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おかしな人たち  作者: s43
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見知らぬ人と

「てかここにメッセージ着てるって事は順子、12時に『久美子ババ』が本厚木に着くこと知らないんじゃないのかな?」


昌也は拾ったiPhoneでを時刻を確認した。


時刻は11時25分だった。


「あっそうか!12時に本厚木駅に行けばこのiPhone直接、順子に渡せるかも!」順子はすでに呼び捨てされていた。


「最悪、久美子ババでいいしな」もし純子がいなくても久美子ババには渡せる。昌也はそう考えていた。


「12時までまだ時間あるな、とりあえず朝飯でも食うか」


昌也は愛甲石田駅にある「箱根そば」に入っていった。食券機で「天玉」を購入、店員に渡す時に「うどん、ねぎ多めで」とお願いした。(今現在ネギ多めは有料になってしまいました。残念!)


昌也は箱根そばの天玉を愛していた。そして箱根そばでのお楽しみは天玉だけではなかった。それは酒を飲んだ次の日にからっからの喉に染み渡る箱根そばで飲む水だった。


昌也は箱根そばにある給水機からの水が世界一美味いと思っている。注文後、すぐに給水機から汲んだ水をその場で一気に飲み干す。


「こんな美味い水はどこにもないな!」と心の中でつぶやいて微笑んだ。


昌也は天玉を愛しているのだが天天玉の玉子の扱いにいつも悩んでいた。最初に崩すのか、後で崩すのか、またはそのまますするのか、はたまた天ぷらにからめて食べるのか...


