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23 奴隷商

 楽だなぁ~誰かに車を運転してもらうの楽だ。

 運転はモリモリ、助手席はリリさん。


 僕はニ列目シートで、膝にはユリナが乗って、ユリナの膝にはみーちゃんが乗ってる。鏡餅状態で結構キツくなってきたから、どちらか降りてもらおう。

 僕の隣には恵が座っている。恵が察してか、寝てるユリナを引き取ってくれた。ほんと出来た嫁だよ。


 三列目シートにはフェンリルのマックスが独り占めしている。ちっこいくせに贅沢だ。


 ガンッ!


 ガガガガ! ガシッ! ベキャャ!


 さっきから鳴ってるこの不穏な音は例の魔物が多いゾーンを特攻してるから。


「なぁ、俺さっきから結構レベル上がってるぞ。まさか車が武器判定で経験値上がるとは思わなかった」

「リリも少し上がった」

「私も上がったみたい」


「このレベルアップ法楽でいいね。これなら戦うスキル無い人でもレベル上げできるし」

「ただ、フロントガラスが怖いな。万が一割れたら俺とリリがモロに食らう」


「確かに。魔物のピークは過ぎたから家出してちょっと休憩しようか。車の改造するよ」

「おう」


 時間はお昼ごろ。みんな家で伸び伸びしてる。車の中って結構疲れちゃうんだよね。身体をほぐした後、みんなで岡さんたちが作ってくれた料理を食べて一息ついた。


「じゃあ、フロントガラスの外側に頑丈な網目状の保護を付ける形でいいかな?」

「それしかないな。ガラス無くすと雨もそうだが、風もヤバイしな」


 そんなわけで、元々付けてた網目状のパーツをフロントガラスとサイドと後ろのガラス外側につけた。バカみたいに頑丈なミスリルでも針金よりちょっと太いぐらいじゃ少し弱いかな?


 仕方ないから残りのミスリルの剣を潰して網を太くして、それを一番危ないフロントガラスの前に付けた。これなら良さそう。


 僕たちはマックスとみーちゃんの護衛のもと外に出て、車を出した。


「なんつーか、世紀末感あるな」


「ヒャッハーしちゃう?」

「俺、バイクも欲しいぞ!」


「ヨルバン行ったら作ってみようか?」

「危ない乗り物はダメだよ!」


「水野はお母さんかよ……プププゥ」


 それから僕たちはまた車に乗り込み、あえて狙って魔物にアタックを繰り返して進んだ。


「結構来たかも。多分半分は過ぎたと思う。道間違えてなければの話だけど」


「ほぼ一本道だから間違えようないだろ?」


「うーん……。ユリナどう思う?」

「ユリナ途中からあんまり外見てなかった」


「でもたった四日で半分まできちゃうかなぁ? なんか不安だ」

「気にせず行こうぜ。進めばわかる」


 そして五日目の昼頃、見覚えのある道が見えてきた。

 僕が拉致されて運ばれた道ね。


「あ! ここ覚えてる。もうすぐヨルネットという街だよ」


「じゃあ、ヨルネットって街で昼飯食うか?」

「ヨルネットまで来たらヨルバンまですぐだけど、お腹へったしそうしようか」


 僕たちは車でヨルネットに乗り込んだ。


 ペタペタ……  バン! バン!  ギコギコ…


 街に入ると、背の低いひげもじゃおじさん達に車の周りを囲まれてしまいました。

 ベタベベタ触ったり金槌でガンガン叩く奴も居る。

 おい! 今ノコギリ使ったやつ居なかった!?


