27 再びドルフィノへ
ピンチです。
お風呂場で突然居なくなった僕を探して、恵たちが唯の部屋まで探しにきました。
みんなの目は、裸の唯に抱きしめられている裸の僕が映っていることでしょう。
あ、モリモリは追い出されたようです。
「コウちゃんこれってどういう事?」
今日は恵と愛し合う日なのに、突然居なくなり探してみれば他の女とネンゴロになってるなんて激おこなのも頷けます。
どんな言い訳も無駄でしょう。
「ごめんなさい」
僕は全力謝罪をした。
「私が怒っているのは隠れて唯ちゃんとこんな事してたからよ。ちゃんと言ってくれれば私は……」
「水野さん……ごめんなさい。わたしどうしても矢吹君と結ばれたかったの。許してください」
唯らしくない本気の謝罪姿勢でガチ謝りしてます。
「もういいよ。今日は二人でこれからの事を話してね。結果が出たら教えて?」
「矢吹っち反省しなよ」
「新しい女連れ込んだ日に別の女と浮気とかヤバ。しっかり反省してね」
「はい。すみませんでした」
僕は土下座した。最近土下座しまくって価値下がりまくりだよね。
こうしてみんな出ていったわけだけど……。
ベッドがハチャメチャ状態なので、とりあえず血と体液で汚れたベッドのシーツを替えて部屋付属のお風呂に唯と入った。
唯はずっと黙っている。僕が何を言うのか怖がっているようにも見える。
でも答えは僕の中でとっくに出ていた。
「僕は……唯も嫁として迎えたい」
「矢吹君!」
唯の表情は花が咲いたように明るくなり、そして号泣した。
感極まった唯は僕の唇を奪うと10分ぐらいずっと僕の口腔内を舐っていた。
そしてお風呂でも精神の昂ぶった唯が僕に乗馬してハチャメチャしてしまい。ついに唯は歩けなくなった。
「特製ポーション使う?」
「これは幸せの痛みなんですよ、矢吹君」
「それなら今日はもう寝ようか?」
「はい! 大好きです矢吹君」
……。
……。
朝だ。
朝チュンだ。
「ほひふぁひは?」
「おはよう唯……はふぅ」
「ほはふぉーほふぁいふぁふ」
「と、とりあえず起きよう。みんなに話もあるし」
「ぷはぁ、わかりました」
唯の愛は重いけど、ちょっと可愛いなと思い始めたそんな朝だった。
◆◇◆◇
翌朝。
唯と話し合った結果を伝えて嫁たちには一応の理解はしてもらえたようだ。
ただ、スッキリ解決とは言い難いよね。少し時間がかかりそう。
でもさ、毎回トラブルを運んでくるのは七星さんなんだよね。
あの人は何かの特異点みたいな感じがする。良い人そうではあるけど苦手だ。
朝食後。
唯の働いてる食堂へ行き、今日は休むことを僕が伝えてきた。
そして今日も嫁たちを送り出してから仕事に行かない旦那達は庭のガーデンチェアに座っている。
「矢吹さぁ。唯はヤバイんじゃね? 大丈夫か?」
「大丈夫だと思いたい」
「でも見た目だけはいいんだよなアイツ」
「見た目はねぇ。中身も可愛いところもあるよ。嫉妬深いけど」
「それがやべーんじゃん! プププ」
「ですよねー」
「よし! 気晴らしに冒険者ギルドで依頼受けようぜ! 正直今の俺達は傍から見たらヒモだ」
「みんなが言わないでいてくれた事をアッサリ言いましたね」
モリモリとそんなやり取りしていたら気分が晴れてきた。気を取り直して頑張ろう!
と、その前に最近感じる違和感をヨルさんに聞きたかったんだ。手紙書いてから冒険者ギルドに行こう。
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ヨルさんへ
最近よく違和感?を感じます。
特に複製スキルの事です。
後になってアレやソレを複製しておけば問題解決したんじゃない?