いまだ答えを導き出していなかった。そんな事を考えて食べる時間も含め天玉が好きだった。


今日は生卵を最初に崩す事にした。「スープと一緒に飲む溶き卵...これはこれで美味いな...」


うどんを食べ終えた昌也は最後にもう一杯水飲んだ。「ふぅ...やっぱここの水は最高だね!!」


うどんを食べ終え、時刻を確認すると11時45分だった。


箱根そばを出た昌也は財布からパスモを取り出し、自動改札機の読み取り部にタッチした。


「バイーン!」


自動改札機のフラップドアが閉まり昌也は通せんぼされた。


「あれっ!」


昌也は一旦、自動改札機を出て、もう一度、読み取り部にパスモをタッチした。


「バイーン!」結果は同じだった。


「んっ?機械の故障?」


すると隣の改札機で女子高生がスマホを耳と肩で挟み、大声で喋りながら、カードを読み取り部にタッチし自動改札機を通り抜けていった。


「そっちは平気なんだな...」昌也はパスモではなく自動改札機の不調を疑っていた。


昌也は女子高生がすんなり通った隣の自動改札機の読み取り部にパスモをタッチした。


「バイーン!」


結果は同じだった。


「あぁ残高ないのか...」ここでやっとパスモの事を疑う昌也だった。


「チャージしなきゃ...」


昌也はパスモをチャージ機に入れた。


「ん?」


チャージ機に入れたパスモはどういう訳か戻ってきてしまう。


「はぁ?」


昌也はもう一度チャージ機にパスモを入れてみた。結果は同じでパスモはまた戻ってきてしまった。


「なんでぇー!」


昌也が手に持っていたカードは「ポンタカード」だった。


「あおぅ...そういう事ね...」


昌也はポンタカードを財布にしまい、パスモを取りだし改札を抜けていった。


階段をおりてホームについた昌也は電車の到着時間を案内表示板で確認した。


「マジか!」


昌也は案内表示を見ながらつぶやいた。


「電車遅れてんのか...」


電車は「愛甲石田~本厚木間」で踏切の故障があったようで遅延していた。


どのくらい遅延しているのかはわからないがこのままでは12時に本厚木駅に着くことはできそうもない。


昌也はホームのベンチに座り足を組んでぼーっとしていた。


「12時に着けるかな...」


左足裏がかゆかったので靴を脱いで右手でかきはじめた。


「やっぱ昨日の靴下はダメだな」


足裏をかいた右手の匂いをかいでみたが思いの他、臭くはなかった。


「あっ!慎也さん本厚木にいるじゃん!」


昌也は慎也が本厚木にいる事を思い出した。


「俺が本厚木に着くまで久美子ババを引き留めておいてもらおう」


昌也は慎也に電話をして自分が本厚木に行くまでの間、「久美子ババ」を引き留めておいてもらう作戦に出る事にした。


昌也は慎也に電話をかけた。


「おう!どうした?」


慎也はワンコールで電話に出でくれた。


「早っ!」


昌也は慎也がワンコールで電話に出た事に驚いた。


「いまちょうどiPhoneでマックのクーポン見てたからな!」


「なるほど!香林じゃなかったんですね!」


「香林行こうとしたんだけど俺の前歩いてたやつがマックの袋持っててよ、ポテトの匂いプンプンさせてやがってたから俺も食いたくなっちゃったのよ」


「マックのポテト美味いっすもんね!」


「だよな!今日はマックシェイクにどっぷりつけて食ってやるぜ!」


「なんですかその食い方?」


「プリズン・ブレイクでやってた」


慎也はドラマ「プリズン・ブレイク」のワンシーンでこの食べ方を見て以来、いつかやってやろうと思っていた。


「美味いんすかね?」昌也は半信半疑だ。


「わからん!何事も経験だべよ!じゃぁ行ってくんぜ!」


と慎也が言った後すぐに電話は切れた。


「美味いのかな...」


昌也は慎也にかけた電話の理由をマックのポテトによって消されていた。


「あぁ!違う違う!」


昌也は再び慎也に電話をかけた。慎也はまたまたワンコールで出てくれた。


「テレクラなみに早いっすね!」


「あほか!テレクラっていつの話だよ!マックのクーポン探してたからだっちゅうの!」


「パイレーツですか?」


「・・・・」慎也は沈黙を貫いた。


「あぁすみません!慎也さんちょっとお願いがあるんです」


「んっ?」


「僕が本厚木に行くまである人と合っててもらえませんか?」


「はぁ?誰に?」


「久美子ババです。」


「くみこババ?誰それ?」


「たぶん順子のおばあさんです」


「じゅんこのおばあさん?誰じゅんこって?」


慎也はポテトを買うために並んでいた列から離れ、店の外に出てきた。


「昨日拾ったiPhoneあったじゃないですか?それの持ち主がわかったんです」


「おぉ!凄ぇ!なんで持ち主がわかったのよ?」


「それは後で説明します。そんでもって拾ったiPhoneの持ち主の順子のお婆さんを思われる『久美子ババ』って人が12時に本厚木駅到着予定なんです。」


「う~ん...よくわからん...」


「だから僕が行くまで『久美子ババ』を引き留めておいてほしいんです」


「なんで俺が?」


「そしたら昨日拾ったiPhoneを直接渡せるじゃないですか!」


「なるほど!」


「警察行かなくても済むかもなんです!」


「断る!」


「えっ!何でですか!」


「やだよ!俺、酒飲んでないと初めての人と話せないの知ってんだろ!」


慎也はけっこうチキンでいて人見知りだった。


「お願いしますよ!iPhone渡せるチャンスなんですよ!」


「俺の口が無理だって言ってるね」


「なんすかそれ?」


「口がポテト&シェイクなんだわさ」


「人見知り全然関係ないじゃないですか!」と言おうとした昌也だったがその前に電話は切れてしまった。


「あっ!切れた!」


慎也は再びマクドナルドに入りポテトとシェイクを買うために並びの最後尾に接続した。


昌也は慎也との通話が切れたiPhoneを見つめていた。


「ビコーン!」


昌也のチノパンの後ろポケットに入っている順子のiPhoneになにやら着信があった。


着信は「久美子ババ」からのメッセージだった。


昌也は躊躇なくメッセージアプリを開く。


「本厚木駅についた ファミリーマートの前にいる はやくこい」


と書いてあった。


「やばいやばい...」


昌也は「久美子ババ」がそこから離れないように純子のiPhoneからメッセージを返信する事にした。


「昨日拾ったiPhoneを今からお届けします。」昌也はメッセージを打ち込み久美子へ返信し、順子のiPhoneをズボンのポケットにしまいこんだ。


久美子登場!


そのメッセージを受け取った久美子は携帯電話の画面を見て不思議がっている。


「昨日拾ったiPhoneを今からお届けします?はぁ?」


久美子は間髪いれず返信した。


「なに言ってんだい?いいから早くこい!」とメッセージを返信した。


「ビコーン!」


「あっ!またメッセージきた」昌也はポケットから順子のiPhoneをだしメッセージを確認した。


「なに言ってんだい?いいからはやくこい!」


「ありゃ!やばい!やばい!」昌也はもう一度慎也にお願いすべく電話をかけた。


「ちっ!またかよ...」慎也は昌也の着信に気づきまたまた店の外に出て電話に出た。


「なんだよ!ポテト食わせろよ!」


「慎也さんすみません!もう本厚木にいるそうです!」


「誰が?」


「久美子ババです」


「はぁ...だから...」


慎也は深く溜息をついた。


「今日熟女ワンタイム奢りますよ!」


「ん?」


「熟女パブです」


「ん?」


「ワンタイム奢ります!」


「おぉ...おぉ...そうなの?」


「はい...」


「マジで?」


「本厚木駅に行ってくれます?」


「昌也君!俺にまかせておきなさい!んで?そのお方はどこにいるんだい?」


「ファミリーマート前だそうです」


「南口か!んで?どんな恰好してんのよ?タウンページでも持ってんのか?」


「わかりません!あっ!電車来ました!乗ります!」


と昌也が言った後、電話は切れた。


「おぃおぃ!昌也君!」 


慎也はすぐに昌也に電話をかけなおしたが昌也は電話には出なかった。


「なんの情報もなくて人に合うのってとってもデンジャラスなんすけど」


何度も言うが慎也はチキンだった。


第九話へと続く...

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