「くぉらぁ! ふざけんなてめーら! 俺の車になにすんだ!」


 ついにモリモリがキレて外に飛び出した。

 ていうか、これ僕の車なんだけど……実質モリモリしか運転できないし、プレゼントするか。


「何か言い合ってるけど森山君大丈夫かな?」

「危険に敏感なマックスも警戒してないし暴力沙汰にはならないでしょ」


 ひげもじゃさんたちは、時々車を指差して何かをモリモリに聞いているみたい。

 無駄に防音性いいから声はほぼ聞こえないんだよね。


 あ、モリモリが僕を指差した。ひげもじゃさんたちの視線が僕に集まる。


 そしてドアが開く。

「矢吹ー、こいつら車の事聞きたいんだとさ。作り方とか」

「えー断ってよ。スキルで作ってるから教えようもないし」


「スキルで作ってるから教えられないってよー」

 モリモリは大声で伝えると、ひげもじゃさんたちしぶしぶ去っていった。


「ほんとドワーフってみんなあーだよな。ドルフィノに居たドワーフもこんな感じだった」

「あれってドワーフだったの?」


「知らなかったのかよ。ちなみにドワーフ娘は大人でもロリだぜ……フフフ」

「おぉぉ……合法ロリ! 夢があるね!」


「サトシ……」

「コウちゃん……」


 僕は車を収納し、みんなで食事しに街の奥へと進んだ。


「この街は変な意味で活気あるな」

「以前一度来たけど前回は時間なくて良く見れなかったんだ。雑多なのはアキバみたいなワクワク感あるね。ただ……表通りに普通にいっぱい奴隷商があるし、僕的にあんま好きじゃないかも」