と思う事が頻繁に起きます。
何故なのでしょう。僕がバカ過ぎるからでしょうか。
追伸
ウイスキーを10本入れておきました。
ご賞味下さい。
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よし、これをヨルさん専用スペースに入れてと。
さあ、異世界来て初めての依頼頑張ろう!
◆◇◆◇
依頼……30分ぐらいで終わってしまった。
近くの村まで荷物護衛の依頼受けたんだけど、荷物は僕のアイテムボックスに入れて、
移動は依頼人乗せて車で行けばいいので、あっという間に終わってしまったのだ。
「これが冒険者の仕事……? なんか違うような……」
「まぁいいんじゃね? 冒険者の仕事にあまり夢を持つなよ」
「次は冒険者らしい仕事にしよ? 討伐とか」
「いいぜ」
◇◆◇◆
ここは南西にあるスミの森。最近シカの魔物が増えすぎたので、その間引きの仕事だ。
このシカは食べても結構美味しくて高値で売れるけど受ける人は少ない。
「シカって言うから奈良にいるあれ想像してたよ」「俺も概ね同じ感想だ」
ドシン……ドシン……
どう見てもゾウ以上の大きさあるぞ。そりゃ、こんな依頼誰も受けないわ。
どうする? アイテムボックス砲使う? でも、消し飛んだら肉売れないか。
マックスの攻撃も肉を傷めてしまうしな……。
よし、君に決めた!
「いっけー、ごーちゃん!」
せっかくなので、ごーちゃんの実力を見るためにアイテムボックスに入れて連れてきたのだ。
「はいよー。あのシカ倒すのー?」
「そう。討伐数は五匹。出来るだけ肉を傷めない感じで」
「おっけー。 プシュン! 終わったよ」
何かが当たってシカの頭が弾けると、巨大シカは轟音とともに崩れ落ちた。
「え? 何したの?」
「左手に付いてる魔力加速砲で撃ったよー」
「…………す……すごいねー。さすがごーちゃんだー」
「どーいたしましてー。残弾数はあと25発だよー」
……。
……。
「依頼五分ぐらいで終わっちゃった」
「実質一匹一秒もかってないしな」
「じゃあ、次はあれやろうよ! 誰もが最初にやる薬草探し」
「まだやるのかよ……」
◆◇◆◇
ここはヨルバンがほど近い谷に近い森。ここでは良質な薬草が取れるらしい。
でも正直どれが薬草でどれが雑草なのかも解らない。
「モリモリ、薬草ってどれ?」
「わからん。薬草探しはやったことないんだ。面倒そうだし」
「じゃー仕方ないな、鑑定!」
……。
……。
「依頼また五分ぐらいで終わった」
「だな」
「次は……」
「帰るべ?」
「……うん」
◇◆◇◆
「なんか仕事って大したことないねー」
「つーか、殆どチート頼りなだけじゃねーか。毎日真面目に働いている人に謝れ」
そんな話をしながら日課のミスリルゴーレム復活チェックしにきた。いつものように最深部まで走り抜ける。
「どーせ今日も居ないよね」
「そうそう。居ない居ない」
本当は期待してるのに、期待してないフリをしてしまう謎行動。ついやっちゃうよね。
「居たーーーーーーーーーー!」
「おぉー結構迫力あるなぁ! あ、消えた」
「もうアイテムボックスに入れちゃったし」
「風情も何もないな」
「いいじゃん。そんなことよりスッゲー車作ろうよ!」
「よし! やるか。楽しみになってきた」
◇◆◇◆
「ミスリル製の完全新作ボディ。地竜の皮で錬成したタイヤ。新しい設定済の核」
「やっと形になったな」
ボディはアイアンで試作してたので素材が違う別の物を作るだけだったのですぐ出来た。
今回も前回同様六人乗りシートだ。
形はハ○ーみたいな大きい外車みたいな感じ
核もセットして、一応の完成だ!
「僕たち冒険者の仕事の200倍ぐらいは真剣にやったよね」
「遊びこそ真剣にやるんだよ」
試運転や調整は明日やろう。
夕飯時。
美味しい! あのシカ本当に美味しかったんだね。大きいから大味かと思ったけどそんな事なかった。
今日ゲットしたシカをアイテムボックス内で分離血抜きを行い、クラフトで肉を切り分けて芽衣子と渚に渡した。
ニ人の完璧な焼き加減の鹿肉ステーキは絶品だった。これお店出せるんじゃね?
