただの姫付きの侍女です。騎士ではありません。姫様の身の回りのお世話のためにいるだけです」


つまり、この3人の中で本物のメイドと呼んで良いのはイェレナただ一人という訳か。

更に彼女も私のためではなくアンティカ姫の世話をするために付いてきただけ。

誰だ、メイドを3名寄越すと大見得きった奴は⁈


「私はオリンダ姫から“メイド3名”と聞き及んでいたのだが…これでは姫一名に騎士一名、そしてメイド一名ではないか…」


期待は簡単に裏切られてしまった…

オリンダには後でクレームを入れておかねばなるまい。


「し、しかし!ご安心を!姫殿下は何も遊びにまかった訳ではありませぬ!花嫁修行の一環として、メイドの様に働いて実技を身に付けようという事でして…」


おままごとは他所でやってくれ…


「それだけではなく…私も一応、通り一遍の家事能力は身に付けて参りましたので!後れは取りません…!」


私を慰めようと、カレリアは冷や汗をかきつつ、必死にそう言った。

…不覚にもちょっと可愛いと思ってしまった。


「おい、リアナ…どうすれば良いと思う?追い返すか?」


流石に姫様を住み込みで働かせるなんて出来ない。

カレリアがどんなに必死に頼んできたって無理なものは無理だ。


「カイル…これは断るべき。どう考えてもそうすべき。何度でも口を酸っぱくして言うけど、あなたは勇者なのだから、カイルにそのつもりが無くても政治の世界に無関係ではいられないのよ。アンティカ姫をどんな形であれ自宅に住まわせるというのは…言わずもがなよね?」


参謀のリアナ殿はそう仰った。

私も全面的にそれに賛同する。勇者としては、参謀の意見に賛成である。


「──と、いう訳で、姫御前にはお帰り願いたい」


「…迷惑だったのか?」


いきなりシュンとして、うるうる涙目上目遣いで姫は私の良心に訴えかけてきたが、ここは心を鬼にして…


「そうです、困ります。お帰り下さい」


しょんぼり肩を落とす少女の姿は見ていて辛いものではあるが、こればかりはどうしようもない。


「…姫殿下、申し訳ありません…私が至らぬばかりに…」


寧ろ、アンティカと同じくらい盛大に落ち込むカレリアの姿の方が、私にとってはグッサリときた。


「すまなかったな、カイル…では私はもう帰る事にする…兄様に言って、本来寄越すはずだったメイドを代わりに派遣するから赦してたもれ…悪かった、反省しておるから、せめて嫌いにはならないでくれ…」


次の瞬間、私は自分でも思いもよらぬ事を口に出していた。


「いえ、お待ちを。…ならば、こうしましょう。あなた方3名には、そのまま我が家のメイドとして働いていただきます。但し、姫御前は住み込みではなく通いで。通いとは言っても、姫は気が向いた時にお越しになれば良いのです。ほら、これで私は約束通りメイド3名を譲ってもらった事になるでしょう?どうです?」


「それは(まこと)か⁉」


ニッと屈託の無い笑みを浮かべ、歳相応の少女らしくアンティカはぴょんぴょん跳ねた。

殆ど土下座みたいな姿勢になって落ち込んでいたカレリアも喜びに満ちた表情で顔を上げ、後ろの方で困ってオロオロしていたイェレナもやっと安堵の溜め息をついた。


女子供相手だと随分と甘くなってしまう。私の弱点の一つだ。


「ああ…閣下!感謝し申し上げます!英雄でありながら傲る(おごる)事なく慈愛の心を持ち合わせておられるとは…何と偉大なお方でありましょう…!」


これを冗談でも何でもなく、まるで神でも崇めるかの様に両手を組んで下から私を仰ぎ見、本当に感心しきった様子で歌う様に言うのだから、むず痒いったらありゃしない。


「このカレリア、王国に忠誠を誓った身ではありますが、閣下は陛下より既に“アリラハン”の名を賜ったとの事。なれば閣下も王国も変わりはありますまい。今後は閣下──いえ、カイル・アリラハン・サッカーモンド様個人にも永遠の忠誠を誓いましょう」


いやいや、大袈裟過ぎないか…?


「おい待て…私個人に忠誠を誓う、だと…?」


これもかなり問題なのではなかろうか…?

彼女は既に王国に忠誠を誓っている。

アリラハン王国は国民国家ではないから、国家に忠を誓うという事は即ち王家に忠を誓う事に他ならない。

その彼女が私に鞍替えすれば、彼女は「アリラハン王国を捨てて勇者を選んだ者」の先駆けになりかねない。

中世ヨーロッパの騎士と違って、この世界の騎士は色んな国と契約を結んだりはせず、一所(ひとところ)にしか忠誠を誓わないのだ。


国家を捨ててまで私に従う者が現れれば、それは私が実質的に一個人以上の力を持った、国家権力をすら超越した力を持つ者であるという事の証明になってしまう。それはいかん。


「王国から鞍替えするのは拙いだろ…」


「お気になさらずとも、閣下が王国と敵対しない限り、実際には私の仕える先は変わらぬのですから大丈夫でしょう。騎士団は脱退しなければなりませんが、アリラハンの騎士である事には変わりがないのです」


王国と敵対しない限り、か…

今後そうならない確証も無いがな。


「…それに、これは私の個人の私的な願望で恐れ多いのですが…その…閣下は私の様なしがない一騎士にとっては憧れの存在なものですから、その…お受けしていただければ…嬉しいのですが…」


ちょっと照れながらも、顔を背けずに彼女はそう言い切った。

くそ…()いヤツめ…


「いいだろう、では…騎士の宣誓を」


私は宙からユリシーズを取り出し、既にひざまずいているカレリアの首に刃を向けたのであった。


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