「だなぁ。でも、この世界の奴隷は困窮者の最後の受け皿みたいな感あるし、一概に悪いとは言えないかもな」

「リリも奴隷になるか兵士になるかの選択肢しかなかった……」


「リリ……」

「サトシ……」


「はいはい、そういうのは家でやってね」


 僕たちは美味しそうな食堂ないか探して街を歩く。

 たまに見かける奴隷商の店は昔の遊郭みたいに奴隷が見て選べるようになっていた。

 基本的に屈強な男が多い。多分ドワーフが鍛冶屋で働かせるために買うのだろうね。


「おばちゃん!」


 ユリナはそう叫び、一軒の奴隷商へと走って行った。僕たちはすぐ追いかけてユリナの元に向かう。


「おばちゃん! やっぱりおばちゃんだ!」

「あら……何処かで会ったかな?」


 ユリナがおばちゃんと呼んだ女性はむしろ、おばあちゃんだった。


「森に居るユリナにいつもパンを持ってきて来てくれたおばちゃんだよね?」

「……そんな……まさかガラシ病だったあの子? でも、治るはずなんて……」


「でも治ったよ! お兄ちゃんが治してくれたの」

「そうなんだ……良かったね良かったね、こんな可愛くなって……」

 おばちゃんは号泣して顔を手で覆った。ユリナも号泣している。


「お兄ちゃん……」

 ユリナは僕を見る。わかってるよ。ユリナの恩人なら、その恩は今返そう。


「貴女を買いたいのですが、良いですか?」

「私をですか……? 家事ぐらいしかできませんが、一応読み書きは出来ます」


「それは丁度良かった。屋敷を手に入れたので家事してくれる人や、ユリナに読み書き教えてくれる人を探してたので」

「私が……あとどれだけ生きられるかわかりませんが、よろしくお願いします」

 おばちゃんは深々と頭を下げた。


 そして僕たちはお奴隷商店へと入っていく。


「矢吹、金大丈夫なのか? 奴隷って、あんなおばちゃんでもそこそこするぞ」

「多分大丈夫だよ」


「ユリナ頑張って働くから!」

「そんなことしなくていいんだよ、よーしよしよし」


 奥へ進むと店員がやってきた。店員のおじさんは僕たちを嘗めるような見渡し、営業スマイルを作った。

「いらっしゃいませ。お買い上げですか? それとも、どなたかを売りに?」


「表に見える年配の女性を買いたいです」

「エマですか。2万ゴルですが、よろしいですか?」


「即金で払えますよ」

「さようですか、では、奥へどうぞ…」


 僕たちは契約のために奥に進んでいく。店員のおじさんが恵を見て何か考えてるようだったのが気になるが。


「コウちゃん! あれ!」

 恵が指差した先には見知った制服を着た女の子が足かせを付けられて椅子に座っていた。


「同級生だ! 知らない子だけど」

「隣のクラスの子だよ、私も名前は知らないけど」


「すみません、その子も買いたいのですが」

「やはりそうですか、ユイが着てる服が、そちらの女性の服と同じなので、そうなる気がしてました」


「おいくらですか?」

「ユイは帝国から流れてきた娘です。良いスキル持ちで、見た目も非常に良い生娘なので、お高いですよ。70万ゴルです」


「そんなに……少しの間だけ取り置きできませんか? 50万ゴル手付金払ってもいいです」


 今現在50万ゴルが手持ちの限界なのだ。もっと稼いでおけば良かった。


「ええ、できますとも。手付金は半額の35万ゴルでかまいません。一週間過ぎると手付金は還りませんがよろしいですか?」


「了解です。あと、ユイって子と話をしてかまいませんか?」

「はい。ご自由に」


 とりあえず、おばちゃんの分の2万ゴルは先に払い、それは解決した。

 そして僕たちはユイの元に歩いていく。


 ユイと呼ばれた子は憔悴していた。ユイは顔を上げると恵とモリモリを見て勢い立ち上がる。

「助けて! お願い!」


「大丈夫だよ、ここに居るコウちゃんが助けてくれるから」

 そう言って僕を後ろから抱きしめた。


「その妖精みたいに可愛い女の子が……? わたしを買ってくれるの?」


「僕は男だよ。それに同じ学校出身だから」

「どうゆうこと? なんかもう……頭ぐちゃぐちゃだよ……」

 ユイはとうとう泣き出してしまった。相当ストレス溜まってたんだろうね。

 少し落ち着いてからユイに事情を説明した。一応は解ってくれたみたいだ。


「矢吹君だったんだ……良かったぁぁ……。嬉しい。可愛いご主人さまに買ってもらえて。これ絶対運命の巡り会いだよ!」

 ユイは突然号泣しだした。顔可愛いのに涙と鼻水でぐちゃぐちゃだ。


「買って奴隷から開放するだけだから、後はユイさんの自由だよ」

「え? やだよ。わたし矢吹君のものになるよ」


「そう言われても困るよ」

「水野さんと付き合ってる……とか?」

 僕を抱きしめる恵をユイは恨みがましい目で見てる。


「そう。恵は僕のお嫁さんなんだ」

「ユリナもお嫁さんだよ!」


「そうそう、この子も……アハハ」

「矢吹君……ロリコンだったの?」


「ほら、それはこの子が大きくなったらの話だから」

「……そうだよね、わたしなんかじゃ水野さんと比べられたらゴミクズだもんね。でも! わたしの方がずっと前から矢吹君の事好きだったんだから! 小さくて可愛い矢吹君……好き。そこの汚らわしい森山がいつも周りでうろちょろしてさ、邪魔! 死ねばいいのに!! マジムカツク! 死ね! 森山も水野も死ね!」