そんな話をしたら、ニ人はちょっとその気になっていた。
ニ人がレストランやりたいなら僕は全力で応援するつもりだ。
そして僕を養って欲しい。
今日もユリナを寝かしつけ、なでなでして部屋を出る。
今日こそは恵の部屋に行く。
「コウちゃん私怒ってないから、今度からちゃんと言ってね?」
相変わらず出来た嫁だ。
「うん。ごめん」
しばらく見つめ合い、気持ちが高ぶっていく……正直ドキドキが止まらない。
呪いの効果は絶大だ。
「コウちゃん……」
「恵……」
ピロン♪ピロロロロン♪
「このタイミング!」
「え? なに?」
「いや、こっちの話」
「コウちゃん……」
恵は我慢できなくなったみたいだ。僕に色々仕掛けてくる。
今日は新戦術で攻めてくるみたいだ。
相変わらずあの天才女兵士は上空から攻めてくる。
だが今日はいつもと違う! 我が砲は風船爆弾ニ機に追い詰められ幾度も上下に攻められてしまう。
ばかな、こんな戦術何処で覚えたというのだ。
女性兵士の情報交換は恐ろしい。
しかも風船爆弾ニ機に挟まれ身動き出来なくされた上に更に上空から執拗に我が砲は口撃された。
程なくして砲はチカラを失った。
「コウちゃんどうだった?」
「なんか凄かった。やり方誰に聞いたの?」
「秘密」
その後も戦争は続いた。
我が分隊支援火器は弾帯が尽きるまで、ただ只管、敵兵が潜む洞窟へと撃ち続けたのだった。
戦争は終わった。だが、この平和はいつまでも続かないだろう。
「じゃあ、一緒に僕部屋行って寝ようか。」
「うん。ずっと一緒に居たい」
恵はうっとりしている。可愛い。
僕は自室に戻り、寝てるユリナと隣で寝てる恵を撫でつつ
さっきヨルさんから来たメールを見ることにした。
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矢吹へ
お主がバカなのは間違いないが、違和感の正体は規制コードのせいじゃ。
奴隷になってた娘をゴルを複製して買うという発想に至らなかったのはそのせいじゃな。
例の一つで言えば、ミスリルを複製して無限に増やして使ったり売るったりという発想もできないようになっておる。
要するに何でもかんでも複製して済ませていてはバランスが崩れるのじゃ。
異界の者を呼ぶにあたり、バランス調整に多大な時間を要したというのに、バカ狼はわしを恨んでおる。
まったくどいつもこいつもバカなのじゃ。
複製は本来入れるべきスキルではないと思ったが、お主らの為にサービスしておいたのじゃぞ。
わざわざ前世の荷物をアイテムボックスに入れてやったのはその為じゃ。
馴染みの調味料使えているのはわしのおかけじゃ。大いに感謝せよ。
感謝は酒で示すが良い。
ウイスキーは美味かったぞ。また入れると良いぞ。
じゃあの
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なるほど。言われてみれば納得できる感覚あるな。
お弁当の米は単純に僕が思いつかなかっただけな気がする。
でも、違和感の正体が解って一つすっきりした。
寝よう。おやすみ。
◆◇◆◇
普通に朝を迎えた。
昨日の夜は妖怪バール娘は来なかった。痛くて歩けなかったのか、心境の変化なのか解らないけど、ちょっぴり残念に思ってしまった僕も大概だよね。
今日はどうしようかな。昨日は働いたので今日は寝てようかな。
嫁を働きに行かせ、旦那は家で惰眠を貪る。
それもいいのだが、まずは新作のミスリル車の試運転と調整だ。
僕とモリモリは街外れの平原に来て試運転を開始した。
何回か調整して今最後の試運転中。
「いいね! アイアンのセダンとはパワーが違う!」
「多分これ、高速道路で走ってるぐらいのスピード出てるよね!?」
「もっと出せそうだぞ! やべー凄い楽しいぜ! いけぇーベタ踏みだ!」
「僕は凄い怖いんですけど! 泣きそうなんだけど! 涙は飾りじゃないんですけど!」
モリモリは完成した新車に気を良くして、リリさんを助手席に乗せてドライブに行ってしまった。
それはいいけど、車の中でプロレスごっこしないでね?
でもいいなぁ……。僕も自分で動かせる移動手段が欲しい。
僕は車の運転の才能ないし、それなら以前アリーナさんたちとドルフィノに向かった際に、
暇を持て余して真似して作った護衛用の装甲車みたいな竜車を改造すればいいと思いついた。
物々しかった外観をちょっと大きい普通の馬車の形に変え、ボディは総ミスリルで作った。その表面をを木でコーティングした。スキルの為せる技だ。
ミスリル色むき出しなのは目立つしね。ちなみに車のボディの表面も黒い石の色素を使い、コーティングして色を変えている。
足回りやサスペンションはモリモリとの車作りで得たノウハウを活かし、いい感じに出来たと思う。
問題はこの竜車を引く竜が居ない事だ。
だが、新しいスキルの使い方に気づいたので解決できそうだ。
地竜の魔石をボックス内錬金してみたら、ゴーレム核化が出来ることに気が付いたのだ。
ボックス内錬金で地竜のゴーレム核を作り、その地竜の素材を使い、
あのサイみたいなやつに似せたボディをクラフトと錬金を組み合わせて作る。
ゴーレム核の設定は、力強く、温厚に、人の言葉を理解する……そんな感じにした。
そしてその二つのパーツをボックス内で組み合わせた。
ついに完成したのだ。僕専用竜車が。
試運転しに出かけようとしたら七星さんが来てついてくることになった。面倒くさい人に絡まれたな……。
僕は車の試運転してた森の開けたところまで行き竜車を出した。
「素敵な竜車ですわ。私も乗せてくださいますか?」
「乗ってもいいけど、試運転だから事故るかもよ?」
「それならば万が一の事故のその際に矢吹様を守るためにも同乗させていただきますわ」
「……じゃあその際はよろしく」
僕と七星さんは馭者席に乗り込む。無理すれば三人乗れるゆったりした馭者席だ。
普通の竜車と違うのは剥き出しではないこと。軽トラみたいに感じに馭者席は覆われているのだ。
もちろんシートベルトもある。エアバックはないけどね。
操縦は基本的にオートだ。口頭で伝えればゴーレムは解ってくれるはず。多分。
「ぐるっと廻るように走って。ゆっくりね。それでは出発!」
竜者は動いた。順調だ。ヤバイ……楽しい。
七星さんもなんか楽しそう。
ちゃんと言葉が通じているみたいで危なげなく姿は、良いものが出来たと我ながら感動した。
その後、調整のために核を設定いじったり足回りを改良したりしてほぼ完成した。
そしてそのまま竜車に乗って屋敷に戻るのだった。
僕専用の自家用車が出来て満足はしたけど、短時間でドルフィノと行ったり来たりできる程のスピードは出ない。
なんか良い移動方法はないかなぁと、メイドさんが作ってくれたお昼を食べながら思う。
空を飛ぶとか? この世界、それは普通にある。ワイバーンをテイムすればいい。
フェンリルほどの魔物をテイムできるモリモリなら或いは…。
『何か悩んでるニャ?』
膝の上で丸くなってたみーちゃんが僕を見上げながら話しかけてきた。
「ドルフィノにちょっと行ってくるわ~ぐらいの感覚で行ける移動手段ないかなって考えてたんだ」
『そんなの簡単ニャ』
「え? やっぱ空を飛ぶの?」
『ミーに乗れば良いニャ』
◇◆◇◆
人気の無い森に行くと、みーちゃんはフェンリルの姿に戻った。ライオンぐらいの大きさだけど。
みーちゃんに言われた通り、背中に跨ると、みーちゃんは跳ねた。
そのたった一歩でもうヨルバンは見えなくなった。慣性とか無視ですか?
僕は今一筋の光になってます。これが超低空でジェット機にでも乗る感覚なんだろうか。
怖いと思う気持ちまで置き去りにされるような速さだった。
あっけに取られていると、もうそこは豚と戦った森だとすぐに気が付いた……。
「凄すぎる……。多分ニ分もかかってない……」
『いつでも乗せるニャ。遠慮は要らないニャ』
「ありがとうみーちゃん! これなら米も買えそうだよ!」
僕は三毛猫に戻ったみーちゃんをモフりまくった。
「相変わらず綺麗な海だなー。みーちゃんの足があれば行ったり来たりもできるし、ここにも家欲しい」
『四人ぐらいまでなら同時に運べるニャ』
「みーちゃん凄すぎでしょ」
『もっと褒めていいニャ』
みーちゃんを抱っこしなから綺麗な街並みを歩いていく。
当然いつものように女の子にキャーキャー言われたりしながら海まで歩いて行った。
「海は良いよね! 青春映画みたいに叫びたくなる」
『コウイチはアニメしか見てないニャ』
「それは言わないお約束」
しばらく海岸を歩いてみる。凄い開放された気分になるね。
すると前から男の人が歩いてきた。
見知った制服を着た同級生の女の子を8人連れている。
あれは……。
その男の人は僕の目の前で立ち止まり、放心したような表情で僕を見ている。
そして。
「綺麗だ……」
片山君はそう呟い
た。
彼の取り巻きと思われる後ろの女の子たちがキャーキャー騒いでるのが聞こえる。
片山君が僕に取られるかと思って怒っているのかもしれない。だからといってスルーするつもりはない。
「片山君久しぶり」
「――なに!? 君は誰なんだ?」
◆◇◆◇
今僕は片山君の家にいる。
片山君の家は海岸近くにあって、バルコニーから綺麗な青い海が見えるオシャレハウスだ。こういう家憧れちゃうよね。
「まさか矢吹君だったとは……」
「でもほんといい家だねぇ~こういう家憧れるよ」
「なら、ここに住むといいよ。ニ階に一つ空き部屋がある」
「聞けば女の子8人全員片山君のお嫁さんらしいじゃない? そんな家に男の僕は住めないよ」
「いいよー。住みなよ矢吹」「矢吹ちゃん可愛い!」「抱きしめながら寝たい!」「猫と矢吹君どっちも可愛い!!」
女子たちは怒ってたんじゃなくて、ただ僕を愛でたかっただけらしい。
「ほら。みんなも歓迎してるよ」
「住むのは無理だけど、たまに遊び来てもいい?」
「もちろん。矢吹君は何処に住んでるんだ?」
「僕はヨルバンに住んでるよ。家も持ってる」
「確かはるか南の方じゃなかったか? 観光か何かでドルフィノに来てるのかい?」
「そんな感じ」
その後、転移のスキルの話をみんなにして、起点になって貰える人が居ないか聞いてみた。
その結果、あちこち動き回る片山君は無理なので、嫁の一人の西野さんが起点になってくれることを了承してくれた。
西野さんは妊娠中でいつも家に居るから丁度いいらしい。片山君の嫁がもし全員同時に妊娠したら大変な事になりそう。
「それでさ、みんな眷属の人にアイテムボックスを勧められたと思うからスキル取ったと思うけど、地球の物どんなの入ってた?」
いいものあったら複製したいしね。
「俺は栄養バーとスポーツドリンク入ってたな。もう食べたけど」「私はお菓子とお茶」「わたしはポカコーラ入ってた。嫌いだから飲んでないけど」
聞いた結果、手を付けてない飲食物はポカコーラ、飴ちゃん、チョコ、日本酒。
その他は割とどうでもいいものばかりだった。筆記用具とかアクセサリー等。一応ノートとシャーペンとボールペンは複製させてもらうつもり。
僕のスキルをみんなに説明して、複製スキルで作った醤油、味噌、粉末ダシをみんなに渡すと飛び上がる勢いで喜ばれた。
旦那の目の前でチューとかしないで欲しいのだが……。片山君は笑ってたけど、修羅場になったら怖い。
あと複製して人数分の幕の内弁当出してみんなで食べた。
ずっと持ち続けて初めて食べたけど、普通に美味しかった。芽衣子と渚の料理には敵わないけどね。
「凄い懐かしい味だな。コンビニ弁当」
「味濃いよね。こっちの料理は味がぼやっとしてるのが多いから余計そう感じるかも」
お弁当を食べながら、気になったことを片山くんのお嫁さんに聞いてみた。
「でも、なんで日本酒なんて持ってたの?」
「あーそれは、インコに料理酒を頼まれてさ、よくわかんないからこれ買ってきたんだ。インコと渚は今どうしてんだろ」
片山君の嫁の一人が寂しそうに呟いた。
「岡さん、伊澤さん、水野さん、森山、七星さん、赤坂さん。青山さん、それと隣のクラスの瀬川さんは合流して一緒に暮らしてるから心配ないよ」
「ほんとにー? 良かった! ていうか、あの時七星さんに詰め寄られてたけど、矢吹君こそ大丈夫なの?」
「初めて会った時はビビって逃げたよ。あはは」
しばらく色んな事を話して楽しんだ後、大量の生理用品を渡して喜ばれ、ハグやキスされた。アレないと本気で困るらしいからね。
その後、片山くんの嫁達の下着とか靴とか制服も複製を頼まれた。
だからどうして僕の前でみんな脱ぎだすんですか。僕を男として見てないよね絶対。
浄化してはあるものの、人妻JKの制服や下着を大量に渡されて複製するって、なにこのプレイ。
僕は無心で複製した。しまくった。こういうのは規制コードにひっかからないらしい。
こっちの服買って着ればいいじゃん? と思うかもしれないが、こっちの服はゴワゴワしてるのだ。
だから結局制服が一番着心地いいみたい。この世界の下着なんか付けられたものじゃないらしい。
うちの嫁たちもずっと制服着てるし。
お姫様や貴族の女の人が着てたドレスは柔らかそうだったけどね。
夕方に差し掛かり、そろそろ帰らないとだから、また遊びに来ることや、定期的に調味料を持ってくることを約束して僕はみーちゃんに乗ってヨルバンに戻った。
◆◇◆◇
屋敷に帰るとリビングで寛ぐみんなを見つけて声をかけた。
「みんなー、お土産持ってきたよ。これと、これと、これも……」
「日本酒? 何処かで売ってるの? でもラベルが日本語だしマジどーゆうこと?」
「料理酒に使えるから、またうちらの料理ヤパくなるよ?」
二人は日本酒に食いついたようだ。
「チョコ美味しい!」「甘いの久しぶり!」
恵と唯はチョコと飴ちゃんが気に入ったようだ。
「うめぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ! キンキンに冷えたポカコーラくそうめぇぇ!」
ポカコーラ飲みながら泣いてるのはモリモリだ。男子ってポカコーラ好きだよね。
しかも僕がアイテムボックスでキンキンに冷やしたからね。
「あと、これ未使用の黒タイツとシュシュとかもあるけど使う人居れば複製するよ」
「コウちゃん誰と会ってきたの?」
顔は笑ってるけど、なんか恵の雰囲気が怖い。
怖いのでドルフィノまで行ってからの話しをみんなにした。
日本酒をくれた子は、芽衣子と渚の友達だったらしくて無事なのを喜んでいる。
片山君が8人嫁にしてる事を聞いたモリモリはちょっとキレてた。羨ましがっていたとも言う。
恵も知ってる子が居たらしくて喜んでる。
なので今度休み合わせてみーちゃんに乗ってドルフィノに行くことになった。
行くのは恵、芽衣子、渚だ。唯はクラス違うし行きたくないぽい。
モリモリは行かないみたい。片山君に嫉妬してるのかも。
七星さんたちは元々ドルフィノを経由してヨルバンに向かったらしいので、行かなくていいらしい。
楽しい話は続き、こうして夜は更けていく。
今日は芽衣子と渚の部屋だ。
なんと制服に黒タイツを装備してくれるらしい。
楽しみである
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