 全員ポカーンとなり、店員のおじさんもポカーンとしていた。


「お、おい、こいつ買わない方がいいんじゃないか?」

「うるさい! 買ってくれるのは矢吹君なんだからゴミムシは黙れ!」


 ユイさんは頭を掻きむしりなから叫ぶ。指にはいっぱい抜けた髪の毛が絡まってて怖い。


「ぼ……僕の友達に酷い事を言う人は買えないよ」

「ごめんなさい! 謝るから! 森山君、水野さんごめんなさい! 謝るから……謝るから捨てないで!」

 ユイさんは土下座して地面に何度も頭を打ち付けだした。地面に血溜まりができていく。


「お客さん! 困るよ!」


 買い取る際には、割れた額を治すポーション代も追加された契約で店を追い出された。


 あんな事があったけど買い取ったエマさんはユリナと手を繋いで歩いて2人は楽しそうだ。ここだけ平和空間だね。


「ご主人さま。頑張りますので、これからよろしくおねがいします」

「奴隷からは開放したので、もっと気楽にして下さい」

「ありがとうございます」


「なんか壮絶だったな。腹減ってたの忘れちまったよ」

「ストレスって怖いね」

「私の方がもっともっと前からコウちゃんの事好きだったし…」


『あの娘は心が壊れてるニャ。闇の雫を飲ませた方がいいニャ』

 僕に抱っこされたみーちゃんが僕たち以外には聞こえないように小さな声で言った。


「あの薬って心も癒せるの?」

『死以外は何でも治せるニャ』


「あのお薬があればお母さんも……」

 リリさんがそう呟いて泣き出した。


「リリの母親は病気で亡くなったんだよ」

「そうなんだ…」


「とりあえず……メシ行こうぜ?」


 僕たちは気を取り直すように歩き出し、大衆食堂っぽい店をみつけて、そこで食べた。

 塩味は濃いし、ドカ盛りで。ユリナとエマさんは半分も食べられなかったみたい。


「ふぅ……食ったなぁ……こんな腹一杯に食ったの久しぶりだよ。味はイマイチだったけど」

「僕もお腹キツい」

「私も……」


「リリはもう少し食べれるかも」


 おーさすが、獣人。


「あのさー、ユイの制服の話で思い出したんだが、水野って豚の配下に制服を破られてたじゃん? 下着もボロボロだった気がする」


「うん。そうだね」

 恵は両手で胸をガードして僕の後ろに下がる。


「あー変な意味でなくてさ、聞きそびれてたけど、水野はなんで普通に制服着てるんだ? 予備なんて無いだろ?」


「岡さんと伊澤さんの制服や下着を複製したから、僕が持ってたんだよ」

「は? お前……岡たちの制服やパンツいつも持ち歩いてるの?」


「まぁ、そういう事になる……かな」

「まじかよ……」


「いや、そんなドン引きされても困るよ。衣服が傷まないうちに複製しないとだし」


「おかけで助かってるから、私は気にしないよ」

 うん。良い嫁だ。


「まあいいや、それで金はどうする?」


「遺跡行ってまたミスリルゴーレム採集してくるよ」

「そんな薬草みたいに言うなよ。あれって倒せない事で有名だせ」


「僕からしたらゴブリン以下の雑魚だから。それよりヨルバンに帰ろう」


「ここから近いのか?」


「車なら20分ぐらいかもね」

「よし、いくか!」



◇◆◇◆



「帰ってきた……出発したのはそんな前でもないのに懐かしく感じる」

「早く闇猫さまに会いたい!」

「僕も会いたいよ」


 馬無しで走る車が珍しいせいで僕たちは注目されながら走り、やっと宿の前に着いた。


「ニ人は居るかな? この時間はまだ教会かな」

「お兄ちゃん! 闇猫さま来た!」


「くーちゃん!」

 僕とユリナとくーちゃんは三人でスリスリモフモフしまくりあった。


 しかし何かに気づいたくーちゃんが僕らから急に離れて後ろに飛び下がる。

 向かい合ってるのはみーちゃんだ。


 シャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!


 フシャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!


 完全に猫同士の喧嘩だ! ヤバイ! どうしよう……。


「おい、くー助やめな!」


 くーちゃんとみーちゃんの間に現れたのは岡さんだ。


「あ、矢吹っち……」

「ただいま。芽衣子」


「矢吹っちぃぃぃ」

 岡さんは僕に抱きつき濃厚な接吻攻撃をしてきた。

「まいままっふぁ……」


「ぷはぁ……何言ってるのかわからないよ」

「会いたかったぁぁむぅ……」

 そしてまた唇奪われた。


「矢吹! 帰ってきたの!」

 伊澤さんも走ってきて岡さんから僕を奪い取り、唇も奪われた。

「ふぁ……美味しい矢吹の美味しい……ヤバ……このまま部屋いこ? 二人で色々なの考えたから気持ち良くしてあげるし」


「いや……あの……僕の後ろを見ていただけると……」


 そこにはポカーン状態のみなさんと、苦笑してる恵がいた。


「ユリナもお兄ちゃんとちゅ~する」

 空気読めないユリナだけは僕にチュッてしに来て場が和んだ気がした。気がしただけ。


「ユリナちゃんおかー。あ、森山君みつけたんだ、良かったね。それと水野さん?」

「ユリナちゃん背縮んだ? あ、ヤバ、本当に森山君連れてきちゃったよ。水野さんとも合流したんだ……ヤバ! 凄いライバル来ちゃった」


「みんな言いたい事あると思うけど、まずは屋敷に行こう。そこで色々話そう」


 僕は宿を引き払い、みんなでアリーナさんから譲り受けたお屋敷に向かった。


「おい、なんか女子たちが妙な雰囲気になってるんだがどうすんだ」


 振り返ると後ろでは岡さん達と恵の周りに変な空気が漂っていた。

 よし、見なかったことにしよう。


「どうにも出来ないなら放置するしか無いよハハッ」

「ハハッじゃねーよ」


 程なくして屋敷についた。

 屋敷は最低限状態を維持するメイドさんニ人と門番さんニ人をアリーナさんが派遣してくれていたので綺麗だ。

 この四人はこのまま雇っても良いらしい。


「「おかえりなさいませ旦那様」」

 門を開放してもらい、屋敷の前に着くとメイドさんが出てきて恭しくお辞儀をした。


 さっきまでの変な雰囲気も吹っ飛んで、広くて綺麗な屋敷内を見てみんな感動している。


「お兄ちゃん、今日からここに住むの?」


「そうだよ。ベッドとか最低限の家具残してあるらしいからすぐ住めるはず。好きな部屋を選んでいいよ」

「ユリナにお部屋くれるの?」


「もちろん。好きな部屋を選んでいいよ」

「ユリナお兄ちゃんと一緒のお部屋が良い」


「そかそか……じゃあ、今はそれでいいかな。自分の部屋じゃあ欲しくなったら言ってね」

「うん!」


「そんなわけだから、みんな好きな部屋選んでいいよ。速いもの勝ちだよ」

「ウチも矢吹っちと同じでいいし」「うちも」「私もだよ」


「いや、そういうのはともかく部屋割はちゃんと決めよう!」


 僕が少し強い口調で言うと、女子たちは部屋を見学しにしぶしぶ二階に上がっていった。ユリナとリリさんも一緒に上がって行った。


「矢吹さぁ……。岡たちにも手出してのかよ」


「出したというか出されたというか……はい」

「水野だけじゃなくて、何気に人気コンビまでヤッちまうとかどんなエロゲ主人公だよ」


「岡さんたちって人気だったの?」

「そりゃ可愛いし性格もいいから人気あるだろ。試作の料理待ちしてる奴らいっぱい居たじゃん」


「全然知らなかったよ。こっちで初めて会った時も同じクラスってわからなかったし」

「矢吹らしいといえば矢吹らしいが。ところで俺も住んでいいのか?」


「当然だよ。せっかくドルフィノまで迎えに行ったんだしね。モリモリが嫌じゃなければ、リリさんと一緒にここに住んでよ」

「矢吹……」

またモリモリが抱きついてきた。ちょっと涙ぐんでる。


「アーーーーーーーーーッ! ヤバっ! あの噂マジだったよ」


 ニ階の階段の踊り場で伊澤さんがドン引きしながら僕らを見てた。


「チガウカラァァァァァァァァ!」

 誤解はなかなか解けなかった。



◆◇◆◇



 色々な事を話し合った。


 部屋はみんな一応決まった。エマさんは屋敷の裏手にあるメイドさんたちが寝泊まりする寮みたいな所に住むことになった。

 モリモリとリリさんは一緒の部屋で。僕とユリナも一緒の部屋だ。


 僕の部屋は、三階のアリーナさんが使ってた大きな部屋。


 台所は一通りの調理道具が揃ってたので、夕食は僕がアイテムボックスから出した海産物で、芽衣子と渚がパパッと美味しいの作ってくれた。

でも、調理場から追い出されたメイドさんが困惑してて気の毒だった。


 食事も終わり、ユリナと一緒にお風呂に入り、大きなベッドに寝かしつけてから渚の部屋に向かった。

 そこには恵、芽衣子、渚。くーちゃんとみーちゃんが居た。

 くーちゃんとみーちゃんは仲直りしたようだ。くっついて寝てる。


「矢吹っち何か言うことある?」

「ほんとに浮気してくるとかヤバ」


「ごめん……言い訳はしない。恵も嫁にしたいです!」

 僕は深く頭を下げた。


「水野さんはわかってて矢吹っちとそんな関係になったんでしょ?」

「うん。ごめんなさい。でもコウちゃんの事だけは、どうしても諦められなかったの」

 恵も僕と同じ様に頭を下げた。


「渚とも話し合ったけどさ、ウチらが拒絶した所で良くない結果にしかならなそうだから受け入れるよ」

「うちらヤバい懐が広いよね」


「ありがとう! 芽衣子、渚」

「ありがとう、岡さん、伊澤さん」


「その代わり、今日は水野さんの見てる前でウチらがいっぱい愛してあげるね」

「見られて感じちゃうようになるかもよ……ヤバ」


 そして始まったのは……女の子ニ人に蹂躙される姿を好きな子に見守られるというプレイ。本当に覚醒してしまうかもしれない。


 最終的には恵も参加して×4になったんだけどね。


「痛たた……ニ回目だし久しぶりだったから痛くなっちゃったよ」

「ヤバ……うちも結構痛いかも。水野さん余裕でなんかむかつく」


「そういう時はこうしてあげるといいよ」

 恵はペロッで舌を出してニコニコしながら言った。


 僕はお口によるトリプルヘブンアタックを受けた。

 残機ゼロです。


 おやすみなさい。

評価ありがとうございます!正直評価やブックマーク貰えてなかったらすぐ辞めてしまった気がします。

これからも頑張りますのでよろしくおねがいします